見出し画像

day12ー20世紀時点で脳波からわかったこと

Klimesch, W. (1999). EEG alpha and theta oscillations reflect cognitive and memory performance: a review and analysis. Brain research reviews, 29(2-3), 169-195.

1999年の時点でこんなに色々既に分かってたのかというくらい詳しいパワースペクトルのレビュー論文。

前提知識

簡単に言うと、よく「脳のアルファパワーで蘇る!リラックスパワー」みたいな広告ありますよね?ないか。
アルファとかシータとかは、要するに脳から発せられる微弱な電磁波を解析したもので、アルファとかシータというのは周波数成分に分解したときに得られる特定の帯域の強さのことです。詳しくは物理学のフーリエ変換を学びましょう。ちなみに私は学んでいません。

一般的知見

高アルファパワー(upper alpha power)は大人になるに連れ上昇するが、それ以降は減少する。
一方シータパワー(theta power)は大人になるに連れ減少する、それ以降は上昇。

認知に関する知見

良いパフォーマンスは、①瞬間的なアルファパワーの上昇とシータパワーの減少、②長いフェーズでの(event-related)アルファの減少とシータの上昇と関係する。
event-relatedな解析の結果、高アルファパワーの脱同期(event related desynchronization)は(意味の)長期記憶パフォーマンス(貯蔵された記憶から必要な記憶を探し、引き出す能力)と正の相関がある一方、シータパワーの同期(event related synchronization)は新しい情報をエンコードする能力と正の相関がある。
高アルファパワーは視床ー皮質フィードバックループ、シータは海馬ー皮質フィードバックと関係がある。

所感

さすがに1990年台の論文なため、知見が「一般的」になりすぎて個人差や因果関係を全く考慮していない。
例えば高パフォーマンス=アルファ高いという知見は、単純に被験者を記憶力の良い人と悪い人に2分割して比較した結果から得られている。
ただ、とてもきれいにまとまっている論文だったため勉強になった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?