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黒海の記憶#43/イスラム化への忌諱感

イスラム化とは何か? を考えるとき、僕はその先鋭的な商業ネットワークが思いうかぶ。イスラム化するということは、すなわちアラーの門軍にひれ伏す事とともに、彼らの駅逓制度(バリード)金銀複本位制の貨幣。そして統一した度量衡を受け入れることなのだ。
イスラム国家は、中央で資産は管理されており金融仲介者(ジャフバズ)がそれを担った。各主要都市に公的資金を扱うジャフバズ置き、彼らが租税を受領して、これを為替(スフタージャ)を使って中央に送金していた。中央政府にあるジャフバズがその受け手になり国家全体の資金管理業務を行っていたのである。騎馬半農部族は、これに馴染まなかった。一方的な搾取にしか見えなかったな違いない、
黒海及びカスピ海の北にあった騎馬遊牧民族が結局のところイスラム化が殆どされなかったのは、こうしたイスラム式商業ネットワークに組み込まれることを由しとしなかったからではないか?
そう思えて仕方ない。
しかし逆にいうと、騎馬半農部族がイスラーム諸国の商システムに対して生理的な嫌悪感をいだき続けたことが、結果として黒海北部ステップ地帯/民族移動の回廊をモスレム勢力が進出することを阻んだわけだから、欧州中央で花開いたゲルマン人/ノルマン人にとっては正に僥倖だったといえよう。
もし、早い時期に騎馬遊牧民/スラブ人がイスラム化していたら・・・時代は全く違う方向へ流れていたと僕は思う。

黒海を挟んで、北方に広く正教とユダヤ教が広がり、西側はバルカンを超えて欧州までカトリックが広がり、東方と南部にイスラムがある・・・という分布が、最初の1000年紀の姿に落ち着いたわけである。

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勝鬨美樹
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました