猫のしっぽ｜自然の愛撫

　　猫の美しさはしっぽにある。

　　会うたびにピンと天に伸びている。
　　言葉はしゃべれぬとも
　　そのしっぽが全てを語る　

　　「あなたに会えて嬉しい」　
　　真っ直ぐなしっぽは喜びを隠せぬ



　　猫の不思議さはその眼にある。

　　昼の細眼の怖さと夜に輝く愛らしさ。
　　何も映さないかのような
　　真っ直ぐな瞳は魂を捉える
　　その眼が全てを語る。
　　
　　「あなたを信頼している」
　　ビー玉色の眼は愛に満たされている



　　猫の野生はその耳にある。

　　リラックスしているのにぴくぴく動く。
　　私があなたを呼ぶ声に
　　知らんふりでも耳は振り向く。
　　その耳が全てを語る

　　「あなたが全て」
　　小さな体を無防備に預けている

　　猫の真実はその爪にある。

　　快楽に溶けているのに突然引っ掻く爪。
　　前触れもなく突然身をひるがえし
　　一人の悦楽を楽しむ。
　　その爪が全てを語る。

　　「貴女も野生だよ」
　　全身から自由の匂いがする。

（Photo: ©MikaRin）