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夫婦で歩くブルゴーニュ歴史散歩3-8/バスを使ってコルトン歩き#06

ホテルのカウンターへ自転車を返した後、部屋に戻った。そのままシャワーに入ってしばらく昼寝(夕寝)した。嫁さんはipadで撮った写真を整理していたが、僕はベッドへ。
「タクシーのピックアップは18時半よね」嫁さんが言った。
「ああ、レストランの予約は19時だ。それまで少し寝る。疲れた」
レストランへのタクシーは、ボーヌの村で何回か使用しているTaxi Dessertaine(9 Rte de Ruffey, 21200 Vignoles)で、荷物を預けてある村内のHotel Chez Les Fatien(17Rue Sainte-Marguerite, 21200 Beaune)が予約してくれたクルマだ。
https://www.taxi-beaune-dessertaine.fr/
ディナーはコルトンの丘の先にある④Le Charlemagne(1 Rue des Vergelesses, 21420 Pernand-Vergelesses)というレストランだ。食事後、ホテルへ戻るのも同じタクシー会社に予約してある。
「よろしく」とだけ言って、1時間ほど爆睡した。窓は少し開いていたが車の音なんぞ全くしない。

嫁さんに起こされて、すっかり支度できてる嫁さんについてロビーへ出るとドライバーが待っていてくれた。知った顔だった。
「レストランは遠いの?」と嫁さん。
「2kmくらいかな。そんなに遠くない。コルトンの丘の向こうだ」
クルマは昼間走ったD1150を通った。
村を出るとも人灯りは何もない。そろそろ沈む夕景に月の明かりだけが有った。黄昏の中でコルトンの丘が影のように見えた。
「なにか・・ものすごい存在感ね。怖いみたい」嫁さんが言った。「あなたの云う"微睡む旧神"って言葉。ほんとにそうね」
D1150をD18へ出ると、レストランLe Charlemagneが左側に見えた。
「もう少し行くと、コルトンのおかを囲む村の一つペルナン・ヴェルジュレスPernand-Vergelessesへ出る。Le Charlemagneはその外れにあるんだ」
「こちら側から来ると、野中の一軒家のように見えるわ」
タクシーはホテルの前に止まった。
「22時半頃にお迎えに参ります」ドアを開けてくれたドライバーが言った。僕はお礼と一緒にチップを渡した。フランスにはチップの習慣はないが、こういう時は感謝の気持ちを出したほうがいい。
クルマを降りると、前方右側に街の明かりが見えた。
「あれがペルナン・ヴェルジュレスの村?コルトンより振やかに見えるけど」
「こじんまりした村らしい。ワイナリーも幾つかある。いぜんボーヌのツアーで行ったDomaine Dubreuil-Fontaine(18 Rue Rameau Lamarosse, 21420 Pernand-Vergelesses)はあの村にあるよ。
http://www.dubreuil-fontaine.com/
「ふうん、ガイド付きのツアーで見て歩くと、何処が何処だか全然分からないわ」
「ま・そうだな」
レストランLe Charlemagneへ階段を昇るとガルソンが迎えてくれた。20時予約までまだ時間が有ったが、ウェイティングなしで席に案内してくれた。店は殆ど一杯だった。
料理はコースが三種。いずれも和ティストだった。嫁さんの好みだ。僕はトラッドで昔っぽいバターこてこてのフランス料理が好きなんだけどね。
でもこれだけ和ティストだと、コルトンの白はベストマッチするかもしれない。思い切ってリストに有ったボトルを三本頼んだ。・Domaine d'Ardhuy(Route nationale RD 974, Le Clos des Langres, 21700 Corgoloin)
https://www.ardhuy.com/

・Domaine Dubreuil-Fontaine(18 Rue Rameau Lamarosse, 21420 Pernand-Vergelesses)
http://www.dubreuil-fontaine.com/

https://www.wine-searcher.com/find/dom+dubreil+fontain+pere+grand+cru+corton+charlemagne+cote+de+beaune+burgundy+france/1/france

・Domaine Pierre Ravaut(Clos Royer, 2 Rte de Beaune, 21550 Ladoix-Serrigny)
https://www.pierre-ravaut.fr/

マスターソムリエがすっ飛んできた。
「大丈夫、二人だから一杯ずつ頂く。残ったのは皆さんで分けて」というと、顔中口にして喜んでた。

「コルトンの丘の回りは三つの村がある。今日行ったAloxe-Corton/Ladoix-Serrignyそしていま食事に来てるPernand-Vergelesses。全部グランクリュの白の生産地だよ。
ブルゴーニュ協会は全てクリマが違うと言ってる」
「あ・出た。クリマ」
「Aloxe-Corton村のClimatはLe Charlemagne。Ladoix-SerrignyのClimatはPougets Corton/Languettes。Pernand-Vergelesses村のClimatはEn Charlemagne。
人によってはEn Charlemagneの白が一番カール大帝の吞んだもの近いというのもいる」
「へぇ、そうなんだ。今日はそれを飲み比べするの?」
「ん。でもまあカール大帝の白はアリゴテだからな、シャルドネで比較するのはナンだがな」
「でもまあ、三つの村を飲み比べるわけね。料理もそれに合わせてでてくるわけね、楽しみ」

コルトン・シャルルマーニュは若吞みし難い。香りに深みで出て複雑さが出るには、どうしても5年から10年の熟成が必要になる。ウチの嫁さんは圧倒的にシャルドネ若吞み派だから、この塩梅が難しい。一度ムルソーの90年代の古酒をレカンで開けたら、徹底的なノーが出た。息呑むほど素晴らしいコンディションだったんだけどね。好みに沿うというのは難しいものだ。
でも、僕が心掛けているのは、相手の好みに100%あわせないこと・・なのだ。1/2にする。その好みと違う1/2から「あ。これ、いいんじゃない?」という驚きを見つけてもらう。これがジャストフィットしたときは、猛烈嬉しい。その意味でも奥さまがお好きなコルトン・シャルルマーニュの中でも、お気に召していただくのは・・じつは相当気を使っているのです。
ヒュー・ジョンソンがこんなことを書いていた。
「上質のコルトン・シャルルマーニュには、それとわかる独特のインパクトと濃密さが、そして、ムルソーのペリエールかと錯覚するような、ミネラルの芳香を持つものさえあると思う。上質のコルトン・シャルルマーニュは、若い時は実に濃密で、熟成した時にも、ワインの根底に濃厚さが漂っている。私は、ムルソーもコルトン・シャルルマーニュも両方持っていたが、もしそれらに優劣をつけろと言われれば、私はコルトン・シャルルマーニュの方が、より歓喜をもたらすと答えるだろう」
帰りは予定より1時間近く遅くなってしまった。
ドライバーが外で待機してくれていた。こういうとき、チップの先付けが有効になる。


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勝鬨美樹
無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました