部活における「温度差」
写真部に限らず、多くの部活動で個々の部員に「温度差」があるのはいわば当然と言えます。要するに、どんなレベルで活動をしたいのか。割とユルめにとにかく楽しく撮影や展示ができればいいのか。それともひたすら全国コンクール入賞、あるいはプロを目指すような「ガチ勢」としてやりたいのか。それぞれが目指している目標が違いますし、また仮に目標が同じだったとしても、そこに向かうための「温度」(または「熱量」)にどうしても差が出てきます。
まあ、運動部、とくに団体競技の場合は「インターハイ出場」、あるいは文化部でも吹奏楽部なら「全日本吹奏楽コンクール金賞」などのように「全員が一丸となって一つの目標に向かう」ということになりやすいですが、写真部の場合はかなり「個人競技」という意味合いが強いのでそうなるのかなあ、と思いますが。撮影→作品制作(プリントなど)→発表という一連の作業は基本的にすべて一人でできるわけですからね。(そう考えると、共同制作による組写真コンクール「写真甲子園」はかなり異質な存在ということになります)
いずれにせよ、「ガチ勢」である部員からみれば、ろくに写真も撮らないし部活に来てもヘラヘラと雑談ばかりしているユルい部員にはイラっと来るでしょうし、逆にその部員からしてみれば「なんでそんなに頑張っちゃってんの?」となるでしょうし。うーむ。
ただ、顧問からしてみれば、やはり部全体にある程度の「温度」(熱量)は欲しいと思います。学業を優先しつつも、部活に来たら写真を一生懸命やろう。全国のコンクールに絶対応募しろ、とは言わない。でも挑戦すると決めたなら全力で頑張ろう。「さて、君たちはそれができているのかい?」。
例えば、時々あることですが、かなり前から決まっていた写真セミナー(公式戦のようなものです)に直前になって「家の用事(注・冠婚葬祭などではありません)で行けなくなりました」と言ってくる生徒がいます。私としては、ため息をつきながらこう答える以外にありません。
「うん。私にはそれを止める権利はないよ。部活は教育課程外の自主的な活動なんだから、本来強制されてやるべきものではないからね。でも、考えてごらんよ。もしこれが野球部やサッカー部だったら、家の用事なんてあいまいな理由で大事な試合を、公式戦をドタキャンするレギュラー選手なんていると思う?ずいぶん前から分かっていた、写真を学ぶ貴重な機会だよ?何とか家族と話し合って調整することだってできたんじゃない?」
いや、別に「家の用事」がいけないとか、何を差し置いても部活に来いとか、そんな話をしているのではないんです。「ひょっとして君たち、写真部(文化部)ならこの程度でよくね?って思ってないか?学校生活における部活の優先順位がちょっと低いんじゃないか?」というお話なわけです。
私は自他ともに認める部活動廃止論者ですが、現状として部活動が存在する以上は一生懸命やりたい(ただしブラックにならない程度に)というスタンスです。だからこそ、こういうことが余計に気になってしまうのかもしれませんが…。さて、いかがでしょうか。