コミュニティ学科第3回7/15(木)講義レポート
ミカタバ大学広報担当の長です。
今回は現在開講中のコミュニティ学科第3回目の講義の様子をお届けします。
受講したかったけど出来なかった方や大人の方もぜひご覧ください!
第2回のレポートをまだ見ていない!という方はこちらからご覧になれます
コミュニティ学科とは
最近よく聞く「コミュニティ」何のことかわからない方も多いのではないでしょうか。このコミュニティ学科ではその名の通り、そもそもコミュニティって?という問いから、コミュニティに教育や場作りといった文脈で関わる講師から見た仕事としてのコミュニティづくり、社会生活への活かし方などを学べる授業を展開します。将来教育などに関わりたい、居場所づくりやコミュニティに興味がある、また講師の経歴に興味を持った学生の皆さんが受講中です。
コミュニティづくりを外の視点から学びつつ、”自分だったらどんなコミュニティにいたいだろうか”という当事者視点も持って受講していただけるように全4回の講義を通してコミュニティや組織づくりについての考えを深めています。
コミュニティ学科講師プロフィール
SAPPORO Incubation Hub DRIVE Community Manager
高輪 健人
1993年北海道札幌市出身、アイルランド共和国 国立トリニティ カレッジ ダブリン大学卒業後、(株)大塚商会 マーケティング本部、WeWork Japan ブランドマーケティング、Fun Group Inc. 海外事業開発を経て、2021年3月、北海道にUターン。現在はSAPPORO Incubation Hub DRIVE にて Community Manager をしながら行政や民間と場づくりや教育の文脈でプロジェクトベースで関わる。
第3回目の講義は...
【コミュニティにおける心理的安全性】ということで、
『人は一人では生きていけない。無意識でも必ずどこかのコミュニティに属していて、そこで何かしらの影響を受けているのでは?』という観点からコミュニティが個人に与える効果や心理的安全性の担保について、学術的な側面からの学びと実際の現場での学びの両側から考えていきました。
受講生から届いたグラフィックレコーディング。
講義全体の流れを一目でわかるように書いてくださりました!
では詳しい講義の内容に入っていきましょう!!
心理的安全性とは
第1回、第2回の軽いおさらいの後、そもそも心理的安全性とはなにを指す言葉なのか心理的安全性分野の第一人者の紹介から始まりました。
Edgar Schein氏とWarren Bennis氏のお二人は組織の心理的安全性を語る時に必ず出てくる研究者で
「組織の課題や挑戦に対して、安心して行動を変えることができる。と人々が感じるために、心理的安全性は重要である。」
と提唱しており、
ハーバード大学教授のAmy C Edmondson氏は
”チームの心理的安全性とはチームの中でリスクを取っても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと”
と定義しています。
ここで指す”優れたチーム”には
「対等の立場で発言できる環境」
発言ターンがメンバー間でしっかりと常に分配されている状態であること
「高い社会的共感性」
お互いの声のトーンや顔色など非言語的なサインから相手が何を思っているのか汲み取る能力
という特徴が共通して見られ、優れたチームに必要なのは優れた人材だけでなく集団で活動する上での共感力が重要であることを示しています。
心理的安全性を一言で表すと...
「一人ひとりが恐怖や不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態」
さらに具体的には...
「チームやコミュニティの中で自分が自分らしくいる状態」
「安心して何でも言い合えるチーム、コミュニティだと感じる状態」
と表現することもできます。
なぜ心理的安全性は必要なのか?
まずは心理的安全性のあるコミュニティをイメージするために逆の視点から心理的非安全性について考えていきます。
講師の高輪さんは「心理的非安全性=不安が蔓延している状態である」と言います。
不安が蔓延している心理的非安全性コミュニティでは具体的にどのようなことが起こるのでしょうか...
①では課題点やアイデアを見つけても周りが協力してくれず、一人でやらなくてはいけない、頼れない状況が生まれ、
②は新しい意見などに対して頭ごなしに批判するだけで、ポジティブな話し合いにならず、自信もなくなるし意見しづらい、
③は失敗したときに、誰のせいかと犯人探しを始めてしまい、”どう良くしていくか”を考えられないために挑戦を諦める人が出てきているようです。
これらの不安を大きくまとめると、
「無知」だと思われる不安
こんなものも知らないのかと思われるのではないか
「無能」だと思われる不安
こんなこともできないのかと思われるのではないか
「邪魔」をしている思われる不安
あの人のせいでことが進まないと思われるのではないか
「ネガティブ」だと思われる不安
自分の発言でチームの輪を乱すことになったらどうしよう
の4つがあると言われており、きっと誰しもが人生のどこかで経験したことのある不安なはずです。
不安をできるだけ減らす、不安と向き合うために4つの要素を意識して心理的安全性の醸成に取り組むことが効果的なようです。
話しやすさ「何を言っても大丈夫」
助け合い「困った時はお互い様」
挑戦「とりあえずやってみよう」
新奇歓迎「異能どんとこい」
ここでいう”新奇歓迎”とは今まで出会ったことのないような新しいタイプの人でも食わず嫌いをせずに受け入れること
心理的安全性があるコミュニティとは
意見が違っても、助けを求めても、挑戦してみても、個性を発揮しても、
安全なコミュニティ。
心理的安全性を実現するには
「あなたのコミュニティでは心理的安全性はあると思いますか?」
という講師の問いかけから始まった後半戦。
あります!という元気な回答もあれば、たった今心理的安全性の醸成に悩んでいる受講生もいたようです。
心理的安全性は居心地の良さなど、数値化しづらいもののように感じますが、ここで心理的安全性を測る質問が紹介されました。
1、コミュニティの中でミスをすると大抵非難される
2,、コミュニティのメンバー間で、課題や難しい問題を指摘しあえる
3、コミュニティのメンバーは自分と異なることを理由に、他者を拒絶することがある
4、コミュニティに対してのリスクのある行動を取ろうとしても話を聞いてくれる
5、コミュニティの他のメンバーに助けを求めることは難しい
6、コミュニティマンバーは誰も、他人を意図的に貶めるような行動をしない
7、コミュニティメンバーと一緒に仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる
当てはまる項目が多ければ多いほど、心理的安全性の低いコミュニティ、前項にも書いている心理的非安全性なコミュニティと言えます。
講師の高輪さん自身今までのキャリアの中でコミュニティ内でわざと人を貶めるような場面に遭遇したこともあったそうです。
このような状況を打破するにはどうしたらよいのでしょうか?
まずは3つの認識をコミュニティ全体で持つことが必要だと講師は語ります。
①「コミュニティ内には自分たちが経験したことのない不確実なことや、
お互いに助け合わなければ解決できない問題がたくさんある」と認識する
②「どれだけ注意を払っていてもミスは当然起こり得るもの」と認識する
③「コミュニティ内にいるメンバーが自分はコミュニティの中で役に立っている」と認識する
心理的安全性をコミュニティ内で担保するには
ではコミュニティの中で心理的安全性を失わずに担保するには認識の他にアクションとして具体的にどのような行動を心掛ければ良いのか、詳しく見ていきましょう。
講師が提示する、特に普段から心掛けるべき行動8つ。
1、発言機会を均等に与える
2、競争よりも協力を促す
3、ポジティブ思考を意識する
4、コミュニティ内のお互いを尊重する
5、1on1を実施する
6、腹を割って話すきっかけを作る
7、新しく入ってくる人をコミュニティとしてサポートする
8、風通しの良いコミュニティを作る
コミュニティ内でパワーバランスや交流に不自然な偏りがないように積極的な交流を均等に促したり、”みんながコミュニティのメンバーである”という意識を持てるよう新しいメンバーへのサポートや長くコミュニティにいるメンバーとの橋渡しをスムーズにすることも重要なようです。
長く深いコミュニティであればあるほど、新しいメンバーや長くコミュニティにいるメンバーの間で無意識のうちに先輩後輩のような関係ができてしまうことが多いので、その障壁をなくす風通しの良いコミュニケーション・コミュニティづくりを心掛けましょう。
”心理的柔軟性”つまり、ただ正論を振りかざすのではなく、役に立つためにその場や人に臨機応変な対応を取ることが重要です。
心理的安全性というと単に心地よい関係・ヌルい環境と思われることも。
ここで注意したいのは「心理的安全性がある=衝突がない」のではなく、所属意識が高くなり、かつ心理的安全性があると「健全な衝突が生まれる」ということです。
心理的安全性の担保のためにできる具体的なこと
最後に講師の高輪さんが実際にコミュニティマネージャーとして働いてらっしゃる北海道札幌のコワーキングスペース”SAPPORO Incubation Hub DRIVE”で行っている取り組みについてご紹介いただきました。
コミュニティスタッフに向けた取り組み
心理的安全性・・・提案物は全てにGO、課題が見つかった時にはどうやったら解決できるのかともに考えて、挑戦できる機会を積極的に増やす。
所属意識・・・無意識下による所属意識の誘導(共通のグッズなど)
コワーキング会員に向けた取り組み
心理的安全性・・・話しかけられやすい空気作り (挨拶,座る席の場所)
所属意識・・・無意識下による所属意識の誘導(共通のグッズなど)
またコワーキングスペースのようなオフラインのコミュニティではなくオンラインのコミュニティでも、第2回の講義で登場した”小さなルール”が呼ぶバタフライ効果のように、たとえ小さな挨拶やリアクションでも続けることでそれが伝統・文化になり所属意識に繋がり得ます。
まとめ
1時間にわたりお送りした第3回の講義はコミュニティにおいてなぜ「心理的安全性」が必要なのか、どのようにして「心理的安全性」が実現できるようになるのかについて学びましたが大事なことをまとめると、
・心理的安全性とは?
一人ひとりが恐怖や不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態
・なぜ心理的安全性が重要なのか?
4つの不安に苛まされるとコミュニティに不安が蔓延する
・どのように心理的安全性を実現するのか?
「心理的柔軟性」正論振りかざすのではなく役に立つことをすることが大切
次回はいよいよ第4回にわたるコミュニティ学科最後の講義です!!
次回の講義について
第4回 7/26(月)『コミュニティをデザインする』
第1回~第3回までを通して学んだことを踏まえた上で『自分はどのようなコミュニティを作りたいのか』ワークシートを使いながら自分の頭で考え、お互いに発表し合う総まとめの最終回!
実際にどうやったらコミュニティが作れるのか悩み、その悩みを同じことに興味を持つ仲間と共有出来る良い機会になると良いですね。
講義キーワード
・自分が作りたいのはどんなコミュニティ?
・グループに分かれて自分の言葉で発表
・実際にどうやったらできるのか?をリアルに考える。
・発表の中で同じ悩みや夢を持つ仲間を見つけよう
・ワークシートを使ってやる中できっと悩むと思うけどそれで良い!
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