ぜんぶすきだけど_とくにすきな子たち_191024_0009

大丈夫なんだっていうことを言いたくなった。


今日、ひさしぶりに、言葉が落ちてきた。


突然、言葉が落ちてくる、ことがある。
最近はあまりなかったけれど、時々ある。
街をあるいているとき、電車に乗っているとき、ひとりでいるとき。


それはたぶん上の方から落ちてくる。
上空から、落ちてくる。
徐々にわたしの頭上に近付いてくる。
そのままわたしの頭を、のどを、胸を通り抜けて、わたしのまんなかに落ちてくる。


それは、なんというか、全体的にまるくて、つやつやしていて、輪郭のぶぶんがほんのり発光している。
生まれたてのあかちゃんみたいな感じだ。
だからわたしは、ちゃんと抱きとめる。
「よく来たね」っていう気持ちで、抱きとめる。
ほんのりあたたかい物体。


わたしのなかは苛烈で熾烈だ。それは事実で。
だっておもねたら崩れる。ぐずぐずに崩れて、立っていられなくなる。だから抵抗する。
そのたび、そうだ、これがわたしだったって思う。思い知らされる。
『生きてるだけで、愛。』の寧子の言葉を思い出す。過去に言われた言葉が思い出される。息がつまる。


でもおなじくらい、長いこと会っていない旧友の、その後の人生とその幸せをなんとなく願ったり、
街ですれ違った見知らぬふたりの未来を想像したり、
きれいに塗られたマニキュアを見て、その子がだれかのためにかじぶんのためにかはさておき、広げた指の、その先一枚一枚に、やさしく色をのせたときの心の静謐さを想うことだってある。


言葉が、落ちてくる。
わたしは、それをちゃんと抱きとめることができる。


だからなんというか、大丈夫なんだ。
大丈夫なんだっていうことを言いたくなった。
それだけです。


#日記 #エッセイ

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