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利他の心の難しさ:メンターからの伝言

「合意してません」 強烈な一撃が、妻の口から発せられました。

「何?なんかあるの?えっ、そんなの合意してません!

カウントスリーでノックアウト

夕方の時です。妻が仕事から帰って来ました。私は出掛ける準備を整えて待っていました。時に、東京は桜が満開となり、夜桜見物には最高のタイミングです。寒くない夜に、千鳥ヶ淵の桜は見事です。

朝食の時、帰ってから夜桜身に行かないか?と妻を誘いました。以前プロドライバーを3カ月間だけやっていた時、明治通りの広尾から渋谷への桜が見事だったことを思い出したからです。

東京は緊急事態宣言が解除となったとは言え、夜桜見物はお控えください、お控えください、お控えください、と「緑の人」スピーカーが訴え続けているので、無下にするのも忍びない。

しかし、こちらには3密回避の秘密兵器があります。オートバイです。

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妻との3密は除外するとして、他人と2m以内で接触することはあり得ません。そのうえ、都内の夜桜ポイントは心得ている。今がチャンス、というわけです。

そこに妻の「合意してません」の一撃。

私はこの言葉の意味を瞬間、考えました。考える癖がついているからです。これがメンターの悲しい性といって良いものですが、それは後程お話ししましょう。


ハイコンテクストな日本語

ふつう親しい人、家族などとの会話において、明確な否定がなければ「まあ反対してるわけじゃないな」と誰もが思うでしょう。

逆にいちいち「合意しました」「合意してません」を繰り返す会話は普通ではありません。なんだかYes/Noを明確にする英話のような会話で、よそよそしくなって、相手との心の距離はどんどん離れていきます。

相手と近しい関係ではないのならいざ知らず、身近な人同士の、行間が読める気心が知れたハイコンテクストな日本語環境において、嫌がってないなら一緒に行くだろうな、そう理解するのが筋だと私は思うのです。

そこに、冒頭の一撃です。参りました。

夜桜のポイントも知っている。時に桜は満開。夜桜の後にテイクアウトの夕食を買って帰れば良し。そう考えていた主夫の私は、とんでもないカウンターパンチを食らって、ノックダウンしました。

「何?なんかあるの?えっ、そんなの合意してません!」

これで、私の心は音を立てました。ブチッ!

抑えきれない怒りが全身を覆い、無言でヘルメットを被って夜の街へ走り出しました。怒りに負けてはいけない。頭を冷やそう。メンターも修行の時です。


利他の心で誘ったのに

今週は月曜日に妻が振休だったので、Miniのコンバーチブルを借りて房総デートに出掛けました。終日上機嫌だった妻の反応が嬉しかった。妻の笑顔は、私を喜ばせます。妻の仏頂面は、私の心を凍らせます。

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私の人生のプライオリティの最上段にはこう書いてあります

”Make my wife happy.” 妻を幸せにすること

何をすると妻が喜ぶかな、そう考えて毎日何かを「仕掛けて」いるのですが、今回は完全に逆反応でした。妻は私の真意を掴んでいなかったのでしょう。夫への理解はその程度の妻である、そういう妻と結婚した自分の責任である、そう思うしかありません。

相手は変わらないのです。

もう一度言います、妻であろうと上司であろうと、部下であろうと、お友達であろうと、敵であろうと、相手は変わらないのです。

だから、自分が変わった方が早い

修正です。適応力が試されます。結婚生活で最も必要なことは忍耐力。これは筋トレのように常に鍛えるしかない。今回もハゲシク鍛えられてます。


言葉のギフト:利他の心で届けているか

マクラはここまでにして、ここからが本題です。

自分を喜ばせるのは利己の心、つまり私欲です。相手が喜ぶと自分も嬉しい、これが利他の心ギフトです。

私は利他の心で、今日は夜桜プチツーリングすると妻は喜ぶだろうなあ、そう思って「仕掛けた」のですが、完全に的が外れました。妻からは利己の言葉が返って来ました。そんなの行きたくないから。私の利他の心は妻には伝わりませんでした。

ここで、妻が利己ではなく利他の言葉を返せなかったのは、それができるような環境作りができていなかったからでしょう。そこまで私は至りませんでした。主夫である私は、家庭が心地よく過ごせる環境を作るのもひとつの仕事。人生、これ勉強の日々。未熟者メンターを痛感しますが、これは忍耐力を養うチャンス到来です。妻をクサンティッペにするわけにはいきません。

会話は言葉のキャッチボールです。

私は利他の心で言葉を発したつもりでしたが、相手にとってはそれは無意味でした。つまり、相手のレベルに合わせて言葉を選ぶことを私がしなかったのが原因です。


言葉を発する時、利他か利己かを自己採点する

いま自分が喋っていることが、相手にとっての利他か利己か、これを常にチェックしながら話すように、私は普段から訓練しています。やってみれば分かりますが、リアルタイムで自分自身をチェックしながら行動し続けるのですから、これはかなり難しいです。

最初は喋った後に「今の言葉は利他になっていたかな?」とレビューします。慣れてくると、喋りながらリアルタイムで「利他か?利己か?」と○×ボードを頭の中に浮かべてジャッジし、即座にフィードバックします。

もう一人の自分を意識の外に置き、常に監視してもらっているというイメージなら分かりやすいでしょう。Jリーグのミッドフィルダーは試合中にピッチ全体を俯瞰して見える、と言います。これと同じです。


メンターの会話術

これが出来るようになると、普段から相手との会話の中で、喋ること、質問すること、つまりインタラクティブな会話をリアルタイムで修正しながら話せるようになります。

また相手が話している間に、自分が喋ったことを瞬時にレビューし自分にフィードバックして、相手の話も聞きながら次に返す言葉やストーリーを組み立てるという複数連続同時進行で会話を組み立てます。これが複数人同時進行で出来るようになると、聖徳太子になれるのでしょう。

メンタリングにおいてこれは必須です。

メンティーが喋っている間に、こちらは次の質問を組み立てる。場合によっては3つ先くらいまで質問を用意します。カウンセリングの基本は聴くこと。だから話し易いように質問を繰り返すのです。

質問を繰り返すと、その人の考えている事が絞られていきます。最初は漠然と聞いていき、会話の中に「引っ掛かる」部分が来るのを待ちます。ピッとセンサーが反応したら「それはどういうことですか?」、まずこう質問します。


メンターは質問でメンティーの頭の中を整理する

あとはその「引っ掛かり」をアンカー(足掛かり)にして、相手のイメージを絞り込んであげます。相手は気付かないでしょうが、自分が話す内容が絞られて事の中心へ向かっていることに後から気付きます。私の頭を使って、メンティーさんの頭の中を整理していく

メンティーさんは、質問に答えていくうちに、自分の悩みや問題点を「自分で」解決していく。それが出来ないとメンターにはなれません。答えは常にご本人が持っています。ただそれに気付かないだけ。それをメンターは引き出します。

ここでの極意は「質問し続ける」こと。軽く相槌を打ってあげる。聴いてますよというサインです。そしてひとつのチャプターが終わったところで「これってどういうことですか?」とやんわり聞いてあげる。

こういう質問の作り方と投げ方が、相手の真意を引き出す会話の極意です。


真のセルフマネジメントとは

会話の中でここまで考えながら、理論的に物事を組み立てる人、それを普段の生活から行っている人は稀でしょう。これをやっているのがコンサルタントやカウンセラーなのだと私は思います。普通の人はそういったことは意識の片隅にもないでしょう。そこがメンターとそれ以外の人との行動原理の違いです。

メンターは常に自分の行動を客観視して、言葉がギフトになっているか、私欲に走っていないか、後ろ3mの位置から自分を眺める感じで、起こっていることを現在進行形で視ます。つまり自分のコンサルティングを自分で行うのです。これを真のセルフマネジメントと言います。

世にセルフマネジメントという言葉がはびこっていますが、こういった真の意味で使っていることは稀です。多くは「時間管理しましょう」とか、「感情をコントロールしましょう」といったレベルでしょう。

セルフマネジメントこそが人生の成功への最強ツールです。


忍耐力を筋トレする

ここまで読んでいただいた方なら既にお気付きでしょう。セルフマネジメントに必要なのは忍耐力です。

忍耐力は筋トレです。諦めない、継続することが肝心です。

今回のようなガツンと来る一撃こそ、強い忍耐力が必要です。耐えて鍛えれば強くなる。日々の忍耐が、心優しい人間を作ります

日々気に入らないこと、納得のいかないこと、気が進まないこと、嫌なことがあなたの身に降りかかってきます。そうして、こんちくしょうと思ったなら、忍耐の時が来たと自分で気づいて、忍耐筋トレ「ありがとう」と心の中で相手に感謝しましょう。

怒りに負けると、心は暗黒面に陥ります。怒りパワーは負のパワー、ダースベイダーへ堕ちる一歩です。

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愛と感謝のギフトを言葉に載せて

自分を鍛えてくれる、筋トレをアシストしてくれる、より大きな負荷を与えて筋トレ効果を増してくれる、そんな有難い機会は無いでしょう。

ありがとうは魔法の言葉です。から発する感謝の言葉ギフトです。

これを相手に「皮肉ね」と思われないようにする方法は、ただひとつ、素直な心を持つしかありません。素直な心は相手に伝わります。相手も分かりやすい。変化球では相手の心に真っ直ぐには届かないのです。言葉のキャッチボールこそ、相手のど真ん中に、取りやすいところに投げるのです。

その素直な心の中心にはが無ければいけません。素直忍耐、この3点セットでいきましょう。きっと明日から人生が変わります。


ではでは
三川屋幾朗@mikawaya1960
 公共メンター https://menta.work/plan/954


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