のら猫から家族 家猫修行と野望2
『吹雪の夜 帰らない夜』
ごめんサヨさん、今夜は帰れない。
みんな心配してるだろうな。
昼、調子に乗って見回りエリアからはみ出してしまった。
初顔合わせのチャトラに睨まれた。
ボクは「ごめん」と自分のエリアに戻って来たよ。
でも、チャトラはボクについてくるんだ。
ボクの縄張りには入れたくないから
そこでバチバチ!なんとか追い払ったよ。
だけど…疲れたよ。
冷たい空気を吸うと胸が苦しい。
暗くなってきたから早く帰りたいのに
吹雪になって、雪がボクの毛にくっつく。
お腹すいたよ。
寒さに強いボクでも吹雪は厳しいよ。
遭難! 猫が?!
なんとか雪と風を避けられる場所まで移動した。
今夜はここで寝ることにするね。
どれくらい経ったかな。
「・・・」
風音の中にサヨさんの声が聞こえる?
「マ・・ロ・・」
サヨさん、ボクを探してるんだ!!
「ニャー!」「ニャー!」ここだよ!
サヨさんにはボクの声が聞こえないんだね。
ボクは大丈夫だから、サヨさん戻って。
その夜、何度かボクを呼ぶ声が聞こえたけど
ボクはサヨさんの元へは行けなかった。
朝、劇的に冷え込んだけど、吹雪は止んだ。
ベランダで「ニャーゴ、ニャーゴ」したら
サヨさんが出てきてギューってしてくれた。
「ニャーン」あったかい…
その後は叱られて、ケージに入れられた。
「ニャニャ、ニャーン」今日は出かけません…
湯たんぽの入ったベッドでグッスリ眠った。