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書けん日記:46 12月の庭にて

みなさま メリー・クリスマス! Buon Natale!
クリスマスでございます。12月も終わり、年の瀬、冬本番の寒さでございます。
先日より、こちらの『SS屋台』にて、SSを2本、あんこ入りと健全の2品を公開させて頂き、どちらもみなさまにたくさんのご閲覧とお買い上げ、ご評価を頂きまして本当にありがとうございます!!
……今回のSSより、昨今の時流、値上げという形になってしまい本当に申し訳ありません……そのぶん、あんこの糖分、生地の滋養や鉄分などを増加してお届けできますよう、これからもがんばります……!!

・Meet1 stranger

――12月。
庭に出してある水盆に、早朝に薄氷が張る季節になると……今年も、例年の可愛らしいお客たちがやってくる。
以前の記事、ちょうど1年前の日記で紹介させていただいた、さまざまの小鳥たち。
スズメの群れ、メジロ夫婦、シジュウカラ一家、ヒヨドリ、キジバト、シロハラ、ツグミ……いろいろ。
野原に、田んぼに食料が少なくなってくると、次第に民家の方に集まってくる鳥たち。
今年は、誰が一番乗りかな~ などと待っていた12月の初旬――
……今年も、 デデドン という効果音に乗せて先に『彼ら』が来てしまい……。

……はい。ハイタカとかの、小型の猛禽がうちの庭を縄張りに、上空を飛び交い、野鳥の視線で庭を狙うようになってしまい――狙われやすいスズメたち、そして傍若無人なヒヨドリさえも、逃げ散り、どこかに消え失せてしまい。
……しかも。猛禽たちは、写真を取るのも難しく。ここでこうして取り上げても、画像も貼れないというまさに撮れ高のなさ。

……おまけに、今年は。
秋ぐらいから、なんとなく気配があったのですが……子ねこが。
野良らしき猫が、うちの庭に出没するようになって――さらに、スズメたちの群れは庭には近寄らなくなってしまいました。
ああいう冬の小鳥たち、庭での鳥見風情を楽しむには――まず、

 スズメたちが来る → スズメが群れで来る → それを見た他の野鳥たちが「おっここは食い物もあるし安全そう」と偵察 → 来る鳥の種類が増えると、レア鳥も来る

という流れがありましたが、今年はそれにスタートダッシュでつまずいている次第――
仕方なく、その猫たちを観察、あんまり逃げない、なんか庭にいついたらしき気配のある、今年生まれたくらいの子猫を……。

サバトラのねこ 通称「こさば」

元はどこかの飼い猫で、捨てられたのか。
触ろうとしたりすると逃げますが、人馴れしている気配があるこの猫。そして、空腹を訴えて甘えると「めしがでる」と知っているらしき……猫。
この猫に「しょうがないにゃあ」と、カリカリキャットフードを少量、与えたり。鶏肉から剥がした皮を茹でて刻んだのを食べさせてやったりしつつ。
「食わせてやるから、うちの庭の小鳥にはちょっかいかけないでね」
などと、因果を含めてはおりますが……猫の耳に念仏かな、と。
本来なら、エサも出さず追い払うべき、かとは思いつつ。
……されど、猫にはてんで甘いこの不肖。毎朝、テラスに来る猫の姿を確かめつつ、日々のおかずから取り分けたたんぱく質の切れっ端など、用意している……不肖です。


・Meet2 家之庭目白うちのにわ めじー


猛禽、そして猫の来訪――
……今年は、鳥見風情はあかんかなあ、と思っていた不肖でしたが。
今年も、12月中旬。氷雨が降ったその翌日の朝、見慣れた、あの可愛らしい姿が庭にやってきてくれました。
最初のお客は、メジロの夫婦。
園芸用の支柱を組んだやぐらに、みかんの輪切りやバナナを置いておくと……きれいな抹茶色がちょこちょこと。

ヨメジローとムコジロー

今年は、まずはひと組の目白夫婦だけがうちの庭を縄張りに。ここに、別の夫婦、独身メジロも入り込むと――いままで、つつましい「ちいかわ」だと思っていたメジロの様子が一変する。
メジロたちは、縄張り争いになると、見ているこっちがビビるくらいの激しさ、粘着度で戦い、相手を追いかけ回し……その様子は「三度のめしより喧嘩が好き」と言わんばかりの、激しさに。
……なのですが。今年は、まだ二羽のの夫婦メジロだけ。
しばらくは、ちまちまみかんをつつく慎ましい夫婦を見守る日々…………。
かと、思いきや――

 ムコジロー「マタ キオッタ」

メジロから、数日遅れで現れたのは……渡り鳥の、ジョウビタキ。

なんか庭から、独特の「 ヒッヒ ヒー 」という鳴き声がするなあ、と思ったら。
やぐらの餌代に、メジロ夫婦に混じって……ジョウビタキ、メスの姿が。
例年は、ジョウビタキが来てもオスのことが多かったのですが、今年は少しレアなメスがうちの庭に。
ジョウビタキのメスは、オスよりも警戒心が強く、しかも繁殖期以外は容赦なくオスに追い散らされるせいであまり、人目にはつかないはずなのですが――

このジョウビタキのメス、通称「ジョビ江」は、オスのように大胆不敵というか。
こちらがカメラを向けてもあまり気にせず、庭のピラカンサの実を物色したり、落ち葉ひっくり返して虫を探したりと――
そして。

ジョビ江「ねえ、めじ坊じゃないの」

うちに来るジョウビタキは、オスもそうだったのですが……。
なぜか、全く種類の違うトリ、留鳥のメジロに――なぜか、つきまとうというか。攻撃などはしないのですが、なぜかちょっかいをかける。
メジロがみかんをつついていると、同じ支柱に止まってそれを見たり、なにか鳴いて呼びかけたり。
ジョウビタキは、みかんとかの果実には興味がなく、つつきもしないのに。餌場にメジロが現れると、どこからもなくジョビ江は現れ、ちょっかいをかける。そんな光景が。

ストーカーされるメジロの方も、害意はない相手とはわかっていつつも明確に、迷惑そうで。
去年の、オスのジョウビタキ、ジョビ夫がいたときは

ジョビ夫「おう、めじ防。今年もおいちゃん、来たで! シベリアじゃおいちゃん、大もてやったんやぞ。めじ坊は彼女おるんか、まだ童貞か」
メジロ♂「江戸時代には通称「馬鹿鳥」だったトリは、渡りで日本海に墜ちて、どうぞ」

みたいな、メジロもうざくなって途中で逃げる生態だったのが。
ジョウビタキがメスだと、メジロのほうも、

ムコジロー「カカワラントコ・・・」

ジョビ江「あら、めじ坊じゃないの。うちの亭主から聞いてるわよ、あんた童貞のくせに嫁もらったんだって? なまいきー。彼女連れてきなさいよ~」
メジロ♂「うっわ、おっさんとは別のベクトルでうぜえ……」

ジョビ江「彼女連れてきなさいよ~」

……のような。そんな脳内会話が再生されるような。
うざいんだけど、餌場を離れるのもまた面倒、くらいの距離感で――メジロ夫婦と、ジョビ江は今日も仲良く?やっているようです。


・Meet3 チャボたち

先日の日記で、取り上げさせて頂いた――チャボたち。
例の謎生物「ひょん」の尻尾でも、不肖は知らずに踏んづけでもしていたのか。まさに、ひょんなことから訳アリのニワトリ、チャボの中ビナの姉妹を預かり、家で世話して一緒に暮らすことになった不肖ですが。
あれから……

だいぶ落ち着きましたが、まだ怯えています

仮の住まいの、保温した衣装ケースの中で。
チャボの姉妹は、最初は怯えて、陰にした隅っこで重なって、じっとしていた彼女たちでしたが。
翌日くらいから、さすがに空腹に負けたのか、置いてある餌入れ、水の器をつつき出してくれて。
私がホッとして、されど――少しでも、そちらに顔を向けると。大きく動くと、また怯えて逃げ惑ってすみっこにうずくまってしまう……チャボたち。
もしや……。
うちにくるまで、かなり環境劣悪で、下手すると虐待レベルだったのでは? と疑いたくなるような怯えっぷりで――私記憶、数十年前なれど、畜産班の班長時代に、幾度も世話をしたニワトリ、あのひよこたちと比べると、明らかに怯えがひどい、このチャボたち。

されど、食べてもらわないことには……体力が、成長が。それどころか、弱っているこの子達は命の危険すらあって――私が近づく、視線を向けると怯える。
しかし。
チャボケースのある部屋から、私が出ていると――別室で作業したり、所用をすませていると……部屋に戻って見てみると、餌が食べられた形跡がなく。
……まずい。――この子たちは。
人間が近いと、見られていると怯える。
しかし、人間の気配がないと不安になって動かない。
……トラウマレベルの恐怖、怯えをかかえたニワトリとは。ここまで大変とは――
このままでは、まずい。
――そこで、不肖は。

灰皿がありますが、これは火を入れないローズマリーの臭い消しです

T氏からお借りしている、復旧なったノートパソコンをチャボケースのある部屋のちゃぶ台に移動。位置的には、チャボたちには、あぐらをかいた背中を向ける形で――テキスト作業を行うように、環境を変更しまして。
そして……いろんなテキストを、ポチポチと。
そうすると――しばらくすると、背後から。
 カカッ カツカツ ココッ ピヨピヨ ピッ  ……と。
エサの器、水盆をくちばしで突く音が。そして、初めて……怯えの声ではない、聞き慣れたひよこの鳴き声がしまして。
……はああああん、よかったあ。
と安堵した不肖、されど、ここで振り向くとまた怯えて隠れてしまうので――食事の音が続いているあいだは、チャボたちに背中を向けたまま……ノートパソコンに、キーボードに集中。テキストに、無心であんこを詰める。

そして――
夜、チャボたちの住まい、ケースの中を覗くと。エサも明確に減っていて、水も減ってにごっていて……まずは、一安心。
翌日も、そうやって不肖は作業、背中でチャボには給餌。
そんな生活を、数日続けたあと――

朝、チャボたちのおかげで早起きせざるを得なくなった不肖が。
まずはチャボの住まいの掃除、敷き紙の交換、うんこの片付けをして――このチャボたちが出すものも、最初の数日は、畜産で慣れていたはずのこの不肖が、
「うぉえっぷるはあ」となるくらいに、異臭を放っていたチャボうんこも、この生活が三日ほどになると次第に「まあ、こんなもんだよね」程度の臭いに落ち着き。
そんな、ある朝。
チャボたちの住まいに、交換、清掃と補充を済ませたエサの器を入れたら。

片方の子は、向けられたカメラも気にせず爆食

……来ました。
これまで、ケースに不肖がお世話のための手をいれるだけで、怯えて逃げ惑っていたチャボ姉妹が――そのエサの器に、突進してきて。不肖の手指のあいだにちいさな頭を突っ込む勢いで……がつがつ。
チャボ、怒りの爆食い。
これまでの怯えによる空腹、飢餓を打ち払うかのような……食欲。
鳥類、とくにヒナにはよくある、鳥の首と胴体の間にある、食物を貯める器官「そのう」が、羽毛の上からでもわかるほどにぷっくり膨れるくらい、チャボたちは食べて。
水も、クピクピ飲んで ハフー とゲップまでして。
「はああああん、よかったあああん」
と、思わず安堵の声が漏れてしまった不肖でした。

そんな、爆食でタガが外れたチャボ姉妹は――
まだ多少、私を警戒して怯えるところはありますが、食欲はニワトリの「それ」に。
人類が数千年、あるいは万年の時を一緒に歩み、家畜として改良してきたニワトリ、野鳥のそれとは違う食欲で……エサを食べ始めた、チャボ姉妹。

家にあった、庭のスズメたち用の飼料もあっという間に半減。飼料に混ぜる、精米センターからもらってきたぬかも、チャボたちの食欲の前では砂時計の砂よりも早く消え。
そして、緑餌、植物餌もあげなくては――と思っても、この冬には庭にも、野辺にもハコベなどの食用草は残っておらず。
しかたなく、スーパーで売っている小松菜、青梗菜などを与えてみると……これも、飼料と同じくらいガツガツと。うんこが緑色になる勢いでがっつくチャボ姉妹。しかも、貪食にも関わらず、チャボたちは菜っ葉の、緑の葉の部分しか食べず……刻んでも、茎の部分はスルーする生態が発覚。

こちらが不肖の取り分

おかげで、うちの冷蔵庫の青菜は、葉っぱの部分をすべてチャボたちに食い尽くされた茎の部分しか残らず――不肖は、それを刻んで汁の実にする日々に。

いろいろ、否、この子たちと出会ってから、全部が想定外のイベントばかり発生している不肖ですが――ともあれ、生き物にはいちばん大切な「食欲」を、この姉妹が取り戻してくれてひと安心。
箱のなかで、しばらく動かずに居て。そして食欲も出たせいか。
片方の、脚がペローシスぎみでうまく歩けなかった子のほうも、気づけば トットット と歩くようになっていて、これもひと安心。
……あとは――
ニワトリの成長は、早い。とくに、これくらいの中ビナは。
この衣装ケースも、手狭になる前に別の住まいを支度して、そして飼料のエサを手配して……万が一のときの、そして定期検診のおせわになる、動物病院も探さなくては。
……そして――慌ただしくて、忘れていました。
この子たちの名前、どうしよう……と。

少し、顔つきもおだやかになってきました

おかげさまで、チャボたちは元気です。

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菅沼恭司
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