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『死ぬにはいい日だった』


「凄く晴れていたから」
その日娘はひとりで
電車に乗りバスに乗り
崖まで行って死のうとしたんだそうだ

なぜそうしたのか
どこへ行ったのか
いつ頃のことなのか
…なぜ飛び降りなかったのか

さらりと世間話のように話す彼女に
何も聞き返せず
(聞くべきでないように思われた)

数年前だとちょっとわからないが
今なら
そうなってしまっても
仕方ないと諦めると思う
もう私がやれることは
本当に全部やったから
自ら命を断ったとしても 
私が出来ることは
干からびるまで泣くことだけだろうから

それでも
それでも
死なずにいてくれてよかったと
こっそり思うのだ


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