恐ろしき無重力｜セレスチャル・エクスタシー
激情が過ぎ去った後
私の中に残るのは
諦観。
喜びも悲しみも
熱狂も失望も
ただ通り過ぎる幻。
この世では決して交わることが出来ない二人が
あの世でひとつになった。
最初から離れられない存在として。
彼岸では法悦の中で解き放たれ
本物の自由を知る。
そしてこの世に戻る時
至高を知った魂は
儚さを知る。
求めても求めても
求めるものは存在せず
愛しても愛しても
愛する対象は
ことごとく消え去る。
この世の形は実体さえないのに
まるで壁のように立ちはだかる。
私はこの壁を超えられるのだろうか？
眩しすぎる光、
果てしない空間に立つ時
すべての価値観が去ったところに
立ち尽くす恐ろしさは
全方向が見渡せる
大きさへの恐怖。
全てのはざまに存在する
果てしない距離に
完全な自由と実体のなさに
私自身を見失う。
抜け落ちた色と
実体のない形の中で
空間の軸を失った私は
どこにでも行ける自由を手に入れてしまった。
好きも嫌いも
正しいも間違っているも
何の基準も持ちえない
恐ろしくも不安定な
無重力空間に戻れたというのに。。。。
(photo: ©MikaRin)
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