【書籍レビュー】採用基準
伊賀泰代さんの『採用基準』を読みました。この本は、リーダーシップについて深く掘り下げられた内容で、リーダーシップとは何か、なぜそれが必要なのかについて詳しく書かれています。著者は外資系コンサルタントファームのマッキンゼーでの経験を通じて、日本と諸外国でのリーダーシップに対する考え方の違いについても触れています。
日本では、リーダーシップは一部の人にしか必要ないと考えられがちで、他の人は上司の指示に従うフォロワーシップが求められる傾向があります。しかし、海外ではリーダーシップは全員が持つべきもので、全員がリーダーシップを発揮することで、より高い目標達成や生産性向上が可能になるとされています。
リーダーが果たすべきタスクは4つあります。
1. 目標を掲げる - 何が必要かを見定め、環境の変化に対応するのではなく、自らが変化の原動力になることが求められます。
2. 先頭を走る - リスクや責任を引き受ける覚悟で行動する。
3. 決める - 将来の不確実な状況の中でも、限られた情報で意思決定をする力が必要です。
4. 伝える - なぜそれが必要か、他の選択肢はないのかなど、論理的かつ明確に説明し、共通の目標に向けて周囲をまとめる力です。
リーダーシップを学ぶためには、次のマッキンゼー流の方法が紹介されています。
1. バリューを出す - 成果を生み出すことです。会議で有益な発言をすることも含まれ、会議で発言しないことは認められません。
2. ポジションを取る - 自分の意見を明確にし、自分が自分の仕事のリーダーになる姿勢を持ちます。
3.自分の仕事のリーダーは自分、4.ホワイトボードの前に立つことであると記載されていました。
リーダーシップは、スキルとして学べるものであり、実践しながら徐々に身につけていくものだと本書では述べられています。リーダーシップを発揮することで、仕事だけでなく人生全体を自分でコントロールできるようになると著者は言います。これは、まるで自動車のハンドルを握るように、自分の人生の操縦を自分で行えるようになるということです。
この本を読みながら、何人かの方が浮かんできました。その中の1人に、最近メディアでよく見かける国民民主党の玉木雄一郎さんです。彼はリーダーシップのある方だと感じます。
では自分はどうかと考えた時、私自身は職場でリーダーシップを発揮しているとは言えません。また、リーダーシップを発揮しようとすると注意される環境だと感じることもありますし、実際に指摘されたこともあります。例えば上司に対して自分の意見を言うだけで、「それはあなたの考えることではありません。あなたは言われたことをやれば良いのです。」と言われるような事は、日本ではよくあることではないでしょうか。
日本の縦割りの企業文化では、一部の人がリーダーとなり、他のスタッフは指示に従うという考え方が根強く、リーダーシップを発揮しにくい面があります。しかし、今の自分にできる範囲で行動し、少しずつリーダーシップを発揮して認められていくことが、現状の職場では最善の方法かもしれません。本書を通じて、日本の「失われた30年」の背景には、このような日本の企業のあり方が関係しているようにも感じました。