夫婦で歩くシャンパニュー歴史散歩7-1-5/シャンパニュ古代都市トロアヘの旅
ホテルで朝食を済ませてから、トロア大聖堂まで歩いて左折、シテ通りを旧市街に向かって歩いた。そのままトロア運河を渡ると目的地になる。そのまま5分ほど歩くと公園にぶつかる。公園の横を歩くと最初の目的地であるトロア観光案内センター➀Troyes Champagne Tourism(16 Rue Aristide Briand, 10000 Troyes)
https://www.troyeslachampagne.com/
公園を過ぎると、突然大きな道路になるので、観光案内センターを探すのに一瞬戸惑うかもしれない。公園から見て前面右側にある建物でⓘというマークが目印。MAISON TOURISMEと書かれている。
「知らない街へ行って、最初に出かけるのは、いつも観光案内センターね」嫁さんが言った。
「ん。その街の在りようは観光センターにはっきりと表れるもんだからな。資料集めより。そっちの方が大事だ」
今回は事前に観光案内センターが開いているFBを詳しく見ておいた。
https://www.facebook.com/TroyesTourisme/
ここが主催するツアーでトロア全体を案内付きでみるのも良いと僕は思う。
しばらくパンフレットを集めたのち、通りに出た。
「あら、どれかツアーに参加しないの?」
「ん。行きたいとこ全てを網羅してるのがないんだ。自分たちで歩こう」
「でもカタログだけはもらう訳ね」
「ん。夜中、ホテルへ帰ってのお楽しみさ」
シャンポー通りRue Champeauxを歩いた。11時を回って町が動き始めた。意外に観光客が少ない。
「この辺りが旧市街の真ん中あたりのようだ」
「旧いフランスの郊外の町ね。町が息づいている」
「ん。そうだな。観光だけで成り立ってるわけじゃなく、人々が生活している匂いが一杯で、なかなか良いな。木骨造りの家がまだまだ残っている」
「1000年くらい建ってるの?ベニスみたいに・・」
「いやいや、町は旧いが1524年の大火が有ってな、現存している建物はそれ以降のものだ。3000軒あまりの家が焼失したという」
「あら・・丸い黄色い猫の看板?カフェ?Le Chat Noir?黒猫亭?モンマルトルみたい」
「いま行こうとしている通りがRle des Chats通り/リュエル・デ・シャって言うんだ。それでLe Chat Noirなんだろうな」
シャンポー通りから入るリュエル・デ・シャ通りは本当に狭い。道幅は1m50程度か。赤い色のビストロLe CnceptsとFrench Coffee Shopの間にある狭い路地だ。
「え?こんなとこ入るの?」と嫁さん。怪訝な顔である。
「トロアでは最も古い路地なんだよ。15世紀のメイラール通りでね、地元の人は「シャの城」と呼んだらしい。」
路地は少し行くと、ホントのちょっと広くなる。
「ふうん。木骨造りの家々の裏側を見る・・という感じね」
通りはモンティドールの中庭に繋がっている。
「でも・・あんまり古色蒼然としてないわね。どの建物もきれいに整備されてるし、お店屋さんが管理してるカニかしら」
「大幅な改修が1981年に地元の職人組合Compagnons du Devoirがやったんだ。歴史遺産として遺すためにね。・・見てごらん街灯があるだろ?獣脂ろうそくを灯すランタンだ。1500年代から使われているそうだ。
それが1800年初めにガス灯になり、今は電灯だ。」
通りの真ん中あたりに➁Chez Felix(5 Rle des Chats, 10000 Troyes)というカフェがある。
https://www.chez-felix.fr/
12時過ぎたので、一度ここで休憩した。
「横にサーモン色の木骨造りの家があったろ?あれ、ホテルなんだ。③Maison Juvénal des Ursins(3B Rle des Chats, 10000 Troyes)
http://www.maisonjuvenaldesursins.fr/
「あのボロボロなのがホテル?・・ムリね」
「中は綺麗に整っているらしい。覗いてみるか?」
「パス!この通りを見るだけで十分」
「失礼しました。・・で。この辺りなんだけと、1500年代にガンズ・ヴァン病院というのがあった。
Quinze-vingtって盲目という意味なんだ」
「どういうこと?」
「十字軍に参戦した騎士で、捕虜になって目をくりぬかれた者が300名もいたそうだ。彼らのために王が此処に病院を建てたんだよ」
「嫌がらせで、そんな話を言い出してるわけ?」
「違う違う。この町は、そうした古い時代をそのまま、建物として町の名前として幾つも遺しているんだ。これほど状態よく沢山、現実に今でも使われている形で残しているのはトロアだけだ」
「で、目をくりぬかれた話?」
「すいません」
店を出て、すぐ傍の路地からモンティドールの中庭に出た。真ん中に井戸がある。
「大火の話をしただろ?あの時に防火を鑑みて大量の井戸が掘られたんだ。これはその時の一部だ」
「よく知ってるわね」
「ははは。さっきの観光センターにあったパンフのパクリ・・」
「なるほどね」
細い路地をRue des Quinze Vingts Bisへ出て左へ歩いた。そしてトリニティ通りRue de la Trinitéに入ると、左側に道具と職人博物館④Maison de l'Outil et de la Pensée Ouvrière(7 Rue de la Trinité, 10000 Troyes)がある。
http://mopo3.com/
コレクションはイエズス会の神父 Paul Fellerが集めたものだ。65の展示ケースに11,000個展示されている。
「これだけ並ぶと・・圧倒的ねぇ」
「鉄の時代が、ようやく花開いたんだよ」
「鉄って‥鉄はもっと昔からあったでしょ?」
「西暦1000年の西ヨーロッパはね、ようやく外威から一段落した次第だった。フランク王国が曲がりなりにも支配者として動き始めていたからな。安定し始めた政権の許で、ピレネー地方東部やラインハルトで鉄の生産が増大したんだよ。この鉄鉱山の隆盛が、青銅から鉄器に道具を大きく替えさせたんだ」
「すごいよね。それが1000年ころからなの?」
「ん。中世農器革命と学者たちは呼んでいる。こうした鉱山で生成された製鉄がローマ街道を渡る商人たちによって全ヨーロッパに広げられたんだ。そして鍛冶屋という職業が各地の村に出来上がるようになったんだ。
鍛冶屋は、商人が運んできた鉄を利用して、ナイフや斧・鋤のような農機具あるいは鉄輪を作った。えかげで200年余りで、農生産量は数倍に増えたんだよ」
「なるほど~。その時代からの遺品なのね」
「鉄は摩耗しても腐らないからな。19世紀になって鉄と蒸気が出会い、内燃機関が工夫されて蒸気から石油に替わるまでの600年間、鉄器具はじっくりと進化したんだ。そして鉄輪を使用して水車や風車が現れる。牛ではなく馬が農家で使用されるようになる。三圃制がスタンダードになる」
「三圃制?」
「荘園の中で確立したシステムだよ。それを踏襲して村の耕地を区画整理して全体を三つの部分に分けたんだ。そして村落の共同体として村人全員で耕作する方法だ。西暦1000年を境目として立農社会は大きく変わったんだよ」】
ホテルで朝食を済ませてから、トロア大聖堂まで歩いて左折、シテ通りを旧市街に向かって歩いた。そのままトロア運河を渡ると目的地になる。そのまま5分ほど歩くと公園にぶつかる。公園の横を歩くと最初の目的地であるトロア観光案内センター➀Troyes Champagne Tourism(16 Rue Aristide Briand, 10000 Troyes)
https://www.troyeslachampagne.com/
公園を過ぎると、突然大きな道路になるので、観光案内センターを探すのに一瞬戸惑うかもしれない。公園から見て前面右側にある建物でⓘというマークが目印。MAISON TOURISMEと書かれている。
「知らない街へ行って、最初に出かけるのは、いつも観光案内センターね」嫁さんが言った。
「ん。その街の在りようは観光センターにはっきりと表れるもんだからな。資料集めより。そっちの方が大事だ」
今回は事前に観光案内センターが開いているFBを詳しく見ておいた。
https://www.facebook.com/TroyesTourisme/
ここが主催するツアーでトロア全体を案内付きでみるのも良いと僕は思う。
しばらくパンフレットを集めたのち、通りに出た。
「あら、どれかツアーに参加しないの?」
「ん。行きたいとこ全てを網羅してるのがないんだ。自分たちで歩こう」
「でもカタログだけはもらう訳ね」
「ん。夜中、ホテルへ帰ってのお楽しみさ」
シャンポー通りRue Champeauxを歩いた。11時を回って町が動き始めた。意外に観光客が少ない。
「この辺りが旧市街の真ん中あたりのようだ」
「旧いフランスの郊外の町ね。町が息づいている」
「ん。そうだな。観光だけで成り立ってるわけじゃなく、人々が生活している匂いが一杯で、なかなか良いな。木骨造りの家がまだまだ残っている」
「1000年くらい建ってるの?ベニスみたいに・・」
「いやいや、町は旧いが1524年の大火が有ってな、現存している建物はそれ以降のものだ。3000軒あまりの家が焼失したという」
「あら・・丸い黄色い猫の看板?カフェ?Le Chat Noir?黒猫亭?モンマルトルみたい」
「いま行こうとしている通りがRle des Chats通り/リュエル・デ・シャって言うんだ。それでLe Chat Noirなんだろうな」
シャンポー通りから入るリュエル・デ・シャ通りは本当に狭い。道幅は1m50程度か。赤い色のビストロLe CnceptsとFrench Coffee Shopの間にある狭い路地だ。
「え?こんなとこ入るの?」と嫁さん。怪訝な顔である。
「トロアでは最も古い路地なんだよ。15世紀のメイラール通りでね、地元の人は「シャの城」と呼んだらしい。」
路地は少し行くと、ホントのちょっと広くなる。
「ふうん。木骨造りの家々の裏側を見る・・という感じね」
通りはモンティドールの中庭に繋がっている。
「でも・・あんまり古色蒼然としてないわね。どの建物もきれいに整備されてるし、お店屋さんが管理してるカニかしら」
「大幅な改修が1981年に地元の職人組合Compagnons du Devoirがやったんだ。歴史遺産として遺すためにね。・・見てごらん街灯があるだろ?獣脂ろうそくを灯すランタンだ。1500年代から使われているそうだ。
それが1800年初めにガス灯になり、今は電灯だ。」
通りの真ん中あたりに➁Chez Felix(5 Rle des Chats, 10000 Troyes)というカフェがある。
https://www.chez-felix.fr/
12時過ぎたので、一度ここで休憩した。
「横にサーモン色の木骨造りの家があったろ?あれ、ホテルなんだ。③Maison Juvénal des Ursins(3B Rle des Chats, 10000 Troyes)
http://www.maisonjuvenaldesursins.fr/
「あのボロボロなのがホテル?・・ムリね」
「中は綺麗に整っているらしい。覗いてみるか?」
「パス!この通りを見るだけで十分」
「失礼しました。・・で。この辺りなんだけと、1500年代にガンズ・ヴァン病院というのがあった。
Quinze-vingtって盲目という意味なんだ」
「どういうこと?」
「十字軍に参戦した騎士で、捕虜になって目をくりぬかれた者が300名もいたそうだ。彼らのために王が此処に病院を建てたんだよ」
「嫌がらせで、そんな話を言い出してるわけ?」
「違う違う。この町は、そうした古い時代をそのまま、建物として町の名前として幾つも遺しているんだ。これほど状態よく沢山、現実に今でも使われている形で残しているのはトロアだけだ」
「で、目をくりぬかれた話?」
「すいません」
店を出て、すぐ傍の路地からモンティドールの中庭に出た。真ん中に井戸がある。
「大火の話をしただろ?あの時に防火を鑑みて大量の井戸が掘られたんだ。これはその時の一部だ」
「よく知ってるわね」
「ははは。さっきの観光センターにあったパンフのパクリ・・」
「なるほどね」
細い路地をRue des Quinze Vingts Bisへ出て左へ歩いた。そしてトリニティ通りRue de la Trinitéに入ると、左側に道具と職人博物館④Maison de l'Outil et de la Pensée Ouvrière(7 Rue de la Trinité, 10000 Troyes)がある。
http://mopo3.com/
コレクションはイエズス会の神父 Paul Fellerが集めたものだ。65の展示ケースに11,000個展示されている。
「これだけ並ぶと・・圧倒的ねぇ」
「鉄の時代が、ようやく花開いたんだよ」
「鉄って‥鉄はもっと昔からあったでしょ?」
「西暦1000年の西ヨーロッパはね、ようやく外威から一段落した次第だった。フランク王国が曲がりなりにも支配者として動き始めていたからな。安定し始めた政権の許で、ピレネー地方東部やラインハルトで鉄の生産が増大したんだよ。この鉄鉱山の隆盛が、青銅から鉄器に道具を大きく替えさせたんだ」
「すごいよね。それが1000年ころからなの?」
「ん。中世農器革命と学者たちは呼んでいる。こうした鉱山で生成された製鉄がローマ街道を渡る商人たちによって全ヨーロッパに広げられたんだ。そして鍛冶屋という職業が各地の村に出来上がるようになったんだ。
鍛冶屋は、商人が運んできた鉄を利用して、ナイフや斧・鋤のような農機具あるいは鉄輪を作った。えかげで200年余りで、農生産量は数倍に増えたんだよ」
「なるほど~。その時代からの遺品なのね」
「鉄は摩耗しても腐らないからな。19世紀になって鉄と蒸気が出会い、内燃機関が工夫されて蒸気から石油に替わるまでの600年間、鉄器具はじっくりと進化したんだ。そして鉄輪を使用して水車や風車が現れる。牛ではなく馬が農家で使用されるようになる。三圃制がスタンダードになる」
「三圃制?」
「荘園の中で確立したシステムだよ。それを踏襲して村の耕地を区画整理して全体を三つの部分に分けたんだ。そして村落の共同体として村人全員で耕作する方法だ。西暦1000年を境目として立農社会は大きく変わったんだよ」
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました