心を使うからこそ、ストーリーは生まれるのかもしれない
「あと3分で出発しないといけない!
走って改札口まで来て!」
京都駅の地下街は初心者にはなかなかに
迷路です。ゲストの2人が本日で京都を出るということで、お見送りへ。
「今 、エスカレーターを上がってる! 時間危なそうだったらもう行っちゃってね!」
エスカレーターをかけ登りながら、JRの改札口へ。
京都へ来て、8ヶ月くらいたつのに、まだ京都駅はよく分かっていない。「もうちょっと土地勘鍛えないとな」と心で呟きつつ、改札前へ急ぐ。
「やっときた!」
と合流し、
「何分に出発する?」と聴くと、
あと5分後に出発だという。
ほんとに時間ないね。ごめんね。
声をかけつつ、3人で最後のセルフィを撮る。
1人はスイスへ、1人は今滞在している韓国へと帰路につく。2人とも目が潤んでいる。
何しろ5年ぶりに再会、5日間ほど日本で共に過ごした。10年来の友人で、ベストフレンド同士だ。
「気を付けて、帰りなよ」
2人はハグしながら、
そう静かに言葉を交わしていた。
そして彼女 はソウルへと旅立って行った。
涙をぬぐって、片割れをお見送りしたNは
「東京行きの新幹線のチケットを買いにいこう」
とボソッと行った。
Nは日本語が驚くほど話せる。
でも読み書きはからっきしらしい。
「普段、オレたち知らない人と仲良くなることは、あんまり無いんだ。周囲とちょっと壁を作るタイプっていうか。だから君の場合はちょっと特別。」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
そういうので精一杯だった。
「また、ご縁があったらいつか会おう。こういう巡り合わせのことを日本では(ご縁)って呼ぶんだ。日本か、スイスか、また世界のどこかで、ご縁があったらまた会えるかもしれない。そのときを楽しみにしてる。」
そうなんとか付け加えると
彼はその言葉が気に入ったようで、
その言葉覚えておくよと笑った。
気をつけて、帰れよ。
ハグをしながら、彼に言う。
「あんたもな。」
彼はそう返して、雑踏に消えて行った。
「アニメの見過ぎだろ」
消えゆく彼の背中を
追いかけるようにして
ぼそっとひとりごとを言ってしまった。
心は驚くほどに
温かい感じがした。
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「ストーリーで溢れてる」
ホテルを作ってみたい。
そのためには
ゲストやスタッフや地元の人たちと心を使って向きえばいいんだということに気がついた。
ストーリーは戦略というよりも
心を使えるか否かにかかっているのかも。
そんなことを気づかせてくれた
2人に感謝しています。
「これからも、いいご縁がありますように」