佃新古細工#12/佃島の海苔を干す風景
原風景としての佃は・・
佃島の海苔を干す風景は、心の中に一番深く残っている。
これが僕の原風景だ。
うちは佃小橋の傍・元佃だったから(佃小橋の向こうは、佃とは云わないのです。実はね)子供のころ、よくこの干してある海苔を啄ばみに行った。これが意外に美味しくてねぇ。好きだったな。ちょいとした午後の肴だった。
それで、手の届くトコを片っ端に啄ばむと、下の方はオシッコひっかけて逃げて来た。
まあ碌でもない餓鬼です。ごめんなさい。
これが見つかってフン捕まると、耳を抓まれてウチまで連れてかれた。ウチの同居してた叔母さんがよく謝ってたな。
でもさ。叔母さんに、そのことで怒られた記憶がない。その叔母さんに大きくなってから晩酌の席で言われたことがある。
「海苔ゃあイイんだけどね。ウマには参ったね。」
「ウマ?」
「駄菓子屋で買い物するとサ、友だちの分まで買ってやってサ。駄菓子屋の婆さんをウマでひっ連れて帰ってくンだよ。アレには参ったね。幾ら叱ってもね、大盤振る舞いしちまうんだ。
ウチの旦那はね、イイだろう! 将来オオオヤブンにならなぁな。と言ってたけどね、お足出すのはアタシだったからね。アレにゃ参ったよ」
・・まあ、碌でもない餓鬼だったことは間違いないです
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました