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『推し活=浪費』という誤解

「推し」という言葉が随分世の中に浸透しました。

「推し」とは自分が特に好意を持っていたり応援している対象を指す言葉で、主に芸能人やキャラクターなどに対して使われます。

数年前、「推し」を題材とした小説が芥川賞を取ったことでも話題になりました。

言葉が浸透したことによる後押しもあってか、若年層を中心に「推し」という文化もどんどん広がっています。

数字から見ても、その「推し」文化の浸透具合が伺えます。2020年に行われた、『推し活と消費に関する実態調査』によると、10~40代のうちの約20%、10代にいたっては約40%の人が、推し活をしていると答えたそうです。

推し活を阻む障壁

推し活を楽しむ一方で、何処か推し活にお金や時間をつぎ込むことに罪悪感や抵抗感を覚えている人も多いのではないでしょうか?

その理由は「金銭的に余裕がないから」が大半かと思います。

日本は実質賃金がここ30年でほぼ上がっておらず、中でも若年層の賃金が特に低いのですから、当然といえば当然です。

内閣府「賃金・人的資本に関するデータ集」(2021/11)より引用

世界的には実質賃金は上がっていっていることも加味すると、まさに下りのエスカレーターに乗っているような状態です。普通のサラリーマンであれば、ある程度自己研鑽を続けてやっと現状維持できるかどうか、といった状態でしょう。

このような状況では、推し活にお金や時間を使うことに躊躇してしまうのも無理はありません。

推し活を思いっきり楽しみたい。でも将来が怖い。

どうすればこの状況を解消できるでしょうか。

推し活は自己投資にできるか

「将来のために趣味は程々にすべきだ」という考え方が一般的ですが、これは「推し活=浪費」という解釈を前提としています。

一見して疑う余地はないように感じるかもしれませんが、本当にそう言い切ってよいでしょうか?

例えば刃物や薬は、使い方次第で凶器になりますが、正しく使えば生活を豊かにしてくれます。

推し活も同じように、使い方を間違えているから浪費になってしまっているという可能性はないでしょうか?

もし仮に、推し活も自己投資の一つとして活用して収入アップに繋げる、なんてことができれば、現状を打破する文句なしの解決方法になります。

まずは「推し活は自己投資にできるか?」という問いについて考えてみましょう。

自己投資の定義と必要な要素

この問いについて考えるにあたり、まずは「投資」という言葉の定義を確認しておきましょう。

よく言われる話ですが、出費には「消費」「浪費」「投資」の3種類があります。一般的には以下のように分類されています。

 消費 … 生活に最低限必要な出費(食費、光熱費など)
 浪費 … 生活に必要のない出費(贅沢品など)
 投資 … 将来的にリターンが見込まれる出費(勉強費、株など)

これらはお金だけに限らず、例えば時間に関しても言える話です。「投資」という言葉の定義は以下のように書かれています。

利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること。転じて、その将来を見込んで金銭や力をつぎ込むこと

【引用元】Weblio辞書

つまり自己投資とは、自分の市場価値を高めるための行為全般と言ってよいでしょう。

自己投資というと読書や勉強をイメージしますが、読書や勉強をすれば必ずしも自己投資になるというわけではありません。

有名なビジネス書の編集を数多く務めた幻冬舎の箕輪厚介さんは、「そもそも”答え”を猛烈に望んでいない状態でビジネス書を読んでも意味がない」と述べています。(2:27~3:10)

これはビジネス書だけではなく、読書や勉強全般に言えることです。学生時代、嫌いな教科の勉強はいくらやっても頭に入らなかったという経験は、皆さんもあるのではないでしょうか。

せっかくお金や時間を使っても、身にならなければただの浪費です。焦りや義務感で読書・勉強をしていても、学んだことが頭に定着しませんし、継続的に行うことも難しい。これでは、高揚感や満足感を得られる分、娯楽にお金や時間を使っている方がまだましです。

つまり、自己投資にはモチベーションを高く保つための強い動機が必要不可欠なのです。

『推し活=自己投資』とはどういう状態か

しかし、強い動機を狙って生み出すのは簡単ではありません。

自己投資の動機として、例えば「給料を上げたい」「志望校に合格したい」などが挙げられますが、これだけで高いモチベーションを発揮できれば誰も苦労はしていないでしょう。

「成果をあげないといけないのに行動に移せない」
「勉強しないといけないのに手に付かない」

自覚していても合理的に動けないのが人間というものです。

ではどうすれば強い動機を生み出し、モチベーションを保てるでしょうか。アインシュタインの言葉にこのようなものがあります。

わたしには、特殊な才能はありません。
ただ、 熱狂的な好奇心があるだけです。

【引用元】ジェリー・メイヤー/ジョン・P・ホームズ『アインシュタイン150の言葉』
(ディスカヴァー・トゥエンティワン)P6

好奇心がモチベーションの源泉になるということは、皆さんも経験から納得できるところでしょう。子供の頃を思い出してみてください。複雑な計算問題を解くのは億劫で後回しにしがちですが、ゲームの攻略法や虹が発生する原理なんかは自ら進んで調べたのではないでしょうか。好きなもの、面白いと感じるものであれば、人間は自然と好奇心を持てるものです。

では身近にあって好奇心を生み出せるものとは何か。それが趣味です。

仕事で疲れて帰ってきた後に取りたくもない資格の勉強をしようとしても手に付きませんが、プラモデル作成や映画鑑賞は疲れを忘れて没頭できます。好きなことに向き合った時、無限にエネルギーが湧き出るかのように感じた経験は、誰しもあるはずです。

そして、趣味に対するモチベーションは他に転用することもできます。例えば趣味の時間を少しでも長く確保したいとなると、仕事の生産性向上に対してもモチベーションが生まれます。

推し活においても同じです。

「もっと推し活を楽しみたい」
「もっと推しに活躍して欲しい」

そんな強い気持ちさえあれば、

「まだ気づけていない推しの魅力があるのではないか」
「何故自分はこんなに推しているのだろうか」
「どうにかして推し活にかけるお金や時間を増やせないか」
「もっと推しの魅力を広める方法はないか」

というように、好奇心が無限に湧き出てくるのではないでしょうか。

① 推しへの情熱から好奇心を膨らませ
② 好奇心を動機に転換して自己研鑽に励み
③ 得られた対価を推しに還元する

このような循環を作れれば、推し活も自己投資の一環です。使い方次第で、推し活は人生を好転させる起点となります。

まとめ

  • 自己投資とは自分の市場価値を高めるための行為全般を指す

  • 自己投資には強い動機が必要

  • 強い動機は好奇心から生まれる

  • 身近にあって好奇心を生み出すものが趣味である

  • 推し活から強い動機を生み出し、自己研鑽に繋げることで、推し活は自己投資の一環になる

さいごに

「本当にそんなことができるのか?」「方針はわかったけど具体的にどうしたらいいかわからない!」と思われた方もいらっしゃるかと思います。

記事ボリュームの都合で次回以降になりますが、本マガジンではそんな疑問に一つ一つ丁寧に向き合い、よい解決方法をご提案できるような記事を投稿していきます。

読んでくださる皆様が豊かな推し活ライフを送れるようサポートいたしますので、是非本マガジンやTwitterをフォローいただき、次の記事の投稿をお待ちください。

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また、推し活の活用方法は一つだけではありません。別の活用方法についても今後書いていきますのでお楽しみに。


イラスト制作:池田泰葉 様
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