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昔ながらの「さぬきうどん」についてのひとりごと

コンビニの数よりもうどん店の方が多いということでいつのまにか「うどん県」と呼ばれるようになった讃岐の国に長年住んでいる。
本当にコンビニの数よりうどん屋さんの数の方が多いのかは数えたことがないから知らんけど(笑)

近年はゴールデンウィーク中は営業を休むうどん店も増えているけど、今年もこの連休中営業していたうどん屋さんには長蛇の列。たかだか「うどん」に並んでまで食べようと思わない私には異様な光景。
たかだか…と言ってしまったけれど。
少なくとも私が知っているこの地域のうどんはお昼に100円ちょっとの値段でささっと食べられるものだった。
安くてうまいのがあたりまえのものだった。
行列なんてなかった。

讃岐うどんブームが起こる前までは…。

讃岐うどん店にもいろいろなタイプのお店があり、お店によってシステムが違うし、メニューも違うから、観光客がどっと押し寄せるのは、迷惑と感じてしまう昔ながらのお店は休むことを選択するようになったらしい。

大型連休に入る少し前の土曜日だったか、うどんメニューとしては「かけ」と「しょうゆ」と「ざる」と「冷やし」と「湯だめ」と「釜あげ」しかないお店で「きつねうどん」と注文するお客さんを見かけた。
そこは半セルフ店。
うどんは食べられる状態で出されるけれど、ネギも生姜も、好みのあげも天ぷら類も自分で皿に取る、もしくは丼にのせるシステム。セルフ店だと支払い方法はお店によっては先払いのところもあるが、この店は後払い。自分で食べたものを申告し計算してもらって払う。このうどん屋さんにとってはその方が効率がいいのだと思う。
私がたまたま目撃した、きつねうどん事件(笑)は、昼時で次々人が入ってくる時間帯だった。それでもこのときはお店の方も「きつねうどん」をくださいと言われて「かけですね、揚げはご自分で入れてください」と言えるくらいの時間の余裕があった。
でも…。
もしメニューにきつねうどんがないうどん屋なんてありえないと思っている客ばかりが混雑時にどんどん入ってきたら…。
きっと、お店の人の方が調子がおかしくなってしまう。

だからゴールデンウィーク中は休む店が増えたのかも?


実は…私はうどん好きではない。
空腹時にうどんとラーメンとそばの中で好きなものをひとつ選べと言われたら、即刻うどんを除外し、そばとラーメンで迷う人間。
けっして嫌ってはいないはずだが、ひとり行動のときに出先でお昼の時間になると、うどんを食べたいだとか、うどんを食べようとかと思うことがまずないということは、私はきっとうどん好きではないのだ!(苦笑)

一方、夫はうどんが大好き。麺類全般が好きで、でもコスパがいいこともあってか、勤めていた頃の彼の昼食のうどん率の高いこと。
営業職だったこともあって、県内の美味しいうどん店は、ホントよく知っている。
知らないお店を見つけたら必ず入るようにしていたとかでその中には美味しくなくて二度と行くことはなかったというお店もけっこうあるそう。
おかげで、私は今まで県内の美味しいうどん店へ効率よく行くことができている。

外でひとりで食べることはまずないけれど、夫と一緒だったりあるいは友人・知人と一緒のときは、この土地に暮らす以上、絶対に避けられないのがうどん。
そういう理由で、私はこの地でこれまでも数えきれないくらいうどんを食べてきた。

そんな中、ありえないくらい不味くて食べ残したというのは1店舗だけ。
そこの店は茹でてから長時間放置していたうどんを出してきた。ぱっと見にはわからないようにしていたけれど、そんなの口に入れたらすぐわかる。時間が経ち過ぎたうどんは、我慢して食べることも不可能なくらい不味い。そういう麺をしらっと出してきたということは、私たちは観光客に間違われたのかも。
その店以外では、食べ物を残してはいけないときつく言われて育ったおかげで無理して食べたが、もう二度と行かない、全然美味しくないと思ったお店もほんの数軒とはいえ、あるにはある。
それらはすべて有名店。
老舗の支店だったり、全国放送のTV局で取り上げられたり、あるいは香川以外の国内だけでなく世界展開をもしていたり…の店。
私が食べてきた回数に比べると美味しくないと思った店が少ないということは、やはりこの土地のうどんは美味いのだろう。
夫が「mikelanが美味しいうどんばかり食べてこられたのは、俺がまずいうどんもさんざん食ってきたおかげだ…」と言っているので、ただ単にそのおかげかもしれないが…(笑)

いずれにしろ「うどん県」と言えど、県内のすべてのお店のうどんが美味しいというわけじゃないし、すべてが自分好みでもない。
味覚は人によって違うから、美味しく感じられないお店もあることは確か。


いつだったかJRの駅前で、旅行中らしき数人のおばさま方に美味しいうどん屋さんを教えてと言われた。
当時の駅前には私が美味しいと思う店はなく、商店街の中に観光客でも満足できるだろうと思える店が一軒だけ思い浮かんだので「歩いて15~20分くらいのところにあるお店ですが、私もそっち方面へ行くのでご一緒しますよ」と答えると、全員が口を揃えて言ったのが「え~そんなに歩かないと、うどん屋さんはないの?」…だった。

いやいや、そこまで歩かなくてもお店がないわけじゃないんだけれど…。
うどん好きじゃない私だからこそ、うどん県の住人として他県の方に胸を張っておススメできるお店はそんなに多くないのですよ…苦笑。

店の数も多いし、好みは人それぞれ…。


個人的には、小麦粉の風味と旨味が感じられ、のどごしがよく、それでいてしっかりとしたコシがあって、雑味のないやや薄めの出汁のうどんが好き。
幸いなことに、これはうどん好きの夫も、うどん好きではない私も同じ。

個人的には全国的に有名になった「釜たまうどん」は邪道だと思っているので、お店で食べることはない。
というか…我が家が行くことが多い昔ながらのタイプのうどん店に、釜たまのメニューはない(笑)

釜たまは美味しいけれど、うどんの味がたまごでわからなくなる。
お店で食べないのになぜわかる?って…。
それは、釜たまは、家でお昼に何も食べるものがないときの私の非常食でもあったから。
その頃は冷凍うどんは鍋の〆にも最適だったから、必ず常備していた。

今、うちの冷凍庫にうどんがないのは、冷凍麺のもちもち感が強くなってしまったことに因る。
以前の加ト吉(テーブルマーク)の冷凍うどんはへたなお店で食べるよりもずっとうどん本来のコシがあって美味しかったけれど、今の商品はもちもち感が強くなりすぎた。
もちもちするうどんは、夫も私もまったく好まない。
県内でも、もちもち感の強いうどんを出すお店が多くなった。
チェーン店でありながらも、レベルが高く好みのうどんを出してくれていたお店のうどんが突然もちもちに変わってしまったり、個人で試行錯誤しながら美味しいうどん作りに励んでいた若者のお店も、もちもちうどんの店と銘打つようになったりで、行こうと思えるお店が減ってしまったのは何とも残念。
でも…。
今はそういうもちもちとしたうどんの方が好きという人が増えているらしい。

時代の流れ…(´;ω;`)


最近は揚げたて天ぷらを売り文句にしているお店が増えたけど、我々にはそれも必要ない。
トッピングで天ぷらを選ぶことはもちろんあるけれど、メインはうどんと出汁。トッピングは、出汁にほんの少しばかりコクが出て、うどんの旨味が引き立つようなものでじゅうぶん。
揚げたて天ぷらよりも、作り置き天ぷらの方が讃岐うどんには合うと思っている私には、二度と行かないと思った有名店でうどんを後回しにし、先に揚げたて天ぷらにかじりついている県外からと思われるお客さんたちの姿がめっちゃ異様な光景に思えた。
あ、もちろんうどんの食べ方に決まりはなく、これはあくまで個人的感想です<(_ _)>
そのお店の出汁は、かけうどんしか頼まなかった私には雑味が感じられ、讃岐うどんという食べ物としてはまったく美味しくないという感想。
でも…。
昔ながらの讃岐うどんを知らない人が、天ぷらがメインのうどん店だという認識でやってきて食べたら、出汁のあの雑味はわからないだろうし、うどん本来の味が感じられなくても、揚げたての天ぷらがとっても美味しいうどん屋さんだったと満足して帰られるのだろう、と天ぷらに舌鼓を打っている人々を見てそんな想像をしてしまった。もし本当に私のその想像が当たっているのなら、うどん店じゃなく、天ぷらのお店へ行けばいいのにね…とも思った。


以上うどん好きではないうどん県民のひとりごと。











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