【負けヒロイン】由比ヶ浜結衣を全力で解説する
はじめに
由比ヶ浜結衣が好きすぎる!
『俺ガイル』最高!
僕は由比ヶ浜結衣に出会って,負けヒロインが大好きになりました(拗らせ)
今では由比ヶ浜結衣に比肩する負けヒロイン・羽川翼のことをもっと知りたくて<物語>シリーズの原作を読み進めています.
ということで本記事では,僕にとって負けヒロインの原点である由比ヶ浜結衣について語ります!
完全に自己満足です!
『俺ガイル』は名作でありながら意外と難解な話だと思います.
僕も理解しきれていないところは多いと思いますが,アニメを何周もして原作もしっかり読んでいるので,多少は解釈に自信があります.
皆さんの解釈と相違があったら教えてください!
あと,この部分ってどういう意味?って気になったらその部分についてもぜひ教えてくださいね.
※本記事の内容は僕の個人的見解だということは予め断っておきます.
「本物なんて,ほしくなかった」
アニメ『完』第2話のラストシーン.
由比ヶ浜が雪ノ下の枕元から,雪ノ下と八幡のツーショット写真を見つけた時のシーン.
初めてこのシーンを観た時は「本物なんてほしくなかった」の意味がよく理解できなかったと記憶していますが,今ではもう,由比ヶ浜の胸中を察するに涙腺の崩壊が免れない場面となりました.
このシーンの意味を理解するためには“本物”の意味を知らなければ始まりませんので,まずはその確認からいきましょう.
比企谷八幡「本物が欲しい」
由比ヶ浜の言う“本物”とは,当然のことながら,過去に八幡の言っていた“本物”を指しています.
俺ガイル屈指の名シーン「本物が欲しい」のところですね.原作第9巻,あるいはアニメ『続』第8話です.
では“本物”とは何か.
八幡の言葉を借りつつ簡単にまとめるなら,「相手の気持ちを知っていたいという独善的な願望を押し付け合うことを許容し合える関係」といったところでしょうか.
一般に,言葉に出したって行動に出したって,その気持ちを相手に100%伝えることは難しいものです.言葉にするのも行動にするのも憚られることだってあるでしょう.
したがって,相手の気持ちを知ることなどできないのです.
でも,それでも相手のことをわかっていたい.
わかろうとしていたい.
“わからないことはひどく怖いことだから”
理解しきることなんてできないのはわかっているけど,「わかりたい」という独善的な態度を許容してほしいし許容したいのです.
相手に勝手に期待して勝手に失望して,勝手な人物像を押し付けて.相手が傷つかないように必死に取り繕う.これらはすべて,“本物”ではありません.つまり,“偽物”です.
原作では“本物”を“酸っぱい葡萄”に例えています.
“本物”の説明については以上です.
これは余談ですが,八幡が「本物がほしい」と言って雪ノ下が逃げ出した後の由比ヶ浜のシーン,めちゃくちゃ好きです.
八幡としてはかなり堪えたシーンだったと思います.雪ノ下に拒絶された(と捉えるに十分な)シーンだったわけですから.
でも,ここに由比ヶ浜がいてくれたから,ここにいてくれたのが由比ヶ浜だったから,「今しかない」と引っ張ってくれたから,八幡,いや,3人は次に進めたんです.
やはり,由比ヶ浜がいなければ『俺ガイル』は成り立たないと,八幡の間違った青春ラブコメは展開していかないと再確認できます.
そしてこのシーン,なんと言っても東山奈央さんの迫真の演技力がやばいです(語彙).ほんとにやばい(語彙).東山奈央さん大好きです.
“本物”があったなら
では本題に入りましょう.
由比ヶ浜が“本物”を欲しない理由.
それは,“本物”があったらどうなるかを考えればわかります.
もし“本物”が成立すれば,雪ノ下と八幡はくっつきます.それは,由比ヶ浜の八幡に対する失恋と,3人での楽しい時間,おそらくは雪ノ下との親しい交友関係の終わりをも意味します.
雪ノ下との関係も終わるってのは言い過ぎでは?
いいえ.終わります.
表面的な付き合いは続くかもしれませんが,由比ヶ浜の雪ノ下に対する嫉妬や遠慮はやがて,彼女たちの関係を蝕んでいくでしょう.
由比ヶ浜はわかっています.
八幡が雪ノ下に向ける感情は,自分に向けるそれとは違うことを.
この3人の関係は,八幡と雪ノ下の関係に,無理やり自分が割り込むことで成り立っていることを.
だから,“本物”において,由比ヶ浜に居場所はありません.
“偽物”であれば,八幡と雪ノ下がくっつくことはありません.当然八幡と由比ヶ浜がくっつくこともないわけですが,由比ヶ浜の失恋が決定することもないのです.
“偽物”の関係であり続ける限りにおいて,由比ヶ浜は八幡と雪ノ下の3人で,楽しい日々を送れるのです.
おまけ: 『エブリデイワールド』
俺ガイルのアニソンに『エブリデイワールド』ってありますよね.
この曲の歌詞に,ここで解説した「本物なんてほしくなかった」に該当するところがあります.
「真実(=本物)より優しい嘘(=偽物)が欲しい」と言っていますね.この曲は雪ノ下と由比ヶ浜で歌うデュエットソングですが(ソロver.も有),この部分は由比ヶ浜のソロパートです.
続く「デジャブだらけの未来でいいよね」と併せると,この部分は「本物なんて要らないから,明日も明後日も,今日と同じように3人で甘ったるい偽物を共有していきたい」という由比ヶ浜の願いが込められているとわかります.
「涙が止まらなければよかった」
アニメ『完』第4話のラストシーン.
プロムが中止になると平塚先生から伝えられた八幡が,由比ヶ浜と別れて学校に向かって走って戻っていくシーン.
切なすぎて,僕の中の全俺が泣いたシーンです.
ここの解釈はそこまで難しくないでしょう.
このシーンで由比ヶ浜自身が語っているように,由比ヶ浜が八幡の前であのまま涙していたら,八幡は足を止め,由比ヶ浜に優しくしてくれます.
でも,由比ヶ浜は「可哀想な子」(=同情を誘って引き留めるような痛い子)にはなりたくない.
大切な親友の雪ノ下のことだって,八幡に助けてほしいと思ってる.この気持ちは嘘じゃない.
だから由比ヶ浜は.
泣きたい気持ちを抑え込んだ.
だけど本当は.
八幡には雪ノ下を優先してほしくなかった.
ここで雪ノ下を助けに行くということは,雪ノ下春乃が釘を刺していたように,雪ノ下のことを真に助けることにはならない.
それをわかっていながらも雪ノ下に関わるということは,それだけ,八幡にとって雪ノ下が大切な存在だということだから.
そんなの,とっくにわかりきってることだけど.
それでも.
本当は八幡に雪ノ下のところへ行ってほしくなかった.
離れてほしくなかった.
そばにいてほしかった.
だからあの時.
「涙が止まらなければよかった」
──EDテーマ『ダイヤモンドの純度〜Yui Ballade〜』
ふぁあああああああああ!!!!!
こんなん泣くしかないでしょ!
最後のエンディングもやばすぎる.
なにこれなんなの.
耐えられん.
「なにそれ,待たないよ」
アニメ『完』第11話のAパート後半.
由比ヶ浜が八幡にフラれるシーンです.
厳密には“フラれる”だなんて表現は不適切かもしれませんが,まぁ,そういう意味合いの場面です.
この場面の解釈は人によってかなり違ってくるかもしれません.
というより,僕自身がまだまとまりきっていないからそう思うだけかもしれませんが…
ともかく,僕の解釈を書いていきます.
まず3人の関係を整理
本題に入る前に,前提知識がブレていたら話が噛み合わなくなるので,現時点(つまりこの“待たなくていい”発言時における)八幡・雪ノ下・由比ヶ浜の関係性を端的におさらいしましょう.
雪ノ下: 八幡が好き.由比ヶ浜もそうだとわかっている.
由比ヶ浜: 八幡が好き.雪ノ下もそうだとわかっている.
八幡: 雪ノ下が好き.雪ノ下も由比ヶ浜も自分に好意を寄せてくれていることには気づいている.
特に最後の太字部分は重要ですね.
以前,雪ノ下春乃に「三角関係ですかねデュフ」って言ったことからも,八幡が二人からの好意に気づいていることは読み取れます.
八幡「ちゃんと伝えられて,ちゃんと受け止められるように」
”ちゃんと伝えられて”の部分は解釈には困らないと思います.
この発言の直前で八幡は「俺はあいつ(雪ノ下)と関わりがなくなるのが嫌で…」と由比ヶ浜に述べています.これは本来,本人に伝えるべきことですよね.
したがって,“ちゃんと伝えられて”とは,雪ノ下もとい,(自分が好意を寄せている)本人にきちんと好意を伝えるという意味合いでしょう.
問題は次の“ちゃんと受け止められるように”です.
先ほどは「好意を」という目的語が読み取りやすかったのですが,今度は目的語がわかりにくいです.つまり,「何を受け止めるのか」はっきりしません.
僕は雪ノ下の気持ち,もとい(自分に対して好意を寄せている)相手の気持ちをきちんと受け止めると解釈したのですがどうでしょうか.
現状,八幡は雪ノ下の気持ちを受け止めきれていません.
だからこそ,雪ノ下春乃の言葉を引用するまでもなく,八幡は由比ヶ浜に依存してしまっていたのです.
一般に,誰かが自分に好意を寄せてくれているのなら,それを受け入れ交際するなり,拒否して距離を取るなりすべきです.当然,それは誰かの手を借りて行なうようなことではなく,自力で解決すべきことです.
しかし,八幡にはそれができませんでした.
相手の好意に気づきつつも,それは自惚れ,思い上がり,つけ上がりだと,この後に及んでガチガチの理性──デタラメの理屈でその気づきを否定していたからです.完全な拗らせです.
自分ひとりで受け止めることができなかった八幡は,第三者に頼りました.それが,あろうことか自分に好意を寄せているもう一人の女の子──由比ヶ浜です.
なんてタチの悪い男!
でもそれがいい!
八幡「けど,お前はそれを待たなくていい」
はい.以上を受けてこの発言.
意地悪く悪訳すると,
“俺がもっと大人になったら,俺はきっと,好きな人には好きだと,相手も納得する形でちゃんと伝えられるようになる.相手が俺に気持ちを伝えるのが下手でも,ぜんぶ俺が受け止める.でも,俺が想いを伝えたい相手はお前じゃない.受け止めたいのも,お前のことじゃない.だから,俺が大人になる日を待っていてもお前には何の得もないぞ.待つだけ無駄だ”
といった具合でしょう.
畜生め!
でもそれがいい!
ちなみに…
「待たなくていい」という発言は“待つ/待たない”という言葉が印象的な『続』第11話の次の発言と絡めて考察できそうではあります.
僕はこの発言を受けての「待たなくていい」だと思って最初は考察していたんですけど,どうにも整合性が取れないんですよね.
“待っててもどうしようもない人は待たない”という発言は,由比ヶ浜から八幡への“私からアプローチする”宣言ですが,実際はどうだったでしょうか.そんなに由比ヶ浜から攻めることができていたかというと…….
けっこう頑張っていたとは思います.
デートに誘ったりバレンタインのお返しという口実でクッキーを渡したり.
でも,決定的なことはできないまま.
由比ヶ浜からしてみれば,八幡に猛アタックしては雪ノ下を“待つ”ことができなくなってしまうので,ジレンマに陥っていたのでしょう.
つまり,由比ヶ浜は八幡を待たないと言ったけど,雪ノ下のこともあって結果的には待たざるを得なくて.
八幡はそれを踏まえて「待たなくていい」と言った…?
いまいちスッキリしないんですよね.
まぁ,こんな感じで考察のしようはありそうですけど,個人的には納得のいく解釈ができず,また,このシーン(『続』第11話)を受けない方が,「お前はそれを待たなくていい」発言をスッキリ解釈ができたので,先述の解釈に落ち着きました.
どうでしょうか.
由比ヶ浜「何それ,待たないよ」
この場面,原作だと案外さくっと進んじゃうんですけど,アニメはとんでもなくエモーショナルな演出によってエモエモでエモな視聴者泣かせのシーンになっています.
息遣いに,間の取り方.
CV. 東山奈央 is 神.
おまけ: 雪ノ下雪乃「どうかこれが正しい終わりでありますように」
アニメ『完』第8話のBパートラストシーン.
雪ノ下雪乃が八幡に“お願い”を伝えたのち,部室をあとにするシーン.
この場面,由比ヶ浜のシーンではないですが,めちゃくちゃ好きなシーンなんですよね.このシーンは負けヒロイン色がめちゃくちゃ濃いんです.
結果的には雪ノ下は負けヒロインならぬ勝ちヒロインになったわけですが,このシーンを観ると僕はいつも感極まってしまいます.
とはいえこのシーン.
アニメだとこの一言だけなので,若干,雪ノ下の心中が察しにくいです.
原作だとしっかり心中が描写されているのでなおのこと良きです.
このシーン,やばくないですか?(語彙)
アニメで早見沙織さんの声で聴けなかったのが残念でならないです.
このシーンを理解するための第一歩として,「部室=雪ノ下の心」という話をしましょう.
部室=雪ノ下の心
みなさんは,奉仕部の部室が雪ノ下の心のメタファーになっていたこと,気づきましたか?
僕は原作でこの場面を読むまで全く気づきませんでした!(鈍)
部室が雪ノ下の心のメタファーだと知って読むと色んなシーンがエモく感じられます.
ノックもせずにズカズカと入ってくる平塚先生.
元気に朗らかに挨拶して入ってくる由比ヶ浜.
部室が開いてなくて八幡が部室の鍵を取りに行ったけれど,既に雪ノ下が鍵を持っていっていた,すなわち“すれ違った”シーンもありましたね.
あのときはちょうど,生徒会選挙でお互いにすれ違っていた時期です.
あとは八幡が雪ノ下と付き合い始めてからの話(『完』12話冒頭)で,雪ノ下が八幡に部室の鍵を渡して開けてもらうシーンがありましたよね.
このとき初めて雪ノ下は,真に心を開いたんですね.
このように,部室が雪ノ下の心だと思って観るとおもしろいです.
ちなみに“紅茶の香り”もこれに近いメタファーになってるっぽいですが,こっちは僕の解釈がまだ追いついていないです!笑
固く閉ざした心
それでは話を戻しましょう.
このシーンは,雪ノ下にとって,決別のシーン,決意のシーンなんです.
雪ノ下の八幡へのお願いは,“由比ヶ浜さんのお願いを叶えてあげる”こと.
雪ノ下も由比ヶ浜が八幡のことを好きでいることは知っています.
雪ノ下自身も八幡のことを好きでいることはわかっています.だけど,その気持ちを伝えることはできません.
素直な性格じゃないから.
唯一の親友である由比ヶ浜との関係が壊れてしまうのは嫌だから.
この3人での楽しい時間を終わらせたくないから.
なら,自分が諦めてしまえばいい.
諦めてしまえば,きっとうまくいく.
胸が痛いのは,それだけこの想いが本物だったから.
もう十分,私は彼に助けられた.
その事実だけで,私は十分.
だから次は,由比ヶ浜さんの番.
由比ヶ浜さんが幸せになってくれればそれでいい.
初めての交友関係も,初めての恋慕も,これでおしまい.
これまでの関わりは“偽物”だ.
でも,それでも,大切な“偽物”だから.
これまでのことは大切な思い出として胸にしまって.
明日からまた,私はこれまで通り生きるのだ.
──結局雪ノ下は,この1年間で自分を変えることができませんでした.
諦めること,譲ることを選んだのです.
最終的には八幡が自分の意志で雪ノ下を選んだことで,雪ノ下は正ヒロインとして格付きましたが,割と負けヒロイン色もありました.
由比ヶ浜結衣
由比ヶ浜にとって八幡は
由比ヶ浜にとって八幡はヒーローでした.
愛犬の──家族のひとりであるサブレを救ってくれたことに始まり.
大切な友だち,三浦優美子や海老名姫菜の悩みを解決してくれて.
親友の雪ノ下のことも.
由比ヶ浜は,八幡に何度も救われていると考えているのです.
あたしはヒッキーに何度も救われたから,もう多くは望まない.
だから,ゆきのんがヒッキーと結ばれても,あたしはいいの.
そう考えているわけです.
なんと健気な子なんでしょう.
ちなみに由比ヶ浜が八幡を“ヒーロー”だと呼称するモノローグは原作に実際にありました(何巻かは忘れましたすみません…)
由比ヶ浜は“負けヒロイン”ではない
最後になって急に“由比ヶ浜=負けヒロイン”を否定するのか!
とお叱りを受けそうですね.
ですが自信を持って言いましょう.
由比ヶ浜は,“負けヒロイン”の枠を超越しています.
そもそも“負けヒロイン”というと,単に主人公の交際相手になれなかったヒロインという意味しかありません.
ですが,由比ヶ浜はそんなぬるい立場じゃありません.
みなさんもお気づきの通り,由比ヶ浜がいなければ八幡と雪ノ下はくっつくことはありませんでした.
由比ヶ浜がいたから2人は結ばれたのです.
皮肉にも,名前に込められた“結”は自分にとってのおまじないたりえませんでした(おい,これ以上いじめるなよ).
由比ヶ浜がいたからヒロインがいる.
由比ヶ浜がいなければヒロインはいない.
しかして,由比ヶ浜はヒロインではない.
つまり,由比ヶ浜結衣はヒロインのアンチテーゼだということです.
果たしてこれが,単なる“負けヒロイン”の枠に収まるのでしょうか.
ちなみに由比ヶ浜を性獣化してヤバい方向に爆発させて病んだ姿がかの西園寺世界です.知らんけど.
おわりに
いかがだったでしょうか.
かなり力を入れて書いたので,気がつけば8000字超の長文記事になっていました!
もしここまで全文読んでくださった方がいたら感謝しかないです.
ありがとうございます😭
少しでも由比ヶ浜結衣の,俺ガイルの魅力を伝えられたら幸いです.
追伸
負けヒロインの情報を随時募集しています!
僕は負けヒロイン好きと言っておきながら,負けヒロインは由比ヶ浜結衣と羽川翼くらいしか知りません😅
負けヒロインではなく,負けヒーローでも構いません!
なんかすごい感じの負けキャラがいたらぜひ教えてください!
ちなみに僕は『秒速5センチメートル』大好きです.
負けヒロインと負けヒーローどっちも摂取できますから!笑