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猫と静電気

その日、ご飯を持って来てくれた母さんの肩に変なものが見えたんだ。
それは小さな小さな人間のようにも見える。
なんだろう??
で、その小さな何かは微かにブブブという音を発していた。

母さんがいつものようにご飯皿を床に置く。
そして「食べてヨシ」の合図、僕の頭を撫でようとしたその時だ。
母さんの指先から僕の頭に小さな雷が落ちた。
   〜〜パチン⭐︎⭐︎

イタタ!
わわ〜嫌だ、これ、時々来るんだよね。
僕これ、本当に嫌い。
なんかビクビクしちゃう。

同じようにびっくりした母さんが「静電気!」と言った。
へえ〜あれってそういう名前なの。
セ・イ・デ・ン・キ
僕は忘れないように何度も頭の中で繰り返した。
そして、その日から何故か?僕はそれが見えるようになった。

猫と静電気3



〜セイデンキは色んな所に潜んでいる。
ソファーの上の柔らかクッションとか散歩から帰ったRの毛の中とか。
なまじっか見えるもんだから僕はセイデンキがいる所を避けるようになった。

猫と静電気4

・・でもね、あれですよ。
猫は自分の欲求に正直なんだよね。
食う・寝る・遊ぶ。
これを前にするとほとんどのことは忘却の彼方ですよ。

その日は久しぶりにRの遊び相手になっていた。
調子に乗ってしつこく絡んでくるRにパンチを喰らわし猫トンネルに逃げ込む。
走ってまた取っ組み合いをする。

その時僕は気が付いた。
暗いトンネルの中、組み合っているRと僕の身体。
色んな所にセイデンキが居てブブブと不気味な音を発している事に。

僕の毛がボワーっと逆立っていく。
ああ〜途方もなく嫌な感じだ。

Rの身体が離れる。
その瞬間セイデンキがニッコリと笑ったような気がした。 
  
        ⭐︎⭐︎⭐︎   バチーーン🎉 ⭐︎⭐︎⭐︎



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