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木挽町新古細工#03/"きがえる"と"はきかえる"

銀座の店は、いま毎日ランチタイムにピアノ演奏会をやってる。それをwebで配信したり、精力的に活動している。
今朝、ちょうどそのピアノの方が来店されたタイミングで店にいた。スタッフがピアノの方に「お着替えはトイレを皆さん利用されていますよ」と説明していた。ん~~そおかあ。"おきがえ"かぁ。
〝おきかえ"じゃないんだね"おきがえ"なんだね。
なるほど"おきがえ"のほうが関東人には言いやすいのかもしれないね。
でも、靴は?パンツは?
"はきかえる-履き替える"よね?はきがえない。
その違いは何だろう?
そう思ったら・・地名の「清音→濁音」化発音を連想した。
橋の欄干には「高橋」は"たかはし"と表記されている。「勝鬨橋」も欄干の表記は"かちどきはし"だ。
それをわざわざ「かちどきばし」と発音している。
面白いね。
明治政府と言うリソルジメントを仕掛けた西国の人々は、日本人の共通語として「万人が使う言葉」を策定した。そのときベースメントになったのは、武家社会で使われていた「共通語」だった。
なにしろ、参勤交代で日本中からイロんな人が集まるからね、江戸城内で政りごとするにゃあ皆が同じ言葉を使わないわけにはいかないので、整合統合され出来上がったのが「武家言葉」だった。それが日本人の共用言語になったわけだけど・・一地方でしかない東京という処を見つめると、市中で使われていたのは関東人の方言と上方から商いでこの地に渡ってきた人々が使っていた関西弁だった。つまり武士言葉でない、町人言葉は、この二つの混成だった。
江戸時代、大商人のお店(おたな)では普通に大阪弁が使用されていたのですよ。彼らの使用する濁音は普通に鼻濁音だ。ゴリゴリすることのない美しい日本語である。比して関東弁は濁音/促音が多い。
"がっついた奴"なんてぇ、その見本ですな。濁音/促音で出来上がってる。
京ことばの人々は、東ことばを「カラスの鳴き声」に例えているが、さもありなんという話だ。
んんんん。"きがえ"ねぇ。"きかえ"じゃないんだあ~
武士言葉は(明治政府製造共通語)は、不明瞭な発音を忌み嫌う。だから、日本語らしい鼻濁音は極力避けたがる。そのせいなんだろうなあ、そう思った。
朝いちばん、着替えという言葉から、武家言葉と東京町人言葉のことを考えてしまいました。


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました