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夫婦で歩くプロヴァンス歴史散歩#01/アヴィニョン#01

デリケートな仕事がジュネーブで1週間余り続いた。週末まで巻き込む勢いで解放されたのが月曜日。そのまま午後の飛行機でCDGへ飛んだ。ゲートで嫁さんが待っていた。
「金曜日じゃなかったの?」と嫁さん。
「悪い悪い、伸びに伸びて土日も打ち合わせになった」
「あら珍しい。お休みでも仕事するのね」
「はは♪そうだな。コントラクトまで行ったから僕の仕事は終わった。あとはウチの連中の仕事だ」
「置いてきちゃったの?」
「ん。木曜日から予定が入ってるからって、置いてきた」
「あら。かわいそう。今回は皆を連れてプロバンスへ行くった話してたでしょ?」
「終わったら、自分たちだけで行ってくれ・・にした」
「へえ。行くかしら」
「行かないね。あいつらは仕事を選ぶ」
嫁さんが頷きながら笑った。
「こっからアヴィニョンまでは3時間はかかる。さっさとgare de Lyonに移動しよう」
CDG空港の地下からアヴィニョンへのTGVは一日何本か出ている。これを狙って乗った。Gare d'Avignon TGVへ到着したのは夕方5時半近くだった。列車の中は爆睡した。駅を降りて、少し探すとホテルのピックアップが見つかった。泊まるのはHôtel La Mirande(4 Pl. de l'Amirande, 84000 Avignon)である。2泊とったのは、明日嫁さんがここのクッキングスクールへ行くためだ。
https://www.la-mirande.fr/
「前来たときは、在来線に乗り換えたでしょ?」
「ああ、大変だった。駅降りてから市街までが割とあったからな。今回はホテルのピックアップをお願いした。そろそろ夕方だから迷わずさっさとホテルに入りたい」
しばらくローヌ川と並走した道はAUBANELというバス停前を過ぎところで、右に細い道へ入った。石造りの門に囲まれている。曲がり口にPORTE DE LA LIGNEというプレートがでていた。
「突然、道が狭くなって・・旧市街という感じね」嫁さんが言った。
ドライバーに聞くと流暢に英語で応えてくれた。
「ローヌ川から塩の袋を持ち込む門だったんです。この奥にJean-Ange Brunという人が作りました。1756年のころです」

クルマはどう見ても一本しか通れない道が延々と続いた。それでrue de la BANASTERIEという道へ入った。少し行くとパッと広がったアミランド広場にぶつかる。ホテルはその前に有った。
Hôtel La Mirande(4 Pl. de l'Amirande, 84000 Avignon)である。
https://www.facebook.com/La.Mirande.Avignon/
「来たことあるってたわよね」
「ん。前にな。仕事でだ。その時に此処で料理教室やってるの見つけたんだ。メモしといたよ」
「ふうん。ありがたいわ。ホテルもすてきなところね」
「ん。この間は仕事先が用意してくれた。旧市街まで近いよ。僕がヌーベルバーグのファンなことを何かの機会で話したのかなぁ、それでここを選んだそうだ」
「映画のロケ地だったの?またゴダール?」
「いやジャック リヴェット Jacques Rivettだ。アンナ・カリーナが出ていた“La Réligieuse”という映画だよ」
「観たの?」
「観た。絶対に一緒に見ようという類の映画じゃない。いい映画だった」

「よかった。映画はハリウッドが一番よ」
「はは。そりゃそうだ。
・・このホテルの前にあるのがアヴィニョン教皇庁Palais des Papes(Pl. du Palais, 84000 Avignon)だ。此処は貴族の私邸をそのままホテルへ改造したらしい。まあ、これだけ教皇庁の傍らだから、それなりの家系だったんだろうな。ホテルのパンフを見るとペレグリュー卿Cardinal de Pellegrueという人の私邸だったようだ。ここを用意してくれたクライアントは、ディナーを激賞してたよ」
「よかったの?」

「ん。今夜は7時からだ」
「え~支度できるかしら~も~早く言ってよ。支度時間かかるのよ」
「別に服はパン食べない」
「ばか」
ディナーのクオリティは高かった。ワインはエリミタージを選んだ。


無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました