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【孫日記】 祖母に会いに


7月末、入院中の祖母の容態が悪化した。

「命に関わるかもしれないから、病院に行ってくる」

父からそう連絡をもらったとき
次の「またね」が実現するとは限らない。
ということを痛いほど実感した。

会いたい人には会えるうちに…。

そう思い、祖母に会いに行ってきた。


祖母はわたしの顔を見るなり勢いよく抱きついてきた。

「みけー!会いたかったー!元気にしとったね?!」

つい数日前まで生死の狭間を彷徨っていた人とは思えないほど
大きな声で、力強くわたしを抱きしめてくれた祖母。

だがその体はとてもか細く、
骨と皮を僅かな脂肪がかろうじてつないでいるような状態で
わたしが少し力を入れるだけで簡単に折れてしまいそうだった。


実家での祖母は、思っていたよりも元気そうで
ゆっくりではあるが自分の足でしっかりと歩き
だいすきな料理も庭の手入れも無理のない範囲でやっていた。

最近では、何をするにも家族の誰かが祖母と一緒にいたり
そばにいられなくてもこまめに様子を見に来たりしているそうだ。


我が家は自営業なので、家族の誰かが常にそばにおり
店舗に行けば馴染みのお客様とお話を楽しんだりもできる。

そういう環境が祖母にはいちばんの薬になっているようで
入院していたときに比べると食欲も増え
日々体調が良くなっているのを自分でもはっきりと感じるらしく

「また生きて家に帰って来れてよかった」

そう嬉しそうに話していた。


とはいえ、容態が良いかと言えばそうではない。

体力的にも病状的にも抗がん剤ができなくなり
今後いつなにがきっかけでどうなるか予測がつかない。

不安や心配事は尽きないけれど
今はただ祖母と笑い合えたことを素直に喜びたい。


次もこうして家族揃って会えるかどうかは分からないけれど
そうあってほしいという願いも込めて…

またね!





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