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【10/13】名古屋まつり郷土英傑行列コースを毎日歩く 『脂のしたたり』(黒岩重吾)

10月13日のウォーキングコース
若宮大通(7:44)~大津通北上~栄交差点~伏見~納屋橋~笹島交差点~名古屋駅ミッドランドスクウェア前(8:23)

 今日はお休みで朝からウォーキング。この時間だとさわやかな気候でウォーキングにピッタリでした☆
 帰りにネットカフェ「亜熱帯」に寄って一休みしました。でもグラスの補充はあってもホット用のカップの補充がなくて暖かいドリンクが飲めませんでした(*_*;

 『黄昏流星群』(弘兼憲史)は2話のみのショートストーリーでしたがイヤミスでもなく、成功を手にして終わるわけでもなくスッキリしたエンディングで良かったですね。

 先日、『脂のしたたり』(黒岩重吾)を読了しました。黒岩氏の初期の作品で、文庫本にしては結構分厚い長編です。


 主人公は証券会社の社員で、当時は「マネービル」(©日興証券)というキャッチフレーズで株式投資に沸いていた時代、いわゆる「バブル」の状態が舞台となっています。株の買い占めによる会社乗っ取りの情報を得た主人公が謎を解くために調査しつつ、自分も投資して高値で売り抜けようと画策します。そこに謎の女性が現れ、会社乗っ取りに絡んでいるようです。その実態は?が物語のあらすじになっています。

 黒川重吾氏が証券会社に勤めていたことから、証券会社について詳細に描かれてます。当時は「株屋」であり、社員も「株屋の店員」とみなされ、「言葉巧みに売買させて損させても知らんふり」という実態(?)が描かれて歴史を感じます。その他、社員に「場立」がいたり、「株券の受け渡し」なんて制度があったり、「手張り」とか「無断売買」とかが日常茶飯事だったという実態も普通に描かれてます。
 最初は主人公がうまく立ち回って巨額の利を得て会社を見返す話だと思いきや、謎の女性の復讐物語に変わっていきます。終盤はなぜかサスペンスに変わります(^_-)-☆この辺りはさすが『社会派サスペンス』(黒岩氏が自称)の作家だけありますね。

 感心したのは、乗っ取りの舞台になってるのが映画会社であることです。今なら、テレビが生まれて映画が斜陽化したという事実を僕らは知ってますが、当時はまだ日活では旭や裕次郎の映画が全盛の時代で、今後斜陽化するなんて誰も考えていなかったのに、その後映画会社が多角化と称して映画以外のビジネスに手を出していくことになったんです。小説の展開を事実が後追いした形で、解説でも触れられていましたが、「物語が現象に先行している」点は素晴らしいと思いました。まあ、こういう人が株式投資で勝ち組になるんでしょうね。

 ネタバレになりますが、最後に株を売却して巨額の利を得たと思いきや、翌日に証券会社が倒産(社長が現金を持って夜逃げ)したため一円も回収できなかったというエンディングはショッキングでありながら風刺に富んだものでした。確かに証券会社って銀行と違ってペイオフの制度はないのでこういうリスクってあるんです。その数年後、旧山一証券の破綻を日銀が救済したというのはこんな悲劇を防ぐためだったんですね。
 これって今でもありうる話で、ネットで注文して売買が成立しても、その後振り込み前にそのサイトにつながらなくなったら・・もう回収するすべはありません。証券会社はないとしても、FXや仮想通貨だとあり得ない話ではありませんね。

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