東京島嶼まぼろし散歩#03/日本列島に住むヒトたち#03
「ヒトに繋がる猿人(アウストラロピテクス)たちは北アフリカで原人(ホモ・エレクトゥス)とも言うべき形に進化した。彼らは気候に追われ食物を求めて、アフリカから北へ拡散し、100万年ほどかけてユーラシア大陸の南側全体に広がったんだよ。アフリカはナリオコトメ原人。ヨーロッパはハイデルベルク原人。アジアのジャワ原人・北京原人がそうだ。その各地方の原人から旧人が派生し、新人が生まれた。旧人はネアンデルタール人やデニソワ人たちな。すべて絶滅している。新人から現人ヒトが派生している。
旧人は、約15万~3万5000年前に存在した。第三間氷期およびビュルム氷期の第一亜氷期あたりだ。新人は、約3万年前、後期更新世のウルム第1亜間氷期から派生して、今に至る。最初に産まれたのは北アフリカ、いまのチュニジアあたりらしい。彼らが北に拡散した。ヨーロッパだとクロマニョン人。中国の周口店山頂洞人や柳江人。日本の三ケ日人や港川人なんかがそうだ。
旧人は進化の罠にはまっていた」
「なに、進化の罠って??」
「世代を重ねると脳が大きくなる」
「なぜそれが罠なの?大きくなればアタマ良くなるんじゃないの」
「ん。頭が大きくなると、腰骨の間を抜けて出産できなくなる。死産になる。母子とも亡くなる。それが旧人が全滅した理由だ」
「・・びっくりね・・妊娠すると死んじゃう訳?」
「そうだ。新人はこの罠を越えた」
「どうして?」
「ヒト類・類人猿も含めて18か月が妊娠期間だ。新人は10か月で出産する。超未熟児として産まれるんだ。産道を通れるうちに産んでしまうんだ」
「それも、びっくりね」
「超未熟児だから、放置すると24時間程度で死んでしまう。旧人に対して新人は強い社会的な絆を作らないと種を守れないんだ。実はこの超未熟児に子を産み育てることが、現生人類の特性を大きく作り上げているんだ」
「どういうこと?母子と深い絆が必要だ。母は単身で子育てができない。だから父母に強い絆が必要だ。生まれてきた子も、他の生き物にないほど長い間、命を支えてくれる保護者か必要だ。これが精神世界に大きく影響を与える。夫婦愛とか絶対的神とか・・そういうものは、おそらく超未熟児出産という選択肢を選んだことから生まれたに違いないと僕は思うよ。おそらくだね、旧人と新人とは、社会構造そのものが違ったんだろうな。そして精神構造そのものも大きく変わったと僕は思う」
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました