『黄色い雨』(リャマサーレス)の季節
夏の暑さが和わらいで秋の気配が感じられる頃、自然と心に浮かぶことが2つあります。
1つは、秋の訪れに耳が気付いた歌ー
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる(藤原敏行、古今和歌集)
もう1つは、ポプラの枯れ葉を雨にたとえ、生死のあわいで美文が彷徨う、スペインの作家リャマサーレスによる『黄色い雨』(木村榮一訳、河出文庫)です。
この作品、noteで言及されている方も多いですが、小説最後の「夜があの男のためにとどまっている。」という詩情あふれる一文が引用され