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東京島嶼まぼろし散歩#04/日本列島に住むヒトたち#04

「東へ広がった新人たちがアジアに辿り着き、棲み付いたところがスンダランドSundalandだ」
「スンダランド?どのへん?」
「今はない。海の底だ。新人たちがユーラシア大陸に拡散した頃、地球は小さな氷河期へ向かっていたんだ。彼らがアジアに着いた頃はヴュルム氷期になっていた。海面が今よりも100mも後退していたんだ。陸地の形は今とはちがう。タイランド湾から南シナ海へかけて大きな広大な沖積平野が有った。これがスンダランドだ。7万年前から1万4千年くらい前のことだ。ここに彼らは棲み付いた。ここに住んだ新人・・原アジア人とも言うべきかな・・彼らが5万年くらいまえから北上し始めてアジア人の原型になったんだよ。」

「スンダランドって何時までくらい有ったの?」
「ヴュルム氷期が終わって海進が始まるのは8千年くらいから。4千年くらいには完全に島々以外は無くなった」
「すごい話ねえ」
「スンダランドに棲み付いた新人たちが北へ広がり始めたのは5万年前くらいからだ。彼らはモンゴルへ広がりシベリアに至り、寒冷地適応するようになって、そしてシベリアから陸続きになっていたベーリング海峡を越え、アメリカ大陸に広がっていっんだよ。こうした所謂南から上がってきた"モンゴロイド"は旧モンゴロイドとわれている」
「新モンゴロイドという人たちもいるの?」
「ん。もっとコーカソイドに近いモンゴロイドだ。漢民族(華北)、チベット系なんかだな。背が高くして色白だ。・・おそらく新モンゴロイドは、スンダランドを経由しないでユーラシア大陸極東までたどり着いた人たちだったかもしれないな」
「アジアにたどり着いた新人たちは、幾つかのルートを辿って独自に突然変異を重ねながら来た・・ということね」
「そうだ。スンダランドからきた人たちは"スンダランド型歯列"という歯並びをしている。だから今でも出自はわかる。ちなみに日本に入って縄文人となったのは、スンダランドからきた旧モンゴロイドが中心だ」
「なるほどねぇ、その人たちが海を渡って日本へやってきたわけ?海を渡れるほど航海技術を体得していたの?」
「それがネックだ。新モンゴロイドが日本に入って来たのは弥生人以降なんだよ。
・・いまのところ分かっているのは、日本列島へヒト(新)が入って来たのは①サハリンから北海道に至る"北海道ルート"➁台湾から琉球列島を北上する"沖縄ルート"③朝鮮半島から対馬を経て北部九州へ至る"対馬ルート"という3つのルートが最有力だ。
このうち①ルートは陸路だったようだ。彼らが渡ってきたた4万~3万年前はまだ氷期でね、海は今よりも100mくらい低かった」
「明石原人・・とか?」
「あぁ、今は明石原人とは言わない。明石人という。原人かどうか確証がないんだ。だから"明石人"と呼んでる。戦災で実物も燃えちゃったしね。実際問題、藪の中だ」
「学校の教科書に乘ってたわ」
「ああ。僕の頃の社会科にもあった。・・実はどう追いかけても日本列島には原人、旧人も、その確認されないんだ。日本にヒトが入って来たのは新人からだったようだ。
・・話の続きをすると、①北海道ルートは陸路だった。しかし➁③は海路になる。かなり海が低かったから浅瀬も島も山のようにあったはずだ。それでも陸路はなかった。航海する技術がある者じゃないと日本へ渡ってこられなかったんだよ。
さっきの君の話になる。"海を渡るための航海技術"が必要になる。
「そのひとたちが縄文人と呼ばれるようになったの?」
「たしかに縄文人は"スンダランド型歯列"が多い。しかしそれほど単層的じゃないだろうな。①北海道ルート➁沖縄ルート③対馬ルートが折り重なって入り込んだから、北方ルートで入った新モンゴロイド(非スンダランド型歯列)も、南方ルートで北上してきた旧モンゴロイド(スンダランド型歯列)も、幾つもの方法で日本に渡ってきたんだと思うよ。

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勝鬨美樹
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました