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ラスコーの谷で考えたこと#01/"ヴェゼール渓谷"

河口から71kmあまり入ったレ・ダンベース(le Bec d'Ambesアンベースの砂嘴)で、ジロンド河はガロンヌ川とドルドーニュ川に分かれます。そのドルドーニュ川側を少し遡って90kmほど行くと、ベルジュラックBergeracという町に辿りつきます。同地はワインが秀逸な地域ですが、新石器時代の遺跡が多数見つかる地域でもあります。紀元前3500年から3000年の新石器時代の村の遺跡が、ベルジュラックのVaures地区では幾つも発見されています。ボルドー/アキテーヌ盆地は、各所で先史時代からヒトたちの遺跡が多数残っている地域ですが、ドルドーニュ川沿いのそれは、川上に行けば行くほど旧い時代のものになるという特徴が有ります。
現代人へ繋がる直系人類クロ・マニョン人Cro-Magnonが発見されたのも、もう少し東へ川筋を遡ったあたりでした。
ベルジュラックから30kmほど、そのまま川を遡るとリムイユLimeuilという町に辿りつきます。リムイユは、人口30万人程度の小さな城塞都市です。川の正面を形成する建物の後ろにはマグダレーニュ時代の洞窟があり、石灰岩プレートには約200の彫刻があります。ここは20000年ほど前の遺跡です。どうやら彼らは此処で9000年ほど前まで大きな集落を幾つも作っていたようです。きわめて原始的な農作も行っていたようです。

そのリムイユでドルドーニュ川にヴェゼール川la Vezereが繋がります。
ヴェゼール川は中央山地から険しい渓谷を作りながら流れて、リムイユでドルドーニュ川に繋がるのです。その難所に、無数の旧石器人/新石器人遺跡がほぼ40kmの間に点在する。それが「ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群(フランス語:Sites prehistoriques et grottes ornees de la vallee de la Vezere、英語:Prehistoric Sites and Decorated Caves of the Vezere Valley)」という名称で世界遺産登録されている遺跡群です。ユネスコが選定したのは25の洞窟と147の集落跡ですが、実は小規模なもの残滓程度にしか残っていないものを数えると、まさに無数としか言いようなのない先史人の生活の跡が残っています。
ヒトらは・・・おそらく50000年ほど前、長い旅の末にここへ至り40000年ほどかけて、川下へ川下へと広がって行ったようです。考古学的な分類で云うならば、後期旧石器時代から新石器時代まで広く分布しているのが特徴です。中でもクロマニョン人たちが描いた岩絵・壁画が有名ですね。ラスコーLascauxの洞穴が一番有名です。

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました