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「笑ゥせぇるすまん」オリジナルストーリー/「骨董ぐるい」後編・みけ子作

*藤子不二雄(A)氏原作の「笑ゥせぇるすまん」。TV放送されていた当時、大好きで毎回楽しみにして見ていました。喪黒福造氏の首相就任⁉️を祝い、大昔に考えたオリジナルストーリー思い出して、1本のストーリーにまとめここに公開します💦

前編はこちらから↓

後編をどうぞ♬



場面変わって、古尾の自宅。飾り棚には所狭しと紐のかかった桐箱や古い陶磁器が並ぶ。部屋の外からは、

子ども「ねぇ、パパはまた変なツボ買って来たんだね〜。」

妻「そうなのよ。家計が苦しいのに全く呆れたもんだわ💢」

その部屋の中で、手に入れた鶏龍山徳利に日本酒を注ぎちびりちびりと飲む古尾。愛おしそうに徳利を撫でまわし、頬ずりせんばかりの様子。

古尾「たまらないなぁ、私はこうして一人で晩酌をするのが、唯一無二の楽しみなんだ。素晴らしいうつわだなぁ。こんな凄いうつわが手に入るなんて夢のようだ……。もうこれ以上の徳利は手に入らないだろうなぁ。」

数週間が経ち、あいも変わらず満員電車での通勤で、会社と自宅を往復する古尾。会社での精気のない様子と打って変わって、自宅でのひとり晩酌の時間はなんとも嬉しそう。そのひと時にのみ憩いを見出している様子。

徳利を撫でまわし、独りごちる古尾。
古尾「素晴らしい鶏龍山の徳利。これはもう私だけの宝物だ❣️私はなんてラッキーな人間なんだ……。うん、だけどこの徳利に似合うぐい呑みがあったらなぁ。唐津のぐい呑みがいいなぁ。この鶏龍山に唐津のぐい呑み……。合わせてお酒を飲めたら、どんなにかいいだろう‼️唐津かぁ。」

思い直して首を振ってそんな思いを振り払う古尾。

古尾「いやいや、喪黒さんとの約束だ。この鶏龍山だけを大切にするんだ❣️」

その様子を窓の外から見つめる喪黒。

そしてさらに数週間。場面変わって、骨董屋街を歩く古尾。ウインドウにはさまざまな骨董が並ぶ。

古尾「鶏龍山の徳利はもちろん素晴らしいんだ。だけど骨董好きで日本酒好きならそれに唐津のぐい呑みで飲みたいんだよなぁ。だけど唐津のぐい呑みも骨董ファンの垂涎の品だからなぁ。喪黒さんとの約束もあるし、我慢しなきゃあ」

とある骨董店のウインドウに唐津のぐい呑みを見つける古尾。驚いて駆け寄り、ウインドウに張り付くように見つめる。

手前2つが唐津ぐい呑み
別冊太陽骨董を楽しむシリーズより

古尾「うわっ、唐津だ❣️唐津のぐい呑みだ❗️いいなぁ、素晴らしいなぁ。こんなものが手に入ったらなぁ💖」

店の中から店主が顔を出す。
店主「ああ古尾さん、いらっしゃい。お久しぶりですね。その唐津、いいでしょう?先日市で見つけたばかりでしてね。今日お店に出したんです。このぐい呑み、よっぽどこれまでの持ち主に愛されていたんでしょうね〜。お酒を含んで肌がツヤツヤしてますよ。どうです?ちょっと手に取られて見ませんか?」

骨董店に吸い込まれるように入って行く、古尾の後ろ姿を見つめる喪黒。

店内に招き入れられる、古尾。店の背後には様々な種類の骨董類が所狭しと並ぶ。抹茶茶碗、染付のなます皿、大ぶりの伊万里の皿、塗りのお盆やお膳。そしてこれも伊万里の古い磁器製の着物姿の人形も。

平凡社刊 別冊太陽「骨董屋さんシリーズ」より


平凡社刊 別冊太陽「骨董屋さんシリーズ」より

古尾「あっ、はぁ。そ、そうですね。うわぁ、素晴らしい唐津ですね〜💦」

店主「古尾さん、最近いい徳利を手に入れたと、この界隈でウワサになってますよ。狭い業界ですからね、そう言うウワサは伝わるの早いんですよ。」

古尾「わっ、そうなんですか?しかし良いなぁ❗️本当に素晴らしいぐい呑みだなぁ‼️惚れ惚れしますね💖確かに先日入手した徳利にはピッタリで……。」

店主「そうでしょ?骨董の品は一期一会(いちごいちえ)の出会いですからね。一度逃したらもう二度と再び貴方の前には現れないでしょう。いかがです?他ならぬ古尾さんならば、お安くしておきましょう。何なら分割のお支払いでも良いですよ。お値段はこれです。」

電卓に数字を打ち、それを古尾に見せる店主。目を丸くして見つめる古尾。

古尾「か、か、買います❗️私に是非譲って下さい‼️お願いしますっ‼️」

品物を包んでもらい、ホクホク顔で店を後にし家路を急ぐ古尾。街路樹の陰からそれを見送る喪黒。

場面変わって古尾の自宅。自室で買ったばかりの唐津のぐい呑みの包みを開き、愛おしそうに両手で捧げ持つ古尾。その表情は喜びに輝いている。

その様子を窓の外から眺めていた喪黒だったが、ガラッと窓を開け勝手に古尾の部屋に侵入してくる。はっと怯えた表情をする古尾。

古尾「喪黒さん、これは違うんです❗️これは決してあなたとの約束を破った訳ではなくて……‼️」

喪黒「古尾さん、何が違うんですか?あなたは私との約束を破りました。この前の鶏龍山の徳利で最後にしていただけるとのお約束だったじゃないですか。約束をお忘れですか?ご家族は呆れていましたよね。どうなるか覚悟はおありでしょうねぇ?」

古尾「あ、喪黒さん、わ、わ、私はその……」

喪黒「ど〜〜〜〜ん‼️」


古尾「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜っ‼️」


…………… ……………  ………………  ………  、、、、。



場面変わって日中の戸外、古尾の自宅の前。家の前に停められたトラックに家財道具が運びこまれている。それを悲しそうに見つめる古尾の妻と子ども。


子ども「ママ、パパはどこに行っちゃったの?もう帰って来ないの?」

古尾の妻「パパは……パパは……(T . T)」泣き崩れる妻。

その荷台の家財道具や古道具、骨董類の中に、30センチ程の伊万里磁器の人形がある。古尾氏の家から出発して行くトラック。近くで立ち話をしている近所の主婦が2人。

主婦1「古尾さんの家もねえ、ご主人が行方不明になっちゃって、奥さんも子どもさんもこれからどうするのか……。この家は売却するらしいわよ。」

主婦2「そうねぇ、ご主人が骨董趣味でお金を使い果たしちゃって。家のローンも支払えないし奥さんもお子さんも気の毒ねぇ。ご主人も行方知れずじゃあ……。仕方ないわよねぇ。」

家から遠ざかって行くトラックの荷台の、骨董の古伊万里の人形がアップになる。その古伊万里の人形、左頬に大きな黒子が付いている。


ありゃリャ?ナンダこのテキトーな絵は?(笑)

喪黒「なにごともほどほどの欲望で済ませられれば良いんですけどねぇ。骨董趣味は際限が無いというか、一度手に入れると歯止めが効かないんですかねぇ。あんなに素晴らしい徳利を手に入れたのに、それで満足できなくなるなんて、人間の物欲って本当に際限が無いんですねぇ。まぁ、古尾さんもこれで大好きな骨董の器に囲まれてずっと過ごせるんでしょうから、考えてみればハッピーエンドかも知れませんねぇ……。お〜っほっほっほっほっほ〜(笑)」

遠ざかって行くトラック。そして荷台で揺られていた、磁器の人形が振動で横倒しになる。その場から歩き去る喪黒の後ろ姿……。




オリジナルの「笑ゥせぇるすまん」はどれも大変優れたストーリーでとても面白いので、是非ご視聴なさって下さいね ♪ やはりみけ子は故・大平透氏がアテレコした昔の作品が好きです。(思わず見る度に口真似したくなる、あの独特のセリフ回し❣️)ご参考までにこちらをどうぞ♬ どれもブラックな展開で面白いですよ。↓

https://www.youtube.com/watch?v=2LUnvmGLt_o


そしてこちらは解説の動画です。こちらも裏話的な内容で面白い。喪黒ワールドにどっぷりな方におすすめです。



↓花唐草の堂々たる大皿。繊細で華やかな絵付けは。伊万里好きなら1点は持っておきたい一品です。この機会に是非♬


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