百年目
ウチの会社は、店は日月休みで事務所は土日だ。ボードメンバーも原則土日休みなんだけど、店と事務所の休みにズレがあるので、どうしても土曜日も予定が入ってしまう。もちろん例外があって、社長/櫻井と僕には休みはない。・・無いわけじゃなくて、なんとなく仕事をしちまうからで、悪いのは本人なんだけどね。
最近、24時間以上休んだ記憶というと・・去年・年初めに社員旅行でボルドーへ行ったときだけだなぁ。
今年も社員旅行は年末施行の予定だけど、それまでまとめた休みはないのかなぁ。
で。ウチのラビによく「週に一回休みが取れないのは、お前が無能の証明だ」とよく怒られた。
逆らえなかった。でもサ。
ええそうですよ。どうせアタシゃムノーですよ。アタシのムノーのせいで、みんなに迷惑はかけたくないんで、寝ないで頑張ってるですよ・・と言いかえしたい。ははは♬言い返したことはない。はい、とコウべを下げるだけだ。
ラビには「不器用でいい。小器用は不徳だ」ともよく言われてた。・・この不徳という言葉。有徳と対を為してホントにムツカイ言葉なんだが、その話はここではしない。
僕は不器用でムノーなことを自分でよくわかってるから、人さまと同じだけの仕事が出来るように、人さまの三倍モノゴトには時間と考慮を重ねることにしてるんだ。そうやって70年生きてきた。そんなこと重々判っておられるラビに言われるのだ。ぐうの音が出ない。
そんな話を思い出したのは、今夜は仕舞後の店にふらりと出て気散時にピアノを弄ったせいだ。
ついでに店の商品(ワイン&チーズ)に手を付けた(`ω´;) BGMは古今亭志ん朝の百年目だ。
凄い人だよ、志ん朝って。
百年目は、旦那が出て番頭が出て、奉公人が出る。いわゆる会社の在り方を主題にしている噺だ。
登場人物の旦那は大番頭にこう語る。
「天竺は大きな国だからだろう。東南西北中の五天竺がある(蛇足・なぜ東西南北でないかは、そのうち話そ)そうだね。さてその南天竺に栴檀という大きなとても立派な樹があるのだそうだな。その栴檀の根元に南緑草という汚い草がはびこる。立派な樹に汚い草は映りがよくないというので南緑草を刈り取ってしまうと、栴檀の樹勢がにわかに衰えて、しまいに枯れてしまう。
これはね、栴檀にとって南緑草は掛けがえのない肥やしだったからなのだ。また栴檀のおろす露が南緑草にとって何よりの肥やし、持ちつ持たれつ切っても切れない間柄だったというわけだ。」
"旦那"の語源は栴檀と南緑草のこと・・"栴南"であると。正誤は別として、きっと江戸時代な民間に確立した御談義・講話・講談の中で確立した「旦那はどう在るべきか」を明快な伝えている語りなんだろうな・・そう思った。
この「正誤は別として」ということね。とても大事なことで、「江戸仕草」のことをデッチアゲと騒ぐバカがいるけど、「正だけが心をつたえられるわけではない」ということ。むしろ「正だけでは心は伝えきれない」ことを識るべきでしょ
余談・ちなみに実語教はkindleで読めます。
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました