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リハビリをしていて悲しい気持ちになる時

高齢者の方々から、訪問リハビリの仕事中によく聞く言葉のひとつが、「運転しないと生活ができない」というものです。そのお気持ちは理解できます。年を取ったり、病気や障害を抱えたりして、歩いて買い物に行くことが難しくなると、危険だとわかっていても運転せざるを得ない方がいます。

私は理学療法士として、交通事故に遭った方を何度も担当してきました。今も、そうした方々のリハビリを担当しています。


過去に担当した方です。二人の小さな子どもを持つ若い女性が、買い物の途中で後ろから車に突っ込まれ、病院に搬送されました。手術後、彼女は「一日も早く歩けるように。」と毎日痛みに耐えリハビリを続けていました。医師から「もう歩けない」と告げられた日には、看護師さんに隠れて病室で涙を流していました。それでも彼女は、私たち医療従事者の前では決して弱音を吐かず、子どものために自分でできることを増やしたい、子どものためにお弁当を作れるようになりたい、と必死にリハビリを続けました。そして、自分のことは自分でできるようになり、台所も車椅子で料理ができるように改修し、車椅子で退院されました。

交通事故による脊髄損傷や脳損傷は、治ることなく一生つきまといます。

現在は、若い頃に事故に遭い、何十年も親に介護されながら、今も自分で起きることもできず、寝たきりの生活を送っている方のリハビリも担当しています。本当に悔しくてたまりません。なぜ、この人や家族が苦しまなければならないのか。

車は、使い方を誤れば他人の人生を奪ってしまう危険なものです。運転ができなくても、タクシーを使えば買い物はできますし、また、スマホを少し操作すれば、少なくとも私の住んでいる地域では、宅配スーパーが品物を届けてくれます。運転ができなくても、多少は不便ですが、生活はできます。受診ができないなら、在宅医療の利用できます。

運転に自信がない方には、そろそろ免許の返納を考えてみてほしいと思います。事故に遭った本人やその家族がどのような状況になるのかを理解した上で、「車がないと生活ができない」という言葉を言ってほしいなと思います。

かく言う私も毎日車に乗ります。
訪問リハビリのため、仕事中も車を利用します。
安全運転で今日もお仕事、頑張ります!!

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春野 さとみ【理学療法士×ワーママ】
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