2023年1月 映画のまとめ
先々月からほとんど読書ができず、映画ばかり観ています。1月に観た映画23本を総括します。ほとんどが再鑑賞で、初鑑賞のものはFilmarksから全文を、再鑑賞は追記分のみを引用(一部加筆修正あり)。※以下リンク先はWikipedia
1/4 屍者の帝国
☆4.0 [テレビ録画] 「19世紀末のサイバーパンク」Project Itoh三部作の完結編。三作の中では画も美しかったし、音楽も好みだったな。ハダリー(CV花澤香菜)のおっぱいも良かったわ。
1/4 アキラ AKIRA
☆4.5 [テレビ録画] 「スゲェ」この一言しか出てこない。鼓童の太鼓が頭の周りをグルグル巡り、声を先に録音しそれに合わせて画をシンクロさせる手法といい、『ブレードランナー』をリスペクトしたビルの造形といい、何より圧倒的な画力。今観ても全てが「スゲェ」。原作も全六巻持ってるが漫画を超えた別次元のアニメになっている。
1/5 オデッセイ
☆5.0 [3D Blu-ray] 「科学を武器に闘う」原作の『火星の人』は最初ネットで公開され、読者から指摘された科学的な誤りを修正していった、集合知ともいえる作品だったとか。以前地上波で放送された時、冒頭の砂嵐のシーンが「これじゃない感」バリバリだったので、すぐ自室に戻りこの3D Blu-rayで見直したっけ。3Dで観るべき映画ですね。
1/6 アメイジング・スパイダーマン
☆3.5 [3Dテレビ録画] 3D吹替版を再鑑賞。やはりテレビ方式の3Dは弱い、なかなか飛び出さない。唯一、解毒剤が空中を舞うシーンはなかなかの浮遊感(『アバター』の夜の森のシーンを思い出した)。ストーリー的には後半の畳み掛けが素晴らしかっただけに、前半の冗長さが残念。
1/7 イミテーション・ゲーム
☆4.5 [テレビ録画] 「チューリングテスト」この映画のタイトルの一般的な呼び名。AIの時代になってこの言葉が重要になっている。J.ル・カレのスパイ小説を愛読し、A.マクリーンの冒険小説に涙し、G.ペレルマンのドキュメンタリーを読むほどの数学ヲタクである自分にとってこの物語は好き過ぎる。B.カンバーバッチのオックスブリッジ訛が素敵。
1/8 ダンス・ウィズ・ウルヴス
☆4.5 [テレビ録画] 「ウンデッド・ニー」スー族が虐殺された地、この事件のドキュメントを数年前読んだ。タイトルロールのフォントと音楽が懐かしの西部劇を思い起こさせる。冒頭の南北戦争は『情報と戦争』での南北戦争における地図の役割が頭に浮かんだ。タタンカのスタンピードから狩りのシークエンスは躍動感あふれていて、ウォーペイントや屠り方はアイヌの方の入墨と熊送りの儀式を連想(ネイティブアメリカンも元はと言えば北東アジアの人々がアラスカ海峡を渡ったとか)。白人による野牛の虐殺は狼をヘリから撃ち殺す狩りを思い出した(平井和正が憎悪をもって記述してたな)。二本の木を使ったそりが登場したが、車輪の発明以前は世界中で使われていたんだよね。トゥーソックスの死には涙出た、いい物語だった。ちなみにChromeの背景はネイティブアメリカンのアートにしてる。
1/8 コンタクト
☆4.0 [テレビ録画] 「CQ CQ こちらW9GFO」この呼びかけから始まる。自分も以前SETIのスクリーンセーバーをインストールし、異星人探査に協力していただけにこの物語に共感する。北海道が舞台になったが、作業員のヘルメットと作業着が日本っぽくなく違和感あった。異星人が姿を現さず父親をアバターとして、周りの映像も地球の海岸を使っていたのも、最近のメタバースを先取りしてたね。C.セーガン凄い。エンドロールのNZユニットにP.ジャクソンのクレジットがあったけど、ロードオブリングの彼?
1/8 ゼロ・ダーク・サーティ
☆4.0 [テレビ録画] 「私がこの邸宅を見つけたマザーファ○カーです」最終盤の突入シーンを除き、このマヤという女性CIA局員の視点で物語は進む。ランボルギーニと交換した一つの電話番号をNSAの情報網で追い、ドローンで邸宅を特定。地を這うような地道な調査により、ウサマの住む所にたどり着いた。先日観た『ビンラディン殺害計画の全貌』や当時シールズの長官だったマクレイヴン将軍の自伝『ネイビー・シールズ』では上から目線だったけど、この映画は徹底的に現場目線。
1/9 グリーンマイル
☆4.5 [テレビ録画] 「人は皆、自分のグリーンマイルを歩いている」S.キングの物語も上手かったが、それ以上に演出してくれた制作陣に大拍手。T.ハンクスやD.モースも名演技だったけど、B.ペッパーの演技に泣かされた。コーンブレッドは食べたこと無いけど、美味しそうだったよ。
1/10 パシフィック・リム
☆4.0 [3D Blu-ray] 「カイジュウ!逃げるんだー」漁船員の叫びから物語が始まる。この3D Blu-rayはこれまでのものとは違い、1mちょっと離れないと3D感が適切になららず、途中で老眼鏡を近距離用から度の弱いものへ交換(その上から3Dメガネ)。雨や雪、そして火の粉まで超絶な浮遊感を楽しめたし、エンドロールまで3Dだったし、最後のR.ハウゼンと本多猪四郎への献辞も素敵っす。
1/10 パシフィック・リム アップライジング
☆4.0 [3D Blu-ray] 「最終決戦地はマウントフジ」前半はロボット同士の戦いとかで盛り上がらなかったけど、終盤に怪獣が出現してから絶好調。前哨戦の東京での戦いでは銀座のビル群や東京国際フォーラムがぶっ壊されたり、旧ガンダム像が映ったりしたのには日本の特撮やアニメへのリスペクトを感じた。この「アップライジング」という副題は「日の出ずる国」日本をイメージしてたな。
1/12 ジャンヌ・ダルク
☆4.0 [テレビ録画] 「ドンレミ村のジャンヌ、名字もない一人の少女が歴史を動かした」英語を喋るフランス人達にちょっと違和感はあったが、戦闘シーンのカメラワークやスピード感が素晴らしく物語に引き込まれていった。絶頂の戴冠式から一転、信頼していた王にまで見放され火刑での死は非道すぎる。
1/13 ザリガニの鳴くところ
☆4.5 [Prime Video] Prime Videoプレミアで字幕版を鑑賞。近くの上映館は2館ともレイトショーだったので、こんなに早く観れるとは想定外。原作では動物学者らしい大自然の描写に圧倒されたが、人間関係の機微を丁寧に描いてくれた脚本と演者に脱帽。見事な伏線回収、美しいイラストで飾られたエンドロール、原作が好きすぎるあまり自ら志願して書き下ろしたテイラー・スウィフトのエンディングも感動的。
1/13 コーダ あいのうた
☆4.0 [Prime Video] Prime Videoで字幕版を鑑賞。オリジナルのフランス語版はまだ観てない。ボストン郊外の港町に住むルビーの両親と兄はろう者で、彼女だけが健常者。漁師である父と兄を手伝いながら高校へ通っている。クラブ活動選択の時、ちょっと気になっていた男子が合唱団を選択したのにツラれ、彼女も合唱団に入部。ルビーは頭角を現しはじめ、顧問にバークリー音楽大学への入学を勧められる。しかし、時を同じくして父と兄は漁協と対立し、独自の販売網を設立して、ルビーの協力なくしてはにっちもさっちも行かなくなる。悩むルビーと家族達。
<以下ネタバレ>
兄と父がルビーに協力し、バークリーのオーディションを受けるが、彼女はまだ地元への未練が残っていて、元気がない。それに気づいた伴奏の顧問がわざとミスタッチしてやり直させる。遠くに家族の姿も見え、ルビーは手話を交えながら堂々と歌い、合格するというサクセスストーリー。
1/13 天地明察
☆4.0 [Prime Video] Prime Videoで鑑賞。神社に奉納された絵馬による和算勝負から物語は始まる。主人公の安井は関の難問が解けないが、対抗する問を残し日本各地での北極星観測へ旅立つ。観測結果から当時使用していた暦が実際からズレていることを導き出し、朝廷が固持する暦に勝負を挑む。しかし、最終問題を外し安井は面目を失う。そんな彼に救いの手を差し伸べたのが水戸光圀で、光圀の援助を受け、更に関からもヒントを貰うが延長戦でまた外す。光圀から喝を入れられ、京都でのサドンデスの最終決戦に再挑戦する。
原作も読んだが、元々数学や物理学の本を読むのが好きで、この暦勝負は昨年読んだ『宇宙は「もつれ」でできている』でのアインシュタインとコペンハーゲン派の戦いを思い出した。また、安井を援助した光圀を描いた同じ著者である冲方丁『光圀伝』で、光圀が若い頃に和歌で京都に覇を唱えようとしたことも連想したっけ。
1/14 ハンガー・ゲーム
☆3.5 [テレビ録画] ガール・オン・ファイヤー、炎の少女カットニス登場。去年、原作全巻を読み直してから観たかったんだよね。炎の少女が火に追われ、森を逃げ回る。敵に追い詰められるが、11地区の少女ルーに救われ、チームを組む。ルーからこのシリーズの象徴であるマネシカケスの鳴き真似を教わるが、ルーを失ってしまう。丁重に弔うことで11地区での反乱を誘発する、ってのが今後のシリーズ展開を予見させていたな。
1/14 ハンガー・ゲーム2
☆4.0 [テレビ録画] 「チクタクチクタク」最初の戦いから故郷に戻ったカットニスを、PTSDによる悪夢のフラッシュバックが襲う。もう一度のゲームはゲームでなくなる。全土に広がる反乱、希望の中の絶望。カットニスは何を選択するか。あるいは何処へ進むのか。
1/15 ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス
☆4.0 [Prime Video] 燃え盛る病院をバックにカットニスが吠える。炎の少女再び。彼女を反乱軍のアイコンに仕立て上げようとするが、政府軍側もピータで対抗。露ウ戦争顔負けのプロパガンダ合戦が難い。「壊れるより立ち直る方が10倍大変」一度ぶっ壊れてしまったフィニックの言葉が重い。
1/15 ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション
☆4.5 [Prime Video] 「ようこそ第76回ハンガー・ゲームへ」キャピタルに潜入したフィニックの言葉。撮影隊と共に潜入したが、以前読んだ『140字の戦争』でも語られていたSNSの戦時利用がシッカリ描かれている。原作の著者が全作脚本にからんでいるだけに、恋愛ストーリーと戦闘場面が上手く融合しているのは見事。エンディングも全作ケルトっぽくて大好き。
1/16 音響ハウス
☆4.5 [Prime Video] 昨日飛び込んできた高橋幸宏逝去のニュースで、俄についったーのTLが騒がしくなり、その中にこの映画に関するものがあったのでPrime Videoで鑑賞。特に前半では幸宏氏のドラミングやインタビューが映し出されていたのがいい供養になったかな。中盤は坂本龍一や矢野顕子(RSRで観た上原ひろみとのデュオがキョーレツだった)のインタビューとか、大好きな大貫妙子のヴォーカルディレクションが観れて幸せ。ミュージシャンの姿だけじゃなくて、JBLやPMCのモニタースピーカーが映っているだけで「オー!」と唸ってしまうヲタクです。
1/16 プライベート・ライアン
☆4.0 [Prime Video] 色褪せた星条旗、ノルマンディー戦没者墓地。おぼつかない足取りだが、目的の墓標へしっかり歩んでいる。そこからDデイへ切り替わる。当時のフィルムと同等の画質で、残銀処理をした画像が素晴らしい。この上陸戦に参加した兵士がフラッシュバックを起こしてしまったとか。ケッテンクラート、ハノマーグ、対地攻撃マスタング。タミヤのプラモで育った自分には宝石のような映画。
1/23 ハクソー・リッジ
☆4.0 [Prime Video] 「ワンモア、ワンモア、神よ、もう一人助けさせてください」良心的兵務忌避者で初めて名誉勲章を受けたD.ドスの物語。入隊後銃を手にしないこととを理由に同僚からイジメを受けるが、沖縄戦では夜を徹しての救命活動で見直される。『プライベート・ライアン』を上回る近接戦闘の描写。H.ウィーヴィングの父親役も良かった。
1/26 ザ・ロック
☆4.5 [テレビ録画] 雨中の葬列、妻の墓標に捧げる名誉勲章。ここから物語が始まる。E.ハリスも名演だったが、D.モースの助演もお見事。そしてサンフランシスコらしい坂道とケーブルカーまで登場するカーチェイス。カーチェイスマニアの私がベストワンに推します。ここからは一瞬も目が離せない緊迫の展開。ほっこりしたエピローグまで楽しんだよ。
1/29 モスル~ある SWAT 部隊の戦い~
☆4.0 [Prime Video] Prime Videoで字幕版を鑑賞。雑誌に掲載されたルポルタージュが原作で未読。イラク第二の都市モスルで麻薬犯を逮捕しようとしていた警官3人組がISILに襲われるが、SWATチームに救われる。その3人組の一人カーワは同行していた叔父が死亡するが、SWATへの参加を誘われ参加を決意する。任務については質問するなと言われ、従うカーワ。とある目的地に進んでゆくが次々と襲うISIL、ドローンによる爆撃も。前半から散りばめられていた伏線が、最終盤に見事に回収されていたわ。
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