茨城久慈でゲストハウス泊 by Hostel Pass【旅完結】
日本の東半分をHostel Passで繋いで旅する今年の夏の旅は、高山、金沢、山形、札幌、気仙沼とゲストハウスを繋いで旅をしてきました。東京に戻る前の、この旅の最後の宿は、福島との県境に近い北茨城の大子(だいご)に位置するLahar(ラーハ)ゲストハウスです。
このゲストハウスのキーワードは「解放」でした。旅の最後の宿では、出掛けることはせず、骨休めすることにしました。
ホステルパスについては前回まででお話した通り、全国に散らばるゲストハウスを1カ月単位で旅したりリモートワークしたりできるお得なパスです。私は3月に1.5万円で購入してコロナ禍の緊急事態宣言後に使う時を待っていました。
二階のテラスの先に里山があった
玄関を過ぎると、吹き抜けの先に階段がある、開放感あふれる空間が現れます。出窓に幾つものキャンドル。その訳は後で解ります。
階段を上がると解放廊下。目指す部屋は真ん中にありました。
左右の二段ベッドの先にはテラスが。出てみましょう。
気持ちよ~い里山の風景が眼下が足元に広がります。高台に建つLaharは、周囲を見下ろす位置にあるので、解放感は抜群です。
翌朝、日が昇る頃には正面の山肌から雲が下りてきて、手前を埋めていくように白い世界が広がっていきました。太陽が上がっていくとその雲も上がっていき、またこの風景が戻ってきました。
あ~、のんびり。
リラックス、リラックス、リラックス
このゲストハウスを形容するとしたら「リラックス」、これに尽きるでしょう。心も体も里山に預けて開放する。周囲に民家が立て込んでいないので、それが出来る場所にLaharは建っています。
お庭のハンモックで、本を片手にボ~っと。
午後はこちら。
居間は網戸を残して開け放つと、気持ちの良い風が入ってきて、暑い日でしたがエアコンは不要でした。風が最も通る場所に座って、しばしの読書。そして眠くなってきたら、そのままソファで昼寝しちゃう。ああ極楽。
このゲストハウスで忘れちゃいけないのが、温泉です。元は温泉旅館として建てられたもので、お風呂は温泉というのがLaharの素晴らしいところ。
さて、いつもの様に蔵書拝見。
旅と思想、それに思索のヒントになる本が並んでいます。オーナーは相当深い考えをお持ちのご様子。その中の一冊が目に留まりました。
ページをめくって少し読んでみる。うむ、これは良い。さっそくスマホを開いてAmazonでポチッとする。そんな本との出会いもゲストハウスの愉しみです。
キッチンが秀逸
私は兼業主夫なので、平日の我が家のキッチンは私のモノ。ここでの滞在中は三食自炊していたので、広いキッチンの使い勝手の良さは特筆すべきものでした。
機能的で必要なものは全部ある。これは嬉しい。
さらに嬉しかったのがコレ。米びつと、麺スタンドです。
お米と麺類が用意されていて、ゲストは自由に使うことが出来ます。
旅慣れたオーナーの心遣いがカタチになったサービスですが、これは嬉しい。有難く頂戴して、お昼にはパスタを茹でて、夜にはお米を炊いて、美味しくいただきました。朝、昼、晩と、こんな具合のメニューにしてみました。旅先の自炊飯としては上出来でしょう。
アートキャンドルはオーナーの作品
吹き抜けにあったキャンドル。
キッチンに続くダイニングルームにもありました。聞けばオーナーの奥様は、Can no Candleと言う名でアートキャンドルを作って販売もされている方でした。
こちらは、ドライフラワーが周囲を飾るタイプ。草花がお好きなご様子。
この作品には、こう書かれていました。
大子町に移住して感動したのは
圧倒的な自然な里山の風景でした
それと同時に足元に広がる草花の造形美に魅了されました
ここに灯のチカラをプラスしたら、日常の風景も違うものに見えるはず
「日常の中に非日常を楽しむ」
そんな想いを込めたキャンドルです
是非、灯して、自然の中の造形美を感じて下さいね
作り主の想いが伝わってきます。
ゲストハウスを出発する時にサプライズがありました。
この日は私の還暦の誕生日。チェックアウトする時に、これをどうぞと手渡されて、お誕生日ですね、とお心遣いを頂いて、感激です。
旅の締めくくりの思ってもみなかった嬉しいプレゼント。
家に帰って開封すると、素敵なキャンドルが現れました。火を点けるのがもったいなくて、リビングのテレビの前に、今もこのままの姿で立っています。
ゲストハウスは一期一会
笑顔を絶やさない朗らかな奥様と、実直で穏やかで深い思想をお持ちの旦那様。静かに相手を気遣ってお話する旦那様の、ここまでの人生は、ちょっとここでは書けません。直接伺ってその、人と成りに触れる時、風貌とは違った感想をお持ちになるのではないかと思います。もちろん良い意味で。
そんな陰陽調和の様なお二人が出会って、ゲストハウスとして結実した。その場所に旅人として伺った私は、お二人との会話が楽しかった。
前の晩にお二人のご友人のご夫婦が、バーベキューをしにやって来ました。私にもお声掛けて頂いて、有難く常陸牛のご相伴に預かりました。
そのご友人の奥様は金属アートの作家さんで、袋田の滝のトンネルを通っていくと作品があります。ゲストハウス内にも、さりげなく幾つかの金属アート作品が置いてあって、その作り主に会える機会がやって来ました。
オーナー奥様はアートキャンドル作家ですから、アートなお二人からは作品にまつわる思いが聴けました。モノづくりでキャリアを積んできた私には、作るものが違えども、モノを作ることの楽しさと深さをお二人からお聞きするのは楽しい。タップリお話して、この旅最後の晩は、ここでも一期一会の出会いと想い出になりました。
東京に住む私は、茨城はお隣さんです。その気になるといつでも行ける距離に、気に入ったゲストハウスがまたひとつ増えて嬉しく思います。
2020年夏のホステルパス利用の旅:おしまいに
Hostel Passでゲストハウスをつないだ「ワーケーション」の旅は、Laharでおしまいです。高山、金沢、山形、札幌、気仙沼、北茨城、6つのゲストハウスを繋いで、日本の東半分を旅しました。
オートバイの一人旅。気になる費用を見てみましょう。
1ヶ月の旅は、東京で暮らすよりも安い、6万円弱でした。中身は濃いけど、お財布には優しい充実した旅になりました。
この旅を振り返ると、今回の旅でも行く先々で一期一会の出会いがありました。街、風景、そしてヒト。そのひとつひとつが重層の記憶となって私の心の中に仕舞われていきます。
各ゲストハウスには二泊ずつの滞在でした。
長期の「移動し続ける旅」では、これが丁度よいことに気付きました。一晩だけだと分からない街やヒトが、あいだに1日を設けて二泊とすることで様々な事が見えてきます。また、移動し続けることで溜まっていく疲労を軽減させるのにも効果的でした。
特にヒトとの出会いは、旅の質を上げます。
旅先でヒトの心に触れる時、自分の心も開かれます。心を開いていくと、見えていないものが見えてきて、見えているものも違って見えてきます。
ゲストハウスは開設までに様々な歴史を持っています。そのひとつひとつをオーナーとの会話でお聴きする時、そこには「ヒトの思い」があり、それをカタチにした歴史に触れることが出来ます。そういうエネルギーが蓄積された場所としてゲストハウスを捉えると、単なる宿泊施設ではないことが分かります。ここがホテルや旅館と大きく違うところあり、ゲストハウスで旅する醍醐味だと思います。
こんな旅、あなたも出来ますよ。
ではでは@三河屋幾朗