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不調な自分への処方箋、『しあわせは食べて寝て待て』【マンガ書評】

『しあわせは食べて寝て待て』というマンガ、みなさんは読んだこと、ありますか?

この作品は読むとほっこり癒してくれて、とくに心身の不調に思い悩んでいる人へおすすめしたいマンガです。

『しあわせは食べて寝て待て』は、現実に存在する指定難病 "膠原病こうげんびょう" を患った女性が主人公の物語。

そしてこの作品には、作者・水凪トリ先生の経験も大きく反映されています。

作品内には "ご自愛のヒント" も散りばめられている素敵な作品なので、このnoteでは『しあわせは食べて寝て待て』の魅力をお話していきます。


マンガ『しあわせは食べて寝て待て』とは


『しあわせは食べて寝て待て』は、秋田書店が出版している月刊女性マンガ雑誌「for Mrs.フォアミセス」にて連載中のマンガです。

作者は漫画家・水凪トリ先生

作中の主人公・麦巻むぎまきさとこさんと同じ膠原病《こうげんびょう》を、ご自身も患っていると公言しています。

膠原病
特定の病気をさす名称ではなく、共通した性質を持つ免疫系の病気を総称する言葉。

全身性エリテマトーデス(SLE)・シェーグレン症候群など、該当する病気は多岐にわたる。

水凪トリ先生が病気と向き合う中で薬膳と出会い、ご自身の様子をマンガとして描きはじめたのが『しあわせは食べて寝て待て』だったと語っています。

【参考】りっすん by イーアイデム「『しあわせは食べて寝て待て』作者・水凪トリさんに聞く。もっと働きたい気持ちにどう向き合う? 」より

実際、『しあわせは食べて寝て待て』本編には「これ、作者さんの実体験なんだ」と読み手も納得できる箇所が多いです。

たとえば第6話だと、主人公・さとこさんの引っ越した団地の住人・つかさが、トウモロコシの効能を力説するこんなシーンがあります。

トウモロコシは他にも 体内の「水」の巡りもよくしてくれるから
湿気の多い梅雨にはぴったりだと思いますー

去年の夏 試しに 毎日トウモロコシを食べてみたんですよ
そうしたら夏中汗が出るわ出るわ
だからこの効能は確かですよ!

【引用】秋田書店・水凪トリ『しあわせは食べて寝て待て』第1巻
第6話 97・98ページ

このエピソードに対して水凪トリ先生は、第1巻の巻末にて以下のように書いています。

その他 とうもろこしを毎日食べて汗が出るように…というのも実体験からです。

【引用】秋田書店・水凪トリ『しあわせは食べて寝て待て』第1巻
157ページ

くわえて「とうもろこしは1日1/3本くらい食べてました」とメモされています。

細かい量までわかるぶん「本当に実践したんだ」と納得でき、全体を通しても強い説得力が感じられる作品です。

〇出版社:秋田書店
〇レーベル:A.L.C. DX秋田レディースコミックスデラックス
〇掲載誌:月刊for Mrs.フォアミセス
〇作者:水凪トリ
〇受賞歴:
2022年「このマンガがすごい!2022」オンナ編 8位

主人公・さとこさんの生きる姿勢を見てほしい


~『しあわせは食べて寝て待て』あらすじ~
麦巻むぎまきさとこ、38歳。

一生つきあう病気 "膠原病" を抱える彼女は、思うように働けなくなった自分の体に戸惑いながら生きていました。

そんな中内見へ訪れた築45年の団地にて、大家・美山鈴みやますずと薬膳に詳しい料理番・つかさに出会います。

頭痛に効く生の大根・風邪に沁みるあったかスープ・喉を癒す干し杏子……

薬膳の効果を心身ともに実感したさとこは、鈴・司の2人が住む団地への入居を決断します。

薬膳をきっかけに始まった団地での新生活。

様々な出会いと交流の中で、少しずつ "自分なりの幸せ" を模索する、1人の女性の物語―


『しあわせは食べて寝て待て』は、主人公・麦巻さとこさんの成長・生きる姿勢に元気をもらえます

さとこさんは団地への引っ越し・薬膳を通じて、自身の体調と向き合えたり、いろんな人との交流関係を深めたりしていきます。

今でこそ1巻表紙のような、素敵な笑顔を見せてくれるさとこさん。

しかし最初の彼女は物ごとがうまく進まないとひどく落ち込んだり、自分へ自信が持てなかったり、精神状態がかなり追い詰められた状態でした。

人は心身が追い込まれると「こうなったのは〇〇のせいだ」「誰かにどうにかしてほしい」と他責的・他力本願になってしまいがちですよね?

まさに彼女も、同じ状態だったんです。


そんなさとこさんですが "薬膳" という概念を知り、新しい人と出会い、住む環境を変え、暮らしが大きく変化します。

誰かに教えてもらうだけでなく1人で薬膳を学んでみたり、隠していた病気を人へ打ち明けてみたり、以前より能動的に動くようになるんです。

時に落ちこんで思考がネガティブになっても「体を動かそう」「料理をしよう」と、気持ちを自分でおさめられるように成長していきます。

病気を抱えて生きる自分を受け入れつついろんなことに行動・挑戦するさとこさんの姿は、健気で読み手も勇気をもらえます

体調の度合いに関わらず「体がつらい」「心がしんどい」と感じている人にとって、『しあわせは食べて寝て待て』はそっと寄り添ってくれる作品になるでしょう。

『しあわせは食べて寝て待てを』試し読みするなら――


『しあわせは食べて寝て待て』を試し読みしたい人は、以下の媒体で読んでみるのをおすすめします。

  • 作者・水凪トリ先生のX:第1・2話

  • Souffleスーフル:第1~3話

〇作者・水凪トリ先生のX

作者・水凪トリ先生はX(旧Twitter)にご自身のアカウントを開設していて、序盤の1・2話を公開しています。

試し読みのほかにも、現在制作しているマンガ・イラストを一部掲載していたり、ご自身が作ったお料理を写真で紹介したりしているんです。

SNSを拝見すると「主人公視点の世界を見ているみたい」と感じることが多く、病気の悩みを抱えている人にとっても参考になる情報・気づきが多いかと思います。

  • 第1話

  • 第2話

〇Souffle

Souffleスーフルは、月刊マンガ誌「Eleganceエレガンスイブ」と「for Mrs.フォアミセス」を作っている "秋田書店エレガンスイブ" が運営するマンガサイトです。

編集部公認で試し読みできる場であり、『しあわせは食べて寝て待て』は2024年9月時点で第3話まで公開されています。

『しあわせは食べて寝て待て』は心身が弱ったときこそ読みたい癒しマンガ


このnoteでは、水凪トリ先生のマンガ『しあわせは食べて寝て待て』をご紹介しました。

『しあわせは食べて寝て待て』は、作者・水凪トリ先生の経験・薬膳知識が多く描かれ、主人公・麦巻さんの成長・生きる姿勢に元気をもらえる作品です。

実際に試し読みできる場として、以下2つの媒体もご紹介しました。

『しあわせは食べて寝て待て』は、どんな境遇の人でも楽しめる作品かと思います。

その中でも「体調が優れない」「気持ちがしんどい」といった、心身が弱っているときにこそぜひ読んでほしいマンガです。

興味が湧いた方は、ぜひ『しあわせは食べて寝て待て』を実際に読んでみてくださいね!


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