私のこだわり旅
旅は好き。
若い頃から夫がまとまった休みを取れると決まったら、宿を探し予約できた場所へふたりで旅することが多かった。
仕事柄、夫の休みの日程は前もってわからないことが多く、出発の前日にようやく行先が決まるなんてこともあった。休みがとれるかどうかもわからないので事前に計画を立てるのは不可能だった。
機会があれば行きたいと思っているいくつかの地域の「るるぶ」「まっぷる」等、旅雑誌の最新版が家には常備してあり、休みが確定すると、とりあえず第一候補地を決め、それらの雑誌に掲載されているホテル情報を元に片っ端から電話。そこがダメなら次の候補地のホテルをあたるようにした。ネットなんてない時代、それしか方法がなかった。
今思えば不思議だけれど、ほぼ第一候補の地域で泊まることができたし、そこがダメでも次の候補のどこかでは必ず予約できた。宿が取れないと言う理由で旅行中止ということは一度もなかった。この料金でこんないい部屋でいいの?と思うことも何度かあった。日にちが迫ってからのキャンセルがけっこうあったのだと思う。
それとは逆に、ゴールデンウィーク中とはいえ、普段は布団部屋として使っていると思われる部屋に案内されたときも一度だけあった(かなり高額な宿泊料金だったけれど、もし格安だとしてもここへ客を泊めるの?…みたいな部屋)が、本来客室ではない場所に無理やり設置された小さいテレビから翌朝に流れてきたアイルトンセナの事故死の衝撃ニュースの記憶は、私の中ではあまりにもみすぼらしい部屋の様子とセットになっていて忘れることはない。いろいろな意味で強烈な思い出。
おっと話が逸れてしまう。
夫はとにかく美味しいものが食べたい人。
宿さえ確保できたら、次は一目散に飲食店情報探し。
今のようなネット社会ではなく、旅雑誌が非常に役立った時代。
夫は、それらで丹念に飲食店情報を集め、念のため現地のホテルのフロントやガソリンスタンドの店員さんからも情報を仕入れたりした。
隠居生活の今は、旅の予定が早く決められるので、決まったらさっそくネットで飲食店情報を集めている様子。
宿泊に関しては、料理が評判の宿に泊まることもないわけじゃないが、だいたいはお手頃価格のビジネスホテルを選択。そしてネット情報で見つけたお店で夕食というケースが多い。
ネット情報でも当たりはずれはあるはずなのに、夫が見つけてくる飲食店には今のところ99%満足している。
現役時代にそのくらい熱心に仕事をしていたら大出世したんじゃない?と言いたくなるほど真剣、なおかつ、こだわりのネット検索(笑)
一方、ひとり旅も大好きな私。
実は、食にはまったくこだわらない(笑)
できれば飲食店で食事をしたいとは思っているけれど、諸事情でホテルの部屋でのコンビニ食になったとしても、ビールさえ確保できていれば満足。ビールじゃなくても酒の類さえあれば…つまりアルコールを摂取できればそれでよし。
だから私自身は、旅にこだわりなんてない、と思っていたのだが、これを書こうと思ったときに気がついたことがある。
近年の私のひとり旅の目的はライブ遠征のためがほとんど。
でも、旅がライブだけで終わるのはせっかく遠出するのだし、宿泊交通費を使っているのだからそれがライブのためだけではもったいないと思ってしまう。
ということで、旅の日程を考えるときには、当然どこかで寄り道できないかと考えている。
それが私のこだわり…かも?
ライブの楽しさを知る前は、18きっぷ等の乗り放題きっぷを使った鉄道旅が好きで、その旅を計画するときも、効率のいい乗り継ぎを考えると同時に、必ずどこかに寄り道できるように考えていた。
乗り放題切符にはいろいろな制限があるのだけれど、その制限の中で自分にしか思いつかないルートや寄り道を考えるのが楽しい。
ライブ遠征では高速バスを使うことが多く、乗り継ぎを考える必要はほとんどないけれど、旅の計画を立てるとき反射的に寄り道できる場所を探しているのは今も変わらない。
日頃はズボラというか、何に関しても大雑把な性格なのに、旅の計画はきっちり立てる。
特に乗り放題切符だと特急列車には乗れない等の制約があるため、時刻表をちゃんと調べて乗り継ぐ場合の出発時刻を把握しておく必要がある。
乗り放題切符を使う旅は、切符が使える範囲で有効期限内ならばどういう行程でもいいのだし、期限内でどこまで行って帰ってこられるか、さらにその中で鉄道に乗ること以外で何を楽しめるかを考えながら計画を立てるので、それはとても楽しい作業。しかしながらうっかり時刻表を読み間違うなんてことがあると、大変なことになる。なので何度も確認しながら、行程を考える。それも含めてすべてが楽しい。
一方、高速バスの旅は「door-to-door」なので、そういう作業は要らないが、例えば復路の出発をひと便遅らせあの場所へ行こうか等々、寄り道を考えるのはやはり楽しい。
以上の理由により、私は旅の計画を立てるときだけはきちんとした人間になる(苦笑)
そして、もちろんきちんとした計画表を持って出発する。
しかし…(笑)
以下に述べることが私の本当のこだわりなのかも。
いざ出発してしまうと、きちんとできない性格(笑)
本人としてはけっしてこだわっているつもりはないのだけれど、なぜか計画時には思いつかなかった寄り道を旅の最中に思いついてしまい、ルート変更してしまうことが多い。
今まででいちばん記憶に残るのが、初めての本格的なひとり旅での大胆なルート変更。
この旅日記は自分で経験したことを書いただけのものなのに、今読み返してもドキドキワクワクする(笑)
突然のルート変更したおかげで眺めることができた宍道湖の夕景は今も目に残っている。
この旅以外でも、ライブを堪能し神戸三宮から帰る日、久々の神戸だったにも関わらず、それらのどこかへ行こうかなと考えていた神戸グルメも異人館も南京町もメリケン&ハーバーエリアもすべてパスし、姫路城を見に行ったことがある。
このときは、今まで山陽電鉄に乗る機会がなかったなぁ~とふと思いついてしまったことがきっかけ。
思い立ったが吉日(笑)なので、さっそく三宮・姫路の1デイチケットを購入して姫路へ。
こういうトクトクきっぷの情報は日頃から頭に入っているというか入れるよう努めている。
姫路まで新幹線を使わなくてもじゅうぶん日帰りができる場所に住んでいる。だから何度も行ったことがある。
でも、姫路城が大修理後の白すぎるお城になってからはお城を間近では見ていなかった。
帰りのバス予約を最終便にしていたから時間はたっぷりある。
真っ白になっお城を存分に眺めてから三宮へ戻ってバスに乗ることは可能と判断。
お城を堪能した後に、ここから三宮へ戻ってバスで帰るのと、姫路からJRの普通列車で帰るのとどっちが早いんだろう?という思いがちらっと頭をよぎった(おそらく時間的はJRの方がやや早いはず)のは事実。
でも、まずは予定外の行動を思いついたこと、実際にそれを実行できたこと、それだけで満足。
最近、改悪と言われて話題になっている青春18きっぷについては、過去に連続した5日間をまるまる使い、居住している四国から、北は仙台まで、南は鹿児島まで行ったことがある。
河口湖でのライブに行けると決まったときは、最初ごく普通のルートを考えていたはずなのに、普通に考えられるルートでもけっこうアクセスが面倒なことがわかり、それならば期間中なので18きっぷ使えばいいじゃんと思ってしまった。結局、ゆっくり時間をかけて河口湖まで行き、帰りもあちこち寄りながらゆっくり帰ることを決めて実行した。18きっぷを使ったルートにしたおかげでライブ前日に富士山の姿をカメラに収めることができた。
けっして気が長くない私が、この日は相当気長に雲が切れるのを待ち、でもすぐ後方からどす黒い雨雲が迫ってきているのを気にかけながら撮影できたのは奇跡だと思っている。撮影後数分も経たないうちに土砂降りになったのだから(富士山の撮影日は2012年8月31日)
これら以外でも18きっぷを使っては、名古屋経由で北陸方面だとかいろいろ乗った。
鉄道ファンならば全線通して乗りたい飯田線にも乗ることができたし、ムーンライトながらの東京→大垣間も一度だけだったけれど乗ったことがある。
この類の列車に乗るためには事前の計画は必要だけれど、降車前後はいろいろなルート選択肢があり、どれを選ぶかはそのときの気分次第。
今までの18きっぷは期間中であれば連続した日ではなくても乗ることができたので、2~3日分だけ宿泊を伴う連続日で使い、残った分は日帰りで行ける岡山や徳島などへのお出かけに使うこともよくあったのだが、今回の青春18きっぷ改定ではそういうことができなくなる。
改定により自動改札が通れるようになったそうだけれど、改札のない無人駅が最寄り駅である私には関係のないこと。連続しなくても使える方がいいし、複数人で使える方が便利だと思うが、これも時代の流れなのか…?
またまた話が逸れた。
ひとり旅の話に戻すと、私としては、鉄道旅でも高速バス旅でも、宿泊場所が確保できていることと、旅最終日の復路で家の最寄り駅までの最終便の時刻さえ頭に入っていれば大丈夫だと思っている。
自分に不相応なことに執着したりこだわったりするのではなく、日程や予算、また使う路線や切符の範囲の中で実行可能なことをふと思いついたとき、その時点での自分のこころの声に従って(笑)行動することに、ほんの少しばかりこだわっているだけ…。
この東京駅の写真は、ライブ遠征&旧友たちに久々に会うこと&小湊鐡道といすみ鉄道に乗車することが目的だった旅の最終日の撮影。
神奈川に住む10代の頃からの友達の家から東京駅まで戻ったとき、ちょうど陽が落ちてくる時間だったので、ふと思いついて丸の内側で降りて撮影したもの。数時間後が夜行高速バス乗車時間だった。お天気がよくて、乗車前の食事をする時間にも余裕があったから撮影できた。
東京駅駅舎は何度か撮影しているけれど、この夕暮れの間帯で撮影できたのはこのときだけ。
めっちゃタイミングがよかった。
荷物預けていたのも八重洲側、もちろんバス乗り場も八重洲側だったのに、我ながらよくぞ思いついたものだ、と今でも自分で自分を褒めている(笑)