石油の話#15~おわり/グレートリセット
今世紀に入るとともに、石油の世界はメジャーズ/OPEC/NOCの鼎立の時代になった。後者二つは根の部分で相変わらずメジャーズの支配下にあったが、それでもその独自性/自律力は日増しに増えていった。メジャーズは力を失っていった。たしかにキッシンジャーが仕掛けた「ペトロダラー制」は生きていたが、所詮は「守ってやる」という約束の上に成り立っている楼閣だ。「守ってくれなくても結構」となれば・・いとも簡単に崩れ落ちてしまう砂上の楼閣だ。
となれば、メジャーズ(欧米)は、OPEC/NOCの領地以外に「新しい井戸」を求めるしかない。これが海底油田の開発であり、シェールオイル掘削だったのだ。つまり、この損益限界点に達しにくい/あるいは達しようもない井戸を求めたのは、供給という支配権を他者に渡さないためなのである。
いままさに、エネルギー供給をロシアに頼り切っているEUが陥っている罠・・こうした予測しうる「OPEC/NOCの逆襲」に対抗するための新田開発が、海底油田の開発/シェールオイル掘削だったのである。
シェールShaleとは頁岩のことである。薄片状になっている。その隙間に原油/ガスが吸い込んでいる場合がある。しかし地層的には深い。2000m以上地下のものばかりだ。極めて金がかかる。そのため、海底油田の開発/シェールオイル掘削は玉虫色に塗られて、投資対象としてプロパガンダされた。
そして多くのシェールオイル掘削が、まさに北米大陸で/自分の領地内で行われたのである。
しかし、シェールオイルは掘削してみると・・意外にすぐ枯渇することが分かった。つまり費用対効果が悪いのだ。それと掘削法として利用されている「水圧破砕」はさまざまな弊害を産み出すことが分かった。たしかに「マイクロサイズミック法」なるべく含有量の多いシェール層を見つけて掘るのだが、それでも採油量に限界はあり、その環境破壊は凄まじい。
それを別にしても、採算点という何とも越えられない壁が、露呈し始めると如何にプロパガンダしようとも海底油田の開発/シェールオイル掘削は10年ほどで失速し始めてしまった。しかしそれを救ったのは・・同時に採掘できるガスである。
いまメジャーズが総力を傾けているのは石油に近い価格で販売できるコンデンセート油などのNGLとシェールガスである。
いまこの瞬間の「シェール革命」は埋蔵量が確保できないシェールオイルから、大きくNGLとガスに転嫁しつつある。
実はいま米国は、世界最大の天然ガス生産国となっているのだ。
これが、僕がトランプがプーチンの言う第二ブレストンウッズ制である「金・コモディティ制」への切り替えを喜んで受け入れるであろうと言っている理由である。アメリカはいま世界有数のエネルギー産出国なのである。
既存ネオコンが従来からの集金システムに拘泥したとしても時代は大きく動いている。如何に抗おうとも個別な勝者は入れ替わる。これがいま訪れようとしている「グレートリセット」である
そのグレートリセットは、三人の天才たちの協働で推し進められるであろう。
ちなみに。再三繰り返すが、日本は有数の資源国である。アメリカの思考誘導によって、あたかも日本は何もない国にのように仕立てられているが、これは日本を植民地として食い続けるための大嘘だ。
プーチンの言う第二ブレストンウッズ制である「金・コモディティ制」は日本にとって、きわめて有用な方法なのだ。トランプの行こうとしている道を、我々は全力で追従すべきなのだ。
しかし・・だね。そのいっぽう・・日本が世界へ帰り咲く花道を、既存利権であるネオコンに盲従している政財界の輩が握りつぶすのではないかと・・大いに危惧してもいるのだ。一例は、スナイパーによって葬り去られた安倍さん事件。あれを徹底的に隠ぺいする官憲のやり口・・僕はその言論圧制に、強く日本の未来を懸念してしまう。