ワイバーンエレメント第一期戦役リプレイ 第3話「暴風、その名はルドラ」(前編)
この記事は、超音速飛竜航空戦TRPG「ワイバーンエレメント」連載リプレイの続きです。(ルールブック通販委託中:こかげ書店様)
第2話までのリプレイは、公式サイトにて公開中。以下リンク先にてお読みください。無料記事です。
第2話「スキマー護衛命令」
●プレイヤーキャラクター紹介(再掲)
奏竜士 クラシーグ
冷静な少年エンリル。
過去の戦いで右羽を失い、義翼に換装している。
空戦戦術は、重戦闘竜による一撃必殺の白兵戦重視型。
種属など:エンリル、18歳、男性
外見:耳と腰に竜翼がある(右腰翼は喪失)
飛竜:深鰭類/天到戦鰭〈シーラク〉
戦歴:輸送部隊
トラウマ1【4 強力な敵の戦闘機隊に襲われ、生き残ったのは自分だけだった】
トラウマ2【7 強力なハグレ竜に苦戦し、体の一部を失った(右腰翼)】
願望【ファーグニル軍を絶滅させたい】
三騎長/編隊長 ラウパナカ
編隊長を務める女性エンリル。鋭い分析力で、飛行隊を適確に指揮する。
人付きあいは苦手な面もあるようだ。
空戦戦術は、早期警戒竜による支援が中心。
種属など:エンリル、22歳、女性
外見:耳と背中に翼(羽毛型)
飛竜:ギリュウ類/4式早期警戒機〈エルイダム〉
戦歴:輸送部隊
トラウマ1【56 飛竜の病気を治療できず、死なせたことがある】
トラウマ2【38 戦闘中、飛竜の意識に過剰同調してしまい、深層自我に触れて発狂しかけた】
願望【深層域を探検できる飛竜を育てたい】
奏竜士 三上Ⅲ
飛行隊の最年長。男性。
羽根ナシ(地球人)ゆえか、素直でない面もあるが、熱い闘志をもつ。
空戦戦術は、主力戦闘竜による多用途戦術。
ミサイル戦から白兵戦まで幅広く対応する。
種属など:羽根ナシ、男性、29歳
外見:地球人
飛竜:剛尾類/アルシャルナ〈光芒〉
戦歴:偵察部隊
トラウマ1【47 補給が絶たれた状態で孤立し、生きるために、戦死した仲間(エンリル?)を食った】
トラウマ2【38 戦闘中、飛竜の意識に過剰同調してしまい、深層自我に接触して発狂しかけた】
願望【罪滅ぼしにエンリルを助けたい】
●2016年11月19日、参加者集合す
どどんとふ:「GM」がログインしました。
GM(清水三毛):本日はよろしくです。
ラウパナカ:よろしくおねがいしまーす。
クラシーグ:宜しくお願いしますー。
GM:もう皆さんレベル3なんですね~。ここまでやったセッションは初めてです(笑)。
今回、三上ⅢのPLは、少し遅れて参加している。GMは、とりあえずPL2名でセッションを進めることにした。
GM:大竜母設定をきめます(ダイスころころ)……大竜母の航法神経系に異常!?
クラシーグ:おおう。
ラウパナカ:うーむ。
GM:このままでは龍王天蓋(りゅうおうてんがい)につっこみ、大竜母が破壊されるかもしれない。少数民族による破壊工作の可能性も示唆されている、ようです。
ラウパナカ:龍王天蓋というのは、高空まで立ち上ってる深層圏みたいなものでしたっけ。
GM:そうですね、木星の大赤斑みたいな、地球数個ぶんもある巨大な嵐です。まきこまれたら誰も帰ってこれない。
クラシーグ:SFだなぁ。
GM:しかしまあ、大竜母の航法系に異常があるという話は、いまのところ不確定情報なので、一般には開示されていない、としておきましょう。
●デブリーフィング
ラウパナカ飛行隊がミルランツェを救った大空戦から数週間……。
基地では、小康状態といえる日々が続いていた。
ミルランツェは、訓練のときも、座学の時も、クラシーグの側を離れようとしない。
そんなあるとき、飛行隊の神殿食堂にて。
巫女たちの〈時告げ〉の歌が響く。
基地が昼食の時間を迎えたのだ。
壁や天井で、〈ハベル虫〉のかがり火が発光強度を増した。
大竜母石灰岩をくりぬいた士官食堂の壁面が、重々しい凹凸の明暗を浮き上がらせる。
ハベル虫は、大竜母では一般的な照明設備である。壁や天井に下げられた籠に閉じ込められた状態で使用されることが多い。
近づいて見れば、プラズマ粒子で形成された小妖精のような発光生物が、籠のなかで群れをなしているのが見えるだろう。
桃羽のエンリル少女は、器を当番兵から受けとり、無言で、手近な食卓につく。
同じ部隊の奏竜士や養竜士も、賑やかに会話しながら食堂に列をなしている。だが、ミルランツェの周囲には、誰も座ろうとしない。
小さなため息が、エンリル少女の口から洩れた。桃色の羽が力なく下がっている。
GM:さて、前回みなさんが助けた、桃色の羽の生き残りエンリルが、食堂でぽつんと昼食をとっている。という場面からです。
クラシーグ:ううむ。
GM:皆さんも昼食中なのでしょう。食堂は大きな聖堂を改築したもので、他にも整備兵や輸送部隊の隊員など、何十人か食事をしていて、賑やかです。今日のメニューは、天空魚の煮込みと最上甲板菜っ葉のおひたし。
やはり、第1話でファーグニルの工作があったからか、なんとなくミルランツェも疑いの目を周囲から向けられている感じです。
ラウパナカ:あらら。
クラシーグ:立場や境遇を考えると致し方なしかぁ。何か構う理由、理由……。
GM:「あっ、クラシーグさん!」と、ミルランツェのほうで君たちを見つけたようです。羽がぶわっと広がる。小走りにクラシーグの隣に席をとりますね。
ラウパナカ:こっちも一瞬、硬直します。
GM:ああ、そういう反応(笑)。
クラシーグ:「や。ミルランツェ。一緒に食べようか」という感じに自然に返事をする。
GM:「きのうの空戦演習も、クラシーグさん、おみごとでした……!」と、嬉しそうに横に座っている。
ラウパナカ:ふー、とため息つきつつも微笑を取り戻して「今日も元気ですね、ミルランツェちゃんは」
クラシーグ:「まだまだ褒められたものでもないけどね。やっぱり、どうしても経験の差が出るよ」
GM/ミルランツェ:「ラウパナカ隊長も、おつかれさまです!」というかんじで、和やかに食事を済ませるんですな。よい……。
クラシーグ:「この大竜母には慣れたかい?」とミルランツェに聞こう。
GM/ミルランツェ:「はい! 皆さんのおかげです! もうちょっと、うちの部隊の人たちとも、打ち解けられたらいいんだけど……」と、表情が曇る。
食後、クラシーグたちが部隊の士官室に戻ろうとしたとき。クラシーグの側に、眼鏡をかけた美女エンリルが近づいて、呟く。
GM:第1話でちらっとでていた、警務隊のエンリルです。レダという名前だったな。
クラシーグ:ああ(笑)。
GM/レダ:「忠告しておくけど……あの桃羽のエンリル、ファーグニル企業軍の内通者という可能性もある。あなたは信じるの?」
クラシーグ:では難しい顔をして、
「立場も境遇も確かに、思う所はあるんですけど……。
すみません。頼ってくる子を無下には出来ませんので」
GM:おお。
ラウパナカ:おー。
GM/レダ:眼鏡エンリルが、クラシーグとラウパナカを見て。
「……いい部下をもっているようね、ラウパナカ隊長」
クラシーグ:「もし、あの子が脅威になるようでしたら。その時はこの大竜母を守ることを優先します」と、レダに頭を下げるよ。
ラウパナカ:「自慢の部下ですよ」ふふん。
GM/レダ:「まあ、大竜母の軌道が龍王天蓋に向かっているなんて噂もあるようだけど……確かなことは判明してないらしいしね」と、翼をひるがえして、眼鏡エンリルは遠ざかっていく。
GM:と、早足でイダム百騎長が廊下に現れる。
「おお、ここにいたか。ミルランツェが持っていた記録媒体の暗号が解けた。すぐきてくれ」
ラウパナカたちは、イダムに招かれ、情報部の暗号解析室に入った。
機密保持のためか、薄暗く、人は少ない。
暗号解析担当らしい鯨鬼の技術士官が、コンソールをしずかに機械腕でたたいている。バブルスーツの張力強化水面に、モニターの明かりがきらめいていた。
青年百騎長は、翼を整え、姿勢を正した。重要な情報を告げるときの、イダムのくせだ。
「結論から言おう。このメモリーチップには、ファーグニル企業艦隊の主力機動部隊の基地座標が入力されていた。その艦隊には、重要な弱点があるらしい。奴らも本腰を入れて奪還しようとするわけだ。
わが大竜母がこれ以上攻撃されるのを防ぐためにも、敵の策源地を叩く作戦を立案せねばならない。
そのために鯨鬼属とコロガリの支援を経て、偵察衛星を打ちあげる必要がある……この大竜母の最上甲板にも、利用できる天航船遺跡があるからな。だが、情報部によると、敵はこれを破壊しようとしているらしい」
一呼吸おいて、イダム百騎長は告げる。
「打上げ空域を防衛し、この偵察衛星の打ち上げを成功させるのが、今回の君たちの任務だ」
GM:イダムが、机上におかれた端末甲殻類を操作すると、空中に立体映像が投影される。
大竜母の最上甲板、ナーガローカ3の青空を背景に、巨大なロケット発射施設が建造されつつある映像だ。
無数のコロガリ属や、飛行スーツを着込んだ鯨鬼たちが、建造作業にあたっているのが見えている。
クラシーグ:「天航船遺跡ですか……?」と映像を見て呟くよ。
「確かに、敵の出所を叩かないことには、キリがありませんね」
ラウパナカ:「これは……宇宙空間に出られるのは今では天到戦鰭(てんとうせんき)くらいかと思っていましたが」はぇー。と感心している。
GM/イダム:「そう、天航船遺跡を流用したロケット打ち上げ施設だ。敵艦隊の根拠地は、衛星軌道上からなら偵察可能、と参謀本部では推測している。
コロガリや鯨鬼企業の協力を得ているとはいえ、失われた技術だからな……信頼性は高くない。加えて、打上げ予定日に、敵の有力な戦闘機部隊が差し向けられるとの情報が入ったのだ……」
今回の[進攻判定]は、[上昇15→上昇20]だけです。基本ルールにはない形式の、「大竜母防衛戦」という新たなルールです。今回の「作戦目標」は、以下の通りです。
▼作戦目標
最終目標:敵戦闘機部隊の撃墜、または、1ターンの間、PCが全滅しないこと
目標類別:航空機のみ
作戦目的:ロケット打ち上げ施設の護衛および打ち上げ成功
進攻判定:上昇15→上昇20
GM:目標は、今回は航空目標のみ。強力な戦闘機の小数部隊、という情報です。1ターン、ラウパナカ隊がもてば、ロケットは打ち上げられ、護衛ミッションは成功となります。
ラウパナカ:[進攻判定]が普通より少ない……つまりは猛烈な攻撃が予想される、余ってる燃料で避けろ、というわけですね……。
GM:ドゥフフ……(編注:なにがドゥフフだ)。
クラシーグ:うむ。知ってた。
GM/イダム:「強力な戦闘機隊の出現が予想される。だが、君たちなら大丈夫だろう。訓練の成果を活かし、作戦を成功させてほしい。では、解散。武運を祈る」
質問はなかったので、[ブリーフィング]はここで終了となった。
ラウパナカ:(いつも前進して敵を引き付けてくれている三上さんが出撃不能……いつも以上に厳しい戦いになりますね……)
GM:あ、三上ⅢさんのPLから連絡がありました。もうすぐ合流できるそうです。よし、単独長距離偵察任務に赴いていた、という設定にしよう(笑)。
クラシーグ:おお(笑)。
●資源チェック(1回め)
大竜母の[資源値]は5点減少。今回、発生した大竜母イベントは、「水源地で伝染病が発生」。これにより、さらに資源-2され、合計7点、減少した。今回の[潤沢値]ちょうどの値である。
まだ、日常シーンで頑張れば、挽回できるだろう。
GM:[資源値]がたくさん余ると、支援の友軍スキマー(飛行艦艇)が登場します。それにミルランツェが乗っているということにしましょう。ちょっとここで休憩にしますね。
注:この時点の支援スキマールールは試作版であり、2017年8月に発行されたサプリメント「大竜母の宴」収録ルールとは細部は異なる。
どどんとふ:「三上Ⅲ」がログインしました。
三上Ⅲ:いろいろあって、遅れてすまん。
ラウパナカ:ログ読み時間をとってありますから、ゆっくり読んできてくださーい。
三上Ⅲ:ありがたい、昼飯を食べながらログ読むぞ(モグモグ)。レダちゃんが登場したのか。
GM:どもです、もどりました。ぼちぼち再開しますか。
三上Ⅲ:ログ読んだぜ。レダとケッコンしたい(直球)。
ラウパナカ:はやい。
クラシーグ:攻めるなぁ(笑)。
メタ発言でPLの希望を明らかにする手法は、セッション展開を参加者間ですり合わせできるので有効である(笑)。
GM:その頃、一騎の飛竜が、大竜母の竜母漿窟(りゅうぼしょうくつ)に着艦してきた。
飛竜は、エアブレーキがわりに各部の動翼と装甲鱗を逆立て、漿窟に突入する。
高密度のゼリーが震え、騎体の運動エネルギーを受け止めた。
着艦したのは、三上Ⅲのアルシャルナ種飛竜である。戦術偵察ポッドを装備しての単独偵察ミッションであった。
……という登場演出で、どうでしょう。
三上Ⅲ:カッコイイ演出、ありがとよ。
GM:三上Ⅲの騎体は、途中で敵機に捕捉され、銃撃を受け被弾したが、どうにか振り切って帰還したのだった。騎体に穴が空いたりしていますが、フレーバーなので気にしないでいいです(笑)。
三上Ⅲ:「ふう……〈光芒〉、今回も良い仕事をしてくれたな。助かったよ」
GM:「この大竜母は漂流しているだけでなく、進路は龍王天蓋に向かっている。その龍王天蓋の向こう側から、活発な通信の反応があった。おそらく主力機動部隊クラスの、敵艦隊泊地があると推測される」
それが、今回の偵察で三上Ⅲが掴んだ情報だった。ということで。
あ、いまの三上Ⅲのセリフ良いですね。ブリーフィングでのRP扱いでキズナ+1していいですよ。
三上Ⅲ:アザマス! にしても、状況としてはかなりヤバイな。
GM:ええと……レダさんとの結婚ですか……(展開を考えている)。そうだな、彼女は警務部隊だから、日常シーンに登場するNPCをレダにしておきます。そのとき演出してください(笑)。
三上Ⅲ:頑張る!
GM:まずはお友達からですかね……しかし、羽根ナシとエンリル、それもお堅い警務部隊とあっては、厳しい相手のような(笑)。
三上Ⅲ:お友達から頑張る。
●訓練フェイズ
今日もナーガローカ3の大空で、飛行隊の訓練が始まる。
大竜母の腹側から衝撃緩衝リンパ液を飛散させ、ラウパナカ飛行隊の三騎がつぎつぎと雲海にむけて飛びだし、上昇していった。轟音と、純白の航跡雲が天空に残される。
クラシーグは白兵戦訓練をぎりぎりで成功させた。
GM:射出された白兵戦用ドローンと、クラシーグは組んずほぐれつの殴り合いをして、これを制圧した。
クラシーグ:「ふう。ちょっと危なかったな、〈シーラク〉。お前の振動翼も扱いに慣れておかないとな」
GM/ミルランツェ:「さすがクラシーグさんです!!」
GM/イダム:「こ、こら、管制室の無線をのっとるんじゃない」という声が無線から聞こえる。
三上Ⅲ:ミルランツェのCVが鈴木真仁さんなのは俺だけか。
おそらくこのとき、プレイヤーの脳裏にはスレイヤーズのアメリアが浮かんでいたのであろう。
GM:飛竜とのRPもあったので、クラシーグは合計[竜キズナ]2点を入手です。
クラシーグ:「ありがとうミルランツェ。でも規則は守ってね?」
ラウパナカ:「そうですよ。指示が遅れたりしたら事故につながりますからね」
GM:「はい、軍規は大事ですよね! すみません!」という声が遠ざかっていく。つまみ出されたらしい。
ラウパナカは、対艦攻撃訓練を選択した。
ラウパナカ:さらに次の作戦を見越して対艦攻撃訓練をしたいです。
GM:索敵10、対艦射撃10の両判定を成功させてください。戦友PCは[支援RP]してもいいかもしれませんね。あと、[トラウマ]などは、通常どおり加算できます。
大型の、飛行艦艇型ドローンが数隻、大竜母から発艦し、訓練空域に到達。
「状況開始、ラウパナカ隊、腕前をみせてくれよ」と、ドローンを操縦している兵が言う。
ラウパナカ:「とくとご覧あれ。……今回は他の二人が主役の戦闘だろうから、空戦訓練はお休みね」後半は乗ってる飛竜に。
GM:ターボプロップ・エンジンの唸りも轟々と、ラウパナカの飛竜が騎体を翻してダイブに移る。交流の[竜キズナ]1点入手です。
三上Ⅲ:「ラウパナカ隊長、余裕の操縦だな」
ラウパナカ:「でもその次は、あなたにしかない力が役に立つはずだから」
低空に降り、早期警戒機の竜体に2本も抱えた訓練用の魚雷を投下します。
クラシーグ:じゃ、支援入れておきます。
「攪乱機動、行きます!」
魚雷投下に合わせて、艦艇ドローン周辺を高速で肉薄します。
三上Ⅲ:「編隊長、予想進行データを送る」(支援RP)
GM:おお、いいですね。クラシーグ騎の機動で、艦艇からの対空砲火がそちらに集中。さらに三上Ⅲ騎のデータで、雷撃の精度が上がる。
ラウパナカ:前を行く仲間たちの姿を見て微笑しつつ判定……成功しました。
GM/イダム:「現代の航空戦では、単一機種で部隊を編成するのではなく、複数機能を持つ飛竜が一体となって、ストライク・パッケージを構成する……教本どおりだな、ラウパナカ隊。見事だ」
投下された空中魚雷が、深層域のどす黒いガス雲に潜り、一直線にターゲット・ドローンに雷跡が伸びて……命中。大爆発が起こる。訓練は成功だ。
飛竜との交流もあったので、ラウパナカは合計[竜キズナ]2点を獲得です。さて、次ですが……。
三上Ⅲは、編隊空戦訓練を選んだ。
GM:運動15の判定ですね。
ラウパナカ:支援がほしいですね。
三上Ⅲ:「いつもは俺が真っ先に飛び込んでいたが、今回はそうはいかないかもしれないからな。やるぞ、〈光芒〉!」
GM:〈光芒〉が吼えて、ラムジェットエンジンから炎を吐く。
クラシーグとラウパナカの[支援RP]もあって、三上Ⅲは訓練を成功させるのだった。
GM:三上Ⅲをはじめとする皆さんは、入り乱れたマニューバの末に、標的ドローンを全機撃墜! 三上Ⅲは、飛竜との交流あわせて、[竜キズナ]2点を獲得です。
三上Ⅲ:「二人とも、助かった!」
GM:訓練を終えたラウパナカ隊が、大竜母に帰投するのだった。じゃぼん、じゃぼん、じゃぼん。と、竜母漿窟の衝撃吸収ゼリーに、突入着艦。
●資源チェック(2回目)
チェックの結果、いっきに[資源値]8点が減少。[枯渇値]以下になってしまった。これは厳しい。
さらに今回の大竜母イベントでは、空襲イベントが発生。ラウパナカたちは迎撃を成功させ、損害はなかった。
●変異フェイズ
竜母漿窟で、今日もラウパナカたちは飛竜の世話と、変異の誘発作業を行う。訓練の成果が飛竜の成長という形で、明らかになる瞬間だ。
クラシーグの飛竜は、変異を獲得し、体躯+2、運動+1の結果を得た。
クラシーグ:〈シーラク〉がさらに巨大化して、煌びやかなヒレが増えたね。スタビライザーかな。
GM:たくましくなり、さらに美しさも増した天到戦鰭。
クラシーグ:「〈シーラク〉、お前も随分と体が逞しくなったな?」
ラウパナカ:「だいぶ大きくなりましたねー」ひょこ。
GM/ミルランツェ:「飛竜も、素敵ですね……」と、クラシーグに寄り添う。
三上Ⅲ:「あー……。うんうん……」と言いつつ明後日の方を向いてコーヒー飲んでる。あえてクラさんとラウさんの方から目をそらす。
ラウパナカは、武装値を伸ばす[変異]と、さらにエンリルの種属特技で、推力偏向ノズルを獲得。飛竜の武装搭載能力と運動性が上昇した。
GM:さらに重武装化した〈エルイダム〉は、格納庫の中で鈍く金属光沢を放つのだった。無数のコロガリたちが整備を正確にこなす。
三上Ⅲ:「ラウパナカ隊長の飛竜は、もはや空中要塞だな(汗)」
クラシーグ:「早期警戒機だ……よね? ギリュウってすごいね……」
三上Ⅲは、飛竜の尻尾を増やした。双尾のアルシャルナとなり、〈光芒〉はさらに運動性が向上したようである。
飛竜の外見変更を考えて変異を得るのも、ひとつの考え方だろう。
三上Ⅲ:2本尻尾になるとシルエット的に面白いし、敵から「まずい、あの2本尻尾だ」と思われたいからな。
GM:そういえば部隊エンブレム作成ルールが出来てまして(注:この時点では試作版を使用している)。
部隊章作成ルールは、表によって紋章のモチーフ、色、部隊番号を決定するという内容だ。
これにより、飛竜の尾翼などにPCがペイントするであろう部隊章を具体的に決めることができる。サプリメント「大竜母の宴」に収録されている。
三上Ⅲ:(エンブレム作成ルールを適用した結果をみて)部隊章モチーフは緑と少年……か。植物と少年の図柄かな。数字は65か。
GM:表はふわっとした内容なので、飛行隊のみんなで話し合って具体的な絵柄は決めてかまいません。翼が緑色のエンリル少年なのかもですね。
ラウパナカ:じゃあ、緑主体の竜翼エンリル少年の絵を提案しますね。
GM:いいですね。クラシーグともイメージが重なるし。
三上Ⅲ:ラウさん、無意識にクラさんっぽい絵柄を選んでしまったという。
GM:ああーそういう。
ラウパナカ:「な、なんででしょう……これがいいなって……」(照)
GM:士官食堂でオフの時間に決めたんですね。
三上Ⅲ:「ラウパナカ隊長、この絵柄、なんとなくクラシーグに似て……」
GM/ミルランツェ:「あっ、この紋章案、だんとつで良いとおもいます! なんかクラシーグさんに似てるし!」ひょこっ。
ラウパナカ:「えっ、そそそんなことは……ある、かも……? って、なんであなたがここに!?」
クラシーグ:「部隊章ですか? いいデザインですね。」後ろから覗く。
三上Ⅲ:「お! ミルランツェくんもこれが良いと思うか? うんうん、俺も良いと思うぞ」
GM:みなさんは、緑主体の竜翼エンリル少年の紋章を、各騎、好きなところにペイントしてもらいました。機首か尾翼が多いパターンですね。部位は好きに決めてもらってかまいません。
三上Ⅲ:「俺は尾翼にペイントしてもらうかな。この紋章を見て敵さんが震えるように頑張ろう」
クラシーグ:「部隊章があると士気も上がりますからね。僕の隊でも皆で決めたもんです」
三上Ⅲ:「おいおい、クラシーグ、今は俺らが、『僕の隊』だぞ」
クラシーグ:「ああ、いえ。懐かしくてつい……そうですね。僕の部隊章は機首にでも描いてもらおうかな」
ラウパナカ:「じゃあ私も機首にしてもらいますっ」
GM:そんなこんなで、訓練後の夜は更けていったのだった。
●資源チェック(3回目)
チェックそのものによる[資源値]減少は2点ですんだものの、イベントで飢饉が発生し、さらに7点の[資源値]が減少してしまう。
三上Ⅲ:おおおお(呆然)。
ラウパナカ:今日も大竜母は自転車操業です。
GM:現在、[資源値]1です(汗)。
。
ラウパナカ:[枯渇値]さえ上回れば、武装搭載には問題ないんですけど……。
GM:水源地での伝染病、街区での饑饉発生。大竜母内には、難民があふれ、治安が悪化していくのだった。
三上Ⅲ:レダさんとキャッキャしたかったが、こうなったら日常シーンでは「大竜母表」を選んだほうがよさそうだな。
確実に[資源値]を稼ぐには、PCが成功しやすい表を選んだほうがいいか、という判断である。
とはいえ、『ワイバーンエレメント』ではPCの[願望]達成も大事な物語なので、やりたい演出があれば、[資源値]稼ぎよりもそちらを優先するという考え方もあるだろう。他のPCやGMと相談して、決めるとよい。
GM:レダ率いる警務部隊は忙しそうだ。「続発する異常事態! これはやはり、敵の浸透工作による破壊活動か! おのれファーグニル」
ラウパナカ:水に汚染→農業に被害→飢饉発生。イベントがつながるなあ。
三上Ⅲ:おのれ、ファーグニル。
●日常シーン
GM:いつも通り、PC一人ごとに、大竜母表か休暇表を選んでもらいます。「大竜母表」はアクション中心、「休暇表」だと社交などが多い傾向ですね。まあ、トラウマRPなどをぶっこめば、どちらでも何とかなる……といいですね(笑)。なお、クリティカルを出せば、獲得[資源値]が2倍になります。
ラウパナカから行動。休暇表を選択。各表の選択肢はランダム決定である。今回の結果は10。
GM:買い物イベント。知力15で判定ですね。なお、日常シーンなので奏竜士単体の能力値での判定です。ご注意ください。
ラウパナカ:彼女の[知力]は3しかありませぬ(笑)。
三上Ⅲ:これは支援が要る案件かな……。
GM:ですよねえ。まあ、[大竜母設定]、[トラウマ]、[願望]を突っ込んでもいいですし、[支援RP]してもいいでしょう。
ラウパナカ:表の結果によると、品物の品質が悪かったみたいですね。
GM:ラウパナカは個人的に、買い物したい日用品とか、あるんでしょうか。
ラウパナカ:絶対に切らさないようにして品といえば、翼の手入れ用品、油とかですかね……。
GM:ああー、お化粧品みたいなかんじで、翼にぬるオイルとか。
ラウパナカ:髪でいう椿油みたいな。
三上Ⅲ:世界観が広がるねえ。
GM:では、ラウパナカは中層甲板街のお洒落なショッピングエリアに来ていた。
着飾った知性化イルカや、エンリルたちが街路を闊歩している。
ちなみにミルランツェもついてきている。
「お買い物ってたのしいですね!」
ラウパナカ:「そうですね。でも、どこも品薄……」
GM/ミルランツェ:「あのお店、いいかんじの羽毛油を売ってそうですよ」
GM:そういえば支援に関係するから、余り先に進めすぎてもまずいかもですね。
三上Ⅲ:く、クラシーグはこの場にいないのか? 「今回は俺が荷物持ちだが、クラシーグでなくて良かったのか? ふたりとも」
GM/ミルランツェ:「ラウパナカ隊長にとって、クラシーグさんって、どんな人なんですか?」
何気ない振りを装いながら、ちらとラウパナカを見上げて訊く。
ラウパナカ:「………それ、聞きますか。まあ、大事な人ですよ、いろんな意味で」
GM/ミルランツェ:「あっ、いえ、そういういみじゃなくって」しかし少女の声色は、慌てた色を帯びているのだった。
三上Ⅲ:(胃が痛い……女子特有のこのジャブの出し合い……慣れないな……)
GM/ミルランツェ:「……だいじな人……。そうですよね。私にとってもそうです、うん」後半は自らに言い聞かせるように、頷いている。
ラウパナカ:「クラシーグさんが好きな香り、なんだったかなぁー」まあ知らないんですけどね。反応を気にするようになったの最近ですし。
GM/ミルランツェ:「中間層で採れる竜湯紅玉のエッセンス、好きだって言ってたかな……」と、羽毛香水をみつくろっている。ばちばち(演出火花)。
三上Ⅲ:(帰りたい……)
GM:PC本人に確認しないまま勝手な設定が生えている……!(笑)
ラウパナカ:ミルランツェの罠かもしれませんし!
GM:そうですね(笑)。勝手に言ってるだけかも。
GM/ミルランツェ:「……でもなんか、クラシーグさん、昔、部隊にいたときと、少し変わったかもしれない。前より明るくなった、というか、陰がなくなってきた気もします。ラウパナカさんや、三上Ⅲさんたちのおかげかもしれないですね……」
三上Ⅲ:三上のネットワークで、クラさんの好きな香りを調べてラウさんにこっそり教えるとか……[社交]2しかないけど。
GM:いいんじゃないですか(笑)。かつてのクラシーグの上官が三上Ⅲの知り合いにいたとか、そういうかんじでしょうか。もちろん真実はPCのみぞ知るで、勝手に三上Ⅲがそう思った、ということです。
三上Ⅲ:「ラウパナカ隊長……(ぼそぼそ)」と情報を伝える。
GM:ラウパナカは、クラシーグが好きっぽい羽毛香水の情報を得たのだった。
ラウパナカ:「あ、はいはい……? どうも、ありがとうございます、感謝します」
三上Ⅲ:「ふ……」(やりきった顔)
GM/ミルランツェ:「でも、夢みたいだな。あの戦いから生還して、また昔みたいに、こうして一緒に過ごせてるなんて」と、エンリル少女は桃色の翼をすぼめて、呟くのだった。
ラウパナカ:じゃあ、カムフラージュのため、ミルランツェが言ってた品も一緒に購入していきます。フフフ。
三上Ⅲ:おおう……女はコワイ。
ラウパナカ:さて、判定しなきゃ。『クラシーグと仲良くなりたい』の[願望]はRPできたとしていいですよね、GM。
GM:いいですね!
ラウパナカ:三上さんから[支援RP]を得て、4Dですね。これぐらいあれば大丈夫かな。
クラシーグ:僕は[支援RP]遠慮しておいた方がいいだろうね、内容的に(笑)。
ラウパナカは判定に成功し、粗悪品を回避できた。[資源値]が8点増える。
GM:市場でラウパナカが入手した謎の卵から新たな抗生物質が開発され、急速に伝染病が駆逐されていった。いま[資源値]9ですね。
三上Ⅲ:謎の卵、いったいなんなんだ。
表の中には、あえて具体的な内容を定めていない項目もある。
とくに思いつかなければ流してかまわないし、アイディアが思いつけば、参加者間で話しあって、セッションに活用しても面白いだろう。
次はクラシーグが判定を行う番である。
「日常表」を選択した結果、クラシーグは飲み屋で羽目を外し、上官に目撃されたことになった。はたしてこの状況を切り抜けられるか?
GM:羽目を外したところを上官に目撃され、切り抜けるのに社交15の判定が必要です。
クラシーグ:どちらかというと、周りが羽目を外した感じかもね。
GM:みんなでそれぞれの種属に適した飲み物を飲んでいる。ミルランツェが、かぽかぽ強い酒を呑んでるよ。
ラウパナカ:飛竜リンゴジュース、海藻酒、オイル……。
GM/ミルランツェ:「だいたい、なんなんですか。私の配属が何でクラシーグさんの部隊じゃないんですか。おかしいですよ!!」目が据わっている(笑)。
クラシーグ:(伝染病も落ち着いたし、少しは部隊や養竜士の人たちを労おうと思ったら……)と、頭を抱えているよ。
GM/イダム:「民間人もいる中で、みっともなく騒いでるあの奏竜士たちは、まさかな……」という体で、あっちのほうからイダムさんがくるよ。
ラウパナカ:「そんな考えなくても大丈夫ですよ、クラシーグさんも食べましょう?」えへー。
クラシーグは[竜キズナ]を2点投入し、判定に成功。イダム百騎長は、「人違いか」と、自分のテーブルに戻っていった。ダイスをふった結果、[資源値]回復量は3点。
ラウパナカ:あとは三上Ⅲが判定に成功したら、[枯渇値]は超えられそうですね。
GM/ミルランツェ:「(もぐもぐ……)」
三上Ⅲ:俺は日常表を選ぶけど、ちとやりたい演出があるので、三上は別場所で呑んでるってことで、いいかな? GM。
GM:了解です。(表の結果をみつつ)故郷の町で郷土料理を食べたという結果なので、居酒屋でもいいですね。
三上Ⅲ:ラウパナカたちが飲んでいる同時刻、近くにある別の酒場で、オメガ(リプレイ第1話参照)と二人で呑んでいる。
「最近、うちの職場が賑やかになってな」
GM/オメガ:薄暗い、表社会の人間はあまり来ない雰囲気の酒場で、二人の男が静かに杯を傾けている。
「投獄された俺にまた会いに来るたあ、物好きだな。まあ、仲良くできる奴がいるなら結構なことだ。俺みたいにゃ、なるなよ」
三上Ⅲ:最近の裏社会情勢を、それとなく聞いてみる。
GM/オメガ:「そうだな……。近ごろ、羽根ナシの情報網が騒がしい。こりゃ、でかい攻勢が近いのかもな」
三上Ⅲ:「剣呑だな、気をつけよう。そのうち俺は、傭兵団を結成しようと思ってる。そんときゃ頼むぜ」
GM:オメガ「ああ、刑期が終わったらな」と、一杯煽るのだった。
表の結果、三上Ⅲは腹を下したことになった(笑)。
GM:ここでレダを絡めましょうか(笑)。
三上Ⅲ:「おおお……腹が痛い」
GM:厨房から、エプロン姿の眼鏡エンリルが出てくる。「すまない、慣れない料理で手元が狂ったかもしれない」
三上Ⅲ:「いやいや、体は丈夫なんでね。そのうち治る……ってあんた、レダさんかい?」
GM/レダ:「鍋に入れた深層天空魚の脂だが、あれは地球人の消化酵素じゃ対応できないんだな、もうしわけない」
レダはこの店で、非番のときはバイトしてるっぽいです(笑)。
三上Ⅲ:「はは、これは地獄に女神だな。じゃあ、少しの間だけでいいからさすってもらえると嬉しいな。美人なあんたにやってもらったらすぐに治ると思うよ」
GM/レダ:「ああ、ラウパナカ隊の羽根ナシさんか……申し訳ない。お代はタダにしておくわ」と、三上Ⅲの背中をさすってくれます。
三上Ⅲ:ち か ら が み る み る わ い て き た。
そのあと店を訪れたクラシーグとラウパナカの[支援RP]もあって、三上Ⅲは判定に成功した。しかもクリティカルであり、[資源値]は2倍。14点が回復した。
GM/レダ:「お詫びといったら難だけど、これ、私の飛竜が好物だった飛竜林檎」と、きれいな果実をくれる。
三上Ⅲ:「ありがとよ、そんな貴重なものをくれるなんて。お返しにはならないけど、あんたの飛竜の分まで頑張るぜ」
クラシーグ:「……なんか、大丈夫そうですね」と、2人のやり取りを眺めてる。
ラウパナカ:「そうですね。いきましょうか」
GM/レダ:「この間のスパイ事件では、世話になったみたいね。警務隊の力が必要なときは、呼んでちょうだい」と、連絡先を書いた羽毛を一枚くれた。
[資源値]は26点。この時のルールでは、あと4点で、支援スキマーの派遣も要請できる点数だ。
GM:じゃ、日常フェイズはこれで終了です。繰り返したいフェイズはありますか?
協議の結果、[訓練フェイズ]から[日常フェイズ]までをもう一周することになった。二周目以降は、日常フェイズの判定難易度は少し上昇する。
この時点でPCは知る由もなかったが、ここで訓練を重ねた成果が、PCの命を救うこととなる。
●資源チェック(4回目)
大竜母の[資源値]が6点減ったものの、大竜母イベントではラウパナカ隊は「甲鱗ライフル」を入手。この後の日常シーン「大竜母表」での判定に、有利な修正が入るようになった。
●訓練フェイズ(二周目)
クラシーグは軌道迎撃、ラウパナカは対艦爆撃の各訓練を、三上Ⅲは緊急発進任務をそれぞれ成功させた。
●変異フェイズ(二周目)
続けて二回目の[変異]獲得である。二周目なので、変異フェイズ前の[資源チェック]は発生しない。
クラシーグの飛竜は、白兵ダメージと[体躯]をそれぞれ強化し、大きな背ビレを生やした。
ラウパナカは、[武装]を成長させ、エンリルの種属特技によりランダムに装甲値強化の[変異]を獲得した。
ラウパナカ:これで[武装]6、[装甲]4になりました。
GM/養竜士コロガリ:「隊長、いいスペースチタニウム装甲が入ったんで、おまけしときやしたぜ」
ラウパナカ:「最近貴重だって話じゃないですか、ありがとうございます!」
GM:スペースチタニウムは伝統的に重宝されている装甲材質……。
三上Ⅲ:すごい、もう固定値で機銃弾ぐらいは跳ね返せるな(汗)。
GM:「最上甲板層の奥地で、最近いい機械竜の遺跡が見つかったとかでねえ」
三上Ⅲ:じゃ、俺は、[速力]+1の[変異]をとろう。エンジンノズルが増えるやつだな。
GM:君の飛竜のエンジンノズルが増加して、後から見たときにジェット噴射炎の配列パターンがかっこよくなった。
飛行中の飛竜を後ろから見たとき、ジェットノズルは見栄えに影響するので、大事である(個人的感想)。
●日常フェイズ(二周目)
クラシーグ:では大竜母表にしよう。(ダイスを振る)……フウセンカジキの狩猟か。
GM:船を出してフウセンカジキを狩猟に出かけた。体力15で判定です。失敗すると[資源値]が減少しちゃいます、がんばって。
きみが乗る船は、民間スキマーですね。今回は、木造の空中ジャンク帆船みたいな中型船ということで。
クラシーグ:拾った甲鱗ライフルの効果で、判定値+2だったね。
GM:ですね。
クラシーグは、支援なしで狩猟を成功させた!
三上Ⅲ:支援しようとしたら終わってた。「クラシーグ、なかなかやるな!」
GM:漁場の空域で、クラシーグは、6メートルぐらいあるとんがった飛行魚類を発見した。
飛翔して逃げようとしたところを船上からライフルで射撃し、みごと捕獲しました。クレーンでつり上げてコロガリが記念撮影してくれるよ。[資源値]+5です。
クラシーグ:「運よくいい得物に巡り合えてよかったです。三上さん」
余興として、三上Ⅲもフウセンカジキ狩猟の判定をしてみたが、失敗。釣れなかったようである。この判定はフレーバーなので[資源値]には影響しない。
GM:年老いた大きなウミウシのような翼足属の漁師が「鉄砲なんぞ邪道じゃのう。昔ぁ、飛び乗って槍で突いたものじゃがな」ぶつぶつ。
三上Ⅲ:「くっ、俺としたことが……。レダの店に手土産を持っていけないじゃないか……」
難易度が上がっているため、ラウパナカは、得意な日常表を選択した。
ラウパナカ:選択肢の内容は、「戦友と話しこむ」らしいのですが……。
クラシーグ:ふむう。
GM:戦友と話してて社交15で失敗するとケンカ。相手はミルランツェかな。
三上Ⅲ:女の戦い。ぷおーぷおー(編注:ホラ貝の効果音らしい)。
GM:飛行隊の施設そばの草っ原で、休暇中ぶらぶらしていたら、木陰で座っているミルランツェが。何やら悩んでいるようだ。
「あ、ラウパナカ隊長さん……よかったら近くでお茶でもしませんか。さいきん、いいランチをやっているお店を見つけたの」
ラウパナカ:「いいですよ、今はやることもなくて」
GM:店にいくと、エプロン姿のレダがいる。夜は酒場だけど昼は定食屋風なお店だ。
三上Ⅲ:エプロン姿のレダがいるということは三上も来ているぜ。「おお! 編隊長! 奇遇だな」
ラウパナカ:「あ、三上さん。ミルランツェに連れられてきました」ふふ。
GM/ミルランツェ:お茶しながら、「わたし……今の輸送部隊で、なんだか馴染めてなくて。一生懸命働いているのに……」
クラシーグ:これは僕も行った方がいいだろうか。
GM:日常フェイズでは、基本的に全PCが同じ場所にいるので、「その場に居ない」と宣言した人だけ除外しますね。ただその場合、[支援RP]はできません。
クラシーグ:なるほど、じゃあ……(考える)。
GM/ミルランツェ:「どうしたら、部隊の仲間に信頼してもらうことが出来るのでしょう。このままじゃ死んだ戦友たちにも申し訳が……」
ラウパナカ:「んー、馴染めていなかったのは、私も同じです。まずは、仲間を信頼することからでしょうか」
三上Ⅲ:「俺も羽根ナシだから、そういうことはあったな。ただ、だからといって部隊の仲間を責めちゃいけねえ。
実は、俺、最初はクラシーグ奏竜士が苦手だったんだ、でも今は違う。自分と仲間を信じて、今の仕事をするしかないんじゃないか。見てる奴はきっと見てくれてるさ」と、[支援RP]をしよう。
GM/ミルランツェ:「信頼……。そうですね、もしかすると、わたし自身、壁を作っていたのかも……」
ラウパナカ:「自分を信頼してくれない相手を信頼することはない……それは、竜も人も同じです。たぶん」
クラシーグ:「ミルランシェは頑張ってると思うよ。この大竜母にやってきた経緯が経緯だから、周囲からの見る目が変わるのはどうしようもないのだけれど」と、エプロンを付けつつ、お茶を出す。
GM:お茶を出す方なんですね(笑)。
ラウパナカ:「あれ? クラシーグさん、何してるんです、エプロンつけたりして」
クラシーグ:店の手伝いをしていて(笑)。
GM/ミルランツェ:「クラシーグさん!! ありがとうございます!!」と、顔をかがやかせるのだった。翼を広げて。
三上Ⅲ:「ま、こういうときは甘い物でも食べるのが一番だな。レダさん、全員分のデザートを頼む」
GM/レダ:「よその奏竜士を捕まえていうのも難だが、あなたスジがいいわね。働きにきてもいいのよ?」クラシーグに言う。
三上Ⅲ:ぐぬぬ、クラシーグの奴、レダさんに褒められるとは。
ラウパナカは判定に成功、[資源値]が24になる。
ラウパナカ:「クラシーグさんを引き抜かないでくださいっ」羽根をぶわっとさせる。
三上Ⅲ:これ絶対、レダはラウパナカの反応を楽しんでるよな。
GM/ミルランツェ:「そうですよ! クラシーグさんは……!」言いかけてラウパナカをみて、「意見があいますね」と笑う。
「なんだか励まして頂いて、ありがとうございます。わたし、今の部隊で頑張ろうと思います」と、元気になった様子だ。
三上Ⅲ:ホッコリ。
GM/レダ:「こういうところを見れるから、このバイトも悪くないのよね」と、微笑ましそうに見ている。
三上Ⅲは、大竜母表を選択した。選択肢は、変異竜の討伐である。
大竜母の最下層で、突然変異により生まれた凶暴なドラゴンが暴れているというのだ。
三上Ⅲ:「さーて、レダ特製の愛妻ランチを食べたから、ちょっくら最下層にいって変異竜と戦ってくるか」と言って出発しよう。
GM:愛妻ランチ、とは……。
三上Ⅲ:妄想だ(笑)。
クラシーグ:うむ、希望を持つのは良いことだね。
ラウパナカ:「私っ、こういうの苦手なのに、どうしてよくこの手の任務に駆り出されるんでしょ……」ライフルを抱えて変異竜を探しながらぼやきます。
クラシーグ:「人手がないから、しょうがないんでしょうね。大竜母が本隊に戻れたら、こんなこともなくなるんでしょうけど」
GM/ミルランツェ:「部隊定数が常に充足してないって、うちの部隊長もいってました……」ライフルを抱えて涙目のミルランツェであった。
三上Ⅲ:「ま、変異竜討伐、がんばろうぜ!」
GM:三上Ⅲたちが、下層街区の廃墟で営業している酒場にいくと、飲んだくれっぽい翼足のおばあちゃんがいる。
「あの竜を討伐してくれたら3000カウリは払うよ。商売あがったりでねえ、頼むわよ」と。このへん、じっくりやっていくと1セッションになってしまうのですが(笑)、そういうノリです。
日常フェイズの描写は、PLが盛り上がっていて、セッションの残り時間に余裕もあるなら、細かく描写してもよい。
[資源値]獲得に無関係な判定を演出として追加すると、臨場感が増すだろう。
クラシーグ:こういうNPCを、判定ボーナスに使えるリソースとして使えないかな。
GM:名前のあるNPCがでてきたら、その時点で[願望]を、そのNPCをふくむ内容に変更してもいいですよ。そしたらリソースにできる。
愛着のあるキャラクターを[願望]対象にしておくとPLが演出しやすくなるので、実質的にリソースが増えるし、ストーリー性が強化されるというメリットがある。もちろん、仲間のPCを[願望]対象にするのはお勧めだ。
厳密にはPCの成長時におこなう処理だが、気に入ったNPCが登場した時点で[願望]を書き換えたほうが処理しやすいだろう。
三上Ⅲ:よしゃ、[願望]を書きかえるぜ! 「レダを嫁にしたい」。
GM:承認。
三上Ⅲ:変異竜を殺る気がもりもり湧いてきた!
GM:じゃ、判定どうぞ~。
三上Ⅲ:[願望]RPをするぞ。
(羽根ナシの居場所をこの大竜母に創るためにも、傭兵団を立ち上げないとな……そのためにも……そしてレダを嫁にするためにも……強くならねば!!)
「変異竜、貴様を倒す!」
GM:三上Ⅲの意外な側面が出てきておもしろいですね(笑)。[願望]2コ同時使用で、+2Dしていいですよ。
クラシーグ:(いつもより張りきってるみたいだな、三上さん)
GM:巨大なゾンビのような変異竜が、瓦礫を打ち砕きながら現れ、君たちに襲いかかってきた!
三上Ⅲ:「食らえ!!」
ラウパナカ:「どこをどう変異させたらこうなるんですか!」タタタタ。
GM/ミルランツェ:「死んじゃえー!」空中から竜の死角を狙ってバースト射撃。タタタ、タタタ。
クラシーグ:「大竜母の生態系はよくわかってませんからね!」ライフルを撃ちながら。
GM:「各隊突入! 竜の頭部に火力を集中しろ!」
瓦礫を蹴破って突入してきた警務部隊を指揮するのは、凛々しい眼鏡のエンリルだ。
「一斉射撃!」
三上Ⅲ:レダ! これはかっこいいとこ見せないと男が廃る!
[願望]2コ、竜キズナ1点、仲間からの[支援RP]、甲鱗ライフルによる修正を加えて、三上Ⅲは達成値47という驚異的な数値をたたきだした! もちろんクリティカル成功である。[資源値]12が手に入った。
GM:一斉射撃をうけ、竜は倒れ伏す。勝利である。
三上Ⅲ:「レダ! やったぜ。支援に感謝する!」
GM:戦闘の余波で、かつての坑道跡が崩れ、さらに下の階層に巨大な穴が開き……軍が保管していたであろう戦略資源がぎっしり見つかった。
三上Ⅲ:[願望]やら[支援RP]があると達成値が爆発するなあ。フェイズ2周目はその辺り、必須だな。
ラウパナカ:目標値20ともなると、素ではほとんど成功しませんからね……。
GM:討伐ミッション成功です。翼足のおばちゃんが、3000カウリもの大金を報酬にくれた。カウリは、貝殻でできた貨幣ですね。
余剰[資源値]が増えたので、大型の重輸送スキマーを支援に呼べるようになりました!(編注:現行ルールと多少異なる)
ここにいたるまで、ラウパナカ隊は訓練を重ねて飛竜を強化し、さらに大竜母の[資源値]も十分蓄えた。
満を持して、いよいよ次の場面は、「実戦フェイズ」である……!
「暴風、その名はルドラ」(前編)終わり
後編につづく
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