母親の呪縛が強い人って、その後の人生に悩んでしまうことが多い(のかな?)
みけ子の数少ない友だちの一人に、幼馴染みの千春ちゃん(仮名)がいる。色白でおっとりしていて優しい性格。人と争うのは苦手で、周囲とは上手くやって行けるタイプの人だ。だけど結局今まで結婚歴はなし。同じく独り身の弟と、両親が残した市内の戸建て住宅に暮らしている。
その千春ちゃんと少し前に久しぶりでお茶した。彼女はみけ子と同級生だから、ちょうど仕事の定年の時期らしい。最後は派遣だったみたいだけどオフィス関係のお勤めを長く続けて来たみたいだ。
みけ子が長いこと両親の介護や子育てに毎日のエネルギーの大半を取られていた時は、お互い連絡を取り合う機会もなかった。しかし。お互いに両親は亡くなり、彼女のお母さんが亡くなったお葬式の時にLINE交換して会うことになったのだ。
みけ子と同い年の、昭和30年代半ばの生まれ。日本は高度成長に沸き立ち、田中角栄が「日本列島改造論」をぶち上げた時期とも重なる。つまりは私たちの成長期は、日本が右肩上がりでイケイケ状態とほぼ同時期だったのだ。お互い良い時代を過ごしたと思うわ。
千春ちゃんのお父さんは公務員で、お母さんは専業主婦。お父さんは穏やかで優しい人で、お母さんはおしゃべり好きで賑やかな人だった。どうもその千春ちゃん姉弟はそのお母さんの呪縛が強すぎて、望んでいたのに結局、姉弟とも結婚出来なかったように思える。(←みけ子の勝手な想像です)
今でいう「過干渉」なお母さんだった。手先も器用だし料理も上手い。いけばなの腕は師範級だったと思う。家の中のことは専業主婦として上手に切り盛りしていたんだろう。一家の主婦として采配を奮っていたその自信からか、それとも元々の性格なのか子どもたちを習い事に熱心に通わせたりしていたと思う。千春ちゃんも弟も割合素直で優しい性格だったので、熱心で愛情深いお母さんの干渉にNOと言えずに育ったのだろう。母親の言うことには素直に従い、わがままを言うこともなく勉強も出来て、彼女は隣県の国立大学に現役合格した。
勉強に関しては順調だったけど、考えてみれば彼女は小さい時から病気がちだった。体格はみけ子より良く身長も高い。体が弱そうな感じはなかったけど何だかしょっちゅう病気をしていたし、(当時では珍しい)一時期不登校になったりした。
ごく小さい時、彼女はストレスからか着ている服をハサミで切ってしまった、ということをよくやっていたみたいだ。
病気で数ヶ月入院して小学校で1学年下になったり、無事に入学した国立大学も一人暮らしが馴染まなかったのか結局途中で退学して、自宅に戻って地元の女子短大に入学し直したりした。結構、紆余曲折があった人生なのかも。
今現在、腰を痛めているとかで派遣でのオフィスワークはお休みしていると言っていた。仕事はこれからも頻度を落としながらも続けたいみたいだ。仕事がヒマな時に民泊清掃のアルバイトしないかな〜?とちょっと思ったんだけど、腰痛では難しそうね。
千春ちゃんは、今もおっとり穏やかで周囲には敵もライバルも少なそうだ。きっと友だちも多いのだろう。だけど、結局一度も結婚することもなく現在に至っている。それが良いとか悪いとかではないけれど、家庭に入っても家の中で夫や子どもたちに慕われる、良いお母さんになったと思うのだが。何かと周囲に噛み付くみけ子(笑)とは全く違う。
比較的内向的な性格で優しいから、指示的で過干渉な母親の言うことに反論も出来なかったのか、と思ったりする。親の過干渉は子どもからやる気や生きるエネルギーを奪ってしまう、と聞いたこともある。
同じ時代に生まれて仲の良い幼馴染みの関係だったけど、今現在お互いの周辺環境はまるで違う。どちらが幸せとか不幸だとかは思わない。それぞれの生き方をその場その場で選択しながら、人は生きていくのだから。
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