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幸せは 小さくてよし 青い菊
幸せは 小さくてよし 青い菊
Happiness is good for small, blue chrysanthemums
三年ほど前、いまグランブルーある所に物件を見つけました。青い9階建てで、銀座のはじっこ「柳通り」にポツリと有るビルでした。
木挽町は晴海通り歌舞伎座の裏から「松屋通り」「マロニエ通り」「柳通り」と続きます。「柳通り」は、昭和通りで銀座から分断され、横断歩道がなく陸橋なので、これを渡ってくる観光客は稀です。良くも悪くも喧騒から離れて、ある意味「裏銀座」とも云えるところです。この青いビルの一階が空いた時、櫻井も家内も僕も、店を出すなら此処しかないなと確信しました。
実はですね。そのとき、もうひとつ鮮明にイメージしたものが有ったんです。それは前々職時代にいたシュツットガルトのはずれの村の事でした。オスターブルゲンという。我が家の娘たちがまだ幼女の頃です。僕の働いていた会社は、そのオスターブルゲンの丘の上にあった。その丘が春の終わりごろから青い花で埋もれるのです。ヤグルマ菊Cornflowerといいます。可憐な清楚な青い菊です。それが咲き乱れる。
僕はその景色が無類に好きだった。
花言葉は「delicacy繊細、優美」「refinement上品、優雅」です。
ヤグルマ菊はドイツの国花です。初代ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世はこれを皇帝の紋章にしています。ナポレオンがプロイセンへ攻め込んだ時、ヴィルヘルム1世の母・王妃ルイーゼは子供たちとともに田舎に隠れました。そのとき、王妃は広がる野原に咲くヤグルマ菊を積んで花冠を作り「いまはこれがあなたの王冠よ」とかぶせたのだそうです。
「だから、いまでもドイツではヤグルマ菊のことを"皇帝の花"と呼ぶんだ。」同僚に聞いたのを憶えています。
冷たい雨の朝、店の前のテラスでコーヒーを飲みながら叩くPCですが・・幸せとは何か・・考えながら、とりとめもなくそんなことを思い出しました。
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