「日本のクリエイティブ・デザインの今までと、これからを考える」スペシャルトーク 3/19編
日本デザイン振興会主催の、下記トークセッションに行ってきました。
久しぶりにオフラインのみの開催。さらにオンライン中継、アーカイブ配信なしという珍しいタイプ。だからこそ、その場でしか言えないであろう、ぶっちゃけトークも多々ありました(笑)
ものづくり・トーキョーカルチャー
黒崎輝男(「IDÉE」創始者 / 流石創造集団代表)× 林千晶(ロフトワーク共同創業者 / Q0代表)
IDÉEの黒崎さんは、なんていうか迫力がすごかったです。早稲田の理工学部を卒業し、弟がイギリスにいたからといって、イギリスにいき骨董屋になり。イギリスで将来著名となる人達とどんどん友達になっていくという。その過程で、デザインにも興味がわいてきたそうです。
海外の友達が日本に来るときには、日本でのPR手伝いをし、コムデギャルソンなど日本メーカーが海外展示するときには、現地サポートをするなどマルチにご活躍。
「無償で手伝ったりしてるんだよね」
「名刺配ったりして繋がった縁はない」
「こいつ面白いかどうかで付き合うか判断している」
「有名だから友達になろうとしたわけじゃない」
というお言葉も印象的でした。
面白い人の周りには、面白い人が集まるというのはまさにこのことなんだと。
パリの骨董市でみつけてきたという、セルジュ・ムーユ(Serge Mouille)のランプが、今はIDÉEの人気商品になっているみたいです。実際このお話を聞いて欲しくなって実物見に行ったのですが、高い&私の部屋には大きすぎて・・断念しました。
下記ページには、セルジュ・ムーユと出会った時、その後などの話も載っています。
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また世界の潮流をみるために、昔は毎年世界一周していたそう。1,000ドルで世界周遊チケットが手に入った時代なので、NY、パリ、ミラノ、ロンドン、東京などいろいろ回っていると、世の中が分かってくるそう。各国いろんなトレンドがある中、
大事なことは
美しいものを分かっているか。
だとありました。例として、日本の価値観とイタリアの価値観を対比されていました。日本は給料や会社名、大学名、昔であれば侍などの階級制度でものごとを判断するが、イタリアは良い家具があるか、美味しいものが食べれるかなど、より生活に密着していてシンプルな尺度で判断していると。日本の価値観が本質的なことではなく肩書で判断し、気に入らない、とおっしゃっているように感じました。
黒崎さんは、儲かるかよりも面白いかを大切にしているそうです。
最近は村を作ろう(Villaging)ということで石川県小松市やイタリアで実験中の話や、IDÉE Universalやみどり荘、自由大学、青山国連大学前のFarmers Market、TAKIGAHARA Village、東京デザイナーズブロックのことなどいろいろ聞けました。
現状に文句言っていても変わらないから、それなら未来を良くするために動こう、と動いていらっしゃるそうですが、その行動力が幅広くてパワフルで、チャーミングでした。
いい加減は、良い加減。(=適当にやりなさい)という名言も。
ファッション・ビジネス
廣内武(東京クリエイティブサロン会長)× 齋藤精一(panoramatiks主宰)
次は元オンワードホールディングス会長の廣内さんのお話。
また早稲田出身です。法学部出身だったことから最初は経理部に配属。10年働いた後に海外部門に異動になったとのこと。
ジャン=ポール・ゴルチエ の日本進出や、組曲、23区などのブランドを作った経緯、想いなどが知れました。ゴルチエさんとは40年ぐらい仲が良く、もう家族のようだそうです(笑)
日本のファッションビジネスが伸びたのは、ライセンスビジネスが育ったことが大きいとのことです。
ジル サンダー買収(現在は売却済み)の背景は、ラインナップにトップブランドがあると、ブランドの山ができるのと、ラグジュアリーブランドは定期的にCreative Directorが入れ替わり、品質が維持される。=感性が高いとおっしゃっていました。
話の途中で面白かったのは、世界の都市でどこが最もクリエイティブか?という質問で、アンケートではTokyoは2位だったにも関わらず、Creativeに自信がない人がほかの都市より最も多かった、とのこと(日本人の謙虚さがここにも?)
日本は、素材や染色、縫製、糸地、ものづくりなど卓越したスキルをすでに持っていて、感性もすごく良い(街中の人がおしゃれなのは世界の他の都市ではありえない)んだから、もっと自信持とうよ!というメッセージをいただきました。
2つのトークセッションともに、今までの時代を作ってきた大御所の方から歴史や、今やっていること、これからやりたいこと、課題に感じていることをお聞きし、次の世代がもっと頑張ってよ!応援するからさ!というように聞こえました。
それを受けて、パノラマティクスの齋藤さんが、もろもろ頑張ります、とおっしゃっていました。
わたしも未来のクリエイティブ・デザイン業界に向けて、何か出来たらいいな、と思った一日でした!