「高遠そば」と「天ぷらまんじゅう」
出身地の会津若松市と今暮らしている長野県での共通点で驚いたことがある。
それが「高遠そば」と「天ぷらまんじゅう」だ。
会津の文化だと思っていたのに、なぜ長野に?
Wikipediaを読むと背景がわかる。
「高遠そば」は長野では日常食、会津では商売で根付いた
ざっくり言うと、江戸時代に藩主保科正之が蕎麦先進地の信濃高遠藩から会津藩に移った。その際、一緒に蕎麦打ち職人を連れて行ったのがきっかけに「高遠そば」が会津地方に商売として根付いていった。
一方高遠町では、そばは各家庭で日常食として食べるものであったため、そばが商売として成り立っておらず、町内にそば屋はほとんどなかった。
月日は流れ、1997年に交流のため長野県高遠町の人が会津若松市を訪れた際、「高遠そば」で商売をしているお店が多いのを知った。逆輸入の形で、高遠町でも「高遠そば」を広めて行ったわけだ。
ふむふむ。そんな背景があったのか……オリジナルは長野の高遠だが、知名度は会津の高遠そばが高くなってしまったわけか。
会津にいるときは、なんで「高遠そば」というのか気にもならなかったので、背景を知ると非常に興味深い。
さらに、会津では、観光地の大内宿で出されている長ネギを箸代わりに使って食べる高遠そばが非常に有名。長ネギでも不自由なく食べられるから不思議。
「天ぷらまんじゅう(まんじゅうの天ぷら)」も長野と会津で若干違う
まんじゅうをそのまま天ぷらのように揚げる「天ぷらまんじゅう(まんじゅうの天ぷら)」。おそらく背景は「高遠そば」と同じだろう(Wikipediaには載ってなかった)。
しかし、若干違いがある。
長野では、白いまんじゅうを天ぷらにしてお盆の時期におやつ感覚で食べる。お盆の時期にコンビニやスーパーで並ぶ。
会津では、茶まんじゅうを天ぷらにして来客や祭事におかず感覚で食べる。一部のそば屋や居酒屋(料亭)のメニューにもある。
会津出身の僕にとっては、天ぷらまんじゅうは、えびやかぼちゃなど「天ぷら」と同じ扱いなので、箸で食べるものというイメージ。
「天ぷらまんじゅう」は「おやつ」か「おかず」か。「まんじゅう」か「天ぷら」かの解釈の違いがあるのがまた面白い。
同じ名前の食べ物でも解釈が異なる
「高遠そば」と「天ぷらまんじゅう」。名前は同じだが、場所によって食べ方が違うのを知り、視野が広がった。
他の地域でも同じようなことあるんだろうなー
長野と会津を訪れた際は、「高遠そば」と「天ぷらまんじゅう」をぜひ食して欲しい。