蜜柑桜

ジュブナイル・ファンタジーを書きます。 普段は主にカクヨムさんにおります。代表作「シレ…

蜜柑桜

ジュブナイル・ファンタジーを書きます。 普段は主にカクヨムさんにおります。代表作「シレア国」 短編大賞はエブリスタ『白銀に紅 名宿の桜』 創作大賞に参加しています。「天空の標」「時の迷い路」その他、短編数本です。 読者様の心に響く作品となりますよう。

マガジン

  • 創作大賞参加ジュブナイル「時の迷い路」(ときのまよいみち)

    創作大賞参加作品です。ジュブナイル作品。 🎵あらすじ  森に囲まれた平和なシレア国の中で唯一時を刻むのは、王都シューザリーンの城下街に立つ時計台のみ。他に時計はないこの鐘楼の時計に異変が起こる。  頼りになる兄王子は南の大国テハイザとの緊張関係を解消すべく外遊中である。兄と共に次代の統治者として国の安寧を守るため、王女アウロラが奔走する。  そんな非常事態に王女と瓜二つの少女が別世界からシレアに迷い込んだ。二人は互いの運命を感じ手を取り合う。  ところが次々に起こる異変、国を取り巻く政治的思惑、それらが渦巻き、シューザリーン王城の人々を襲う。  在るはずの「時」は失われ、出会うはずなき「二人」が出会う。時間を、秩序を取り戻すために二人の乙女が走り出す。 作品およびマガジンのイラストは如月芳美様からいただきました。

  • 創作大賞2024 参加作品

    創作大賞参加の短編作品です

  • 創作大賞応募作品 シリアス・ハイファンタジー 天空の標

    創作大賞応募作品『天空の標』  森に守られたシレア国では、先頃より先王と母后が相次いで逝去した。王位継承者第一王子カエルムは即位を前に側近のロスと近隣諸国訪問中である。  海に面した強国テハイザは陸の資源を欲し、かねてよりシレアと緊張関係にあった。カエルムは強固な友好条約を目指し外遊の終わりにテハイザを訪れる。  しかし止まることなく天体の動きを示すテハイザ国の宝、「天球儀」が停止し、隣国の王子は災禍の種だと王との謁見を阻まれる。  一方シレアでは、国で唯一「時間」を知らせる「時計台」が止まった。そしてさらなる危機が……  一刻も早い帰国が要される。  二人はこの危機を乗り切れるか。  自然と人間の定めた秩序を軸に、本格ファンタジー開幕。 各話表紙とマガジン表紙(シレア国周辺地図)のイラストは如月芳美様からいただきました。

  • シレア国 兄王子中編

    硬派ファンタジー、イケメン主従、アクションありのバディもの。 正統派イケメン王子と苦労人系イケメン従者です。 30000字なので、サクッと読んでください! よろしくお願いいたします。 画像はあさぎかな様にいただきました。 画像の全体像は各話のページでどうぞ。

  • 美味しければいいってもんじゃない!

    簡単おしゃれなカフェサンドレシピ小説をまとめました。

最近の記事

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天空の標 第一話

あらすじ  森に守られたシレア国では先王と妃が相次いで逝去した。王位継承者第一王子カエルムは即位を控え側近のロスと近隣諸国訪問中である。海に面した強国テハイザは陸の資源を欲し、シレアと緊張関係にあった。カエルムは強固な友好条約を目指して外遊の最後にテハイザを訪れる。  しかし止まることなく天体の動きを示すテハイザ国の宝、「天球儀」が訪問とほぼ同時に停止し、隣国の王子は災禍の種だと王との謁見を阻まれる。  一方シレアでは、国で唯一「時間」を知らせる時計台が止まった。そしてさら

    • レバノンやウクライナのニュースを見て。 止めて欲しい。 2022年2月の日から間も無く、憤りのままに筆を走らせた。 (掲載はカクヨム)https://kakuyomu.jp/works/16816927861598959241 言葉と音楽には力がある。絶対にある。だから伝えたい。 https://note.com/mikansakurasirea/n/nc8c88d387e07?sub_rt=share_pw

      • 創作大賞は……でもシレア国の本を待っている方がいる

         創作大賞2024の中間発表が出ました。  通過された方、おめでとうございます!  私の作品は、残念ながら通過できませんでした。  しかしながら、読んでいただき、感想を頂戴し、とても感謝しております。  知名度もなければ宣伝もあまりせず、目には止まりにくい中で見つけてくださった方、ありがとうございます。  面白い、よかった、のお声をくださった方、すごく励みになりました。  創作大賞の結果は、正直に言って悔しいですが、諦めたくありません。  蜜柑桜のファンタジー世界、シ

        • せっかく面白いと言っていただけたので

           こんばんは。xさんなどで、創作大賞の作品も人の目に留まるよう工夫、という記事も拝見しましたので……  創作大賞では、「天空の標」を読んでくださってコメントいただくことが多かったです。どうもありがとうございました。  そこで、ぜひ。  「天空の標」が面白かった、という方、興味あるよ、と思っていただけた方、  「時の迷い路」もお読みになってみてください。カエルム殿下の妹姫、アウロラのお話です。    それぞれ単独で読める長編作品です。  しかし二つ合わせてお読みになれば、も

        • 固定された記事

        天空の標 第一話

        • レバノンやウクライナのニュースを見て。 止めて欲しい。 2022年2月の日から間も無く、憤りのままに筆を走らせた。 (掲載はカクヨム)https://kakuyomu.jp/works/16816927861598959241 言葉と音楽には力がある。絶対にある。だから伝えたい。 https://note.com/mikansakurasirea/n/nc8c88d387e07?sub_rt=share_pw

        • 創作大賞は……でもシレア国の本を待っている方がいる

        • せっかく面白いと言っていただけたので

        マガジン

        • 創作大賞参加ジュブナイル「時の迷い路」(ときのまよいみち)
          45本
        • 創作大賞2024 参加作品
          6本
        • 創作大賞応募作品 シリアス・ハイファンタジー 天空の標
          50本
        • シレア国 兄王子中編
          14本
        • 美味しければいいってもんじゃない!
          3本
        • 2024年の年始連続投稿(今年の願いややりたいこと)
          3本

        記事

          たくさん公募に出した夏でした

           お久しぶり? です。蜜柑桜です。  noteさんは#創作大賞 以来、あまり更新していませんでしたが、他の公募に参加していました。  今年の夏は思いのほか、多くのコンテストに参加することになりました。  創作大賞は、私の代表作である「シレア国」シリーズの2作品を。 「時の迷い路」は大学生の秋にパソコンに書き始め、その後、何台もパソコンを買い替えてもずっと引き継ぎ続けて、10年以上を経てから序盤で止まっていた物語を書き上げ、推敲に推敲を重ねた作品です。  いつもどこかに引っか

          たくさん公募に出した夏でした

          創作大賞 長編応募! 流行りとは一味違う本格ファンタジー、読んでみてください!

          創作大賞、読者応援期間ですね! 創作大賞に応募しました! 私もやっぱり届けたいから書いています。 長編二作は、私の代表作です。 昨今の流行りのウェブ小説とは違うと言われるのが私の長編です。ありがたいことに「好き」と言ってくださる読者様が多数いて嬉しく思います。 流行りを否定はしませんが、流行りは廃れる。 私が書きたいのは、『指輪物語』や『勾玉三部作』のように、子供の頃に読んで、大人になってもなお光り続ける作品です。 そんな作品になれているかどうかは、読者様次第ではありま

          創作大賞 長編応募! 流行りとは一味違う本格ファンタジー、読んでみてください!

          創作大賞2024に本格ファンタジー長編2作、短編数作品を応募中

           こんばんは。蜜柑桜です。  創作大賞2024に参加しています。    🎶ジュブナイル、ガール・ミーツ・ガールな長編ファンタジー 『時の迷い路』  「時」とは、「時間」とは何か。その問いに取り組んだファンタジーです。緑美しいシレア国で、王女アウロラと、少女ウェスペルが国の安寧のために走り回ります。  🎶ハードボイルド、アクションあり、バディもの長編ファンタジー  『天空の標』  天の理は我々にとってどのような意味を持つのでしょう。「標」とは何でしょうか。  碧い海が眼前に

          創作大賞2024に本格ファンタジー長編2作、短編数作品を応募中

          時の迷い路 第四十五話

          終章 帰還 そして新たな旅のはじまり  少女は森の中をさ迷っていた。  もうどれほどの時間を歩いただろう。着けていた腕時計は無くなってしまい、時の動きというわずかばかりの刺激さえも少女から奪い去られた。  秋の美しい紅葉に目がとまり、地面一面に色とりどりに敷き詰められた赤や黄、焦げ茶、紅の絨毯が続くそのままに足が進む。道のさらに向こうへ目を向ければ、そこでは木々の枝が交差し、金色のアーチを作っていた。  吸い込まれるようにそのアーチをくぐると、その先には落ち葉が木漏れ日で輝

          時の迷い路 第四十五話

          時の迷い路 第四十四話

          第十二章 旅の終わり  時計台の上に登り最下層の踊り場に出ると、アウロラは地上を見下ろした。燃えるがごとく紅に染まった紅葉と、黄金を散りばめたような銀杏の木々が、シューザリエ川の通る南の森、市場を中心に広がる城下、そして北に連なる山々の方まで、見渡す限り地を覆っている。白夜に広がる禍々しい茜色の中で、自分のいるのはうつし世か幻か、それともその境にいるのか、錯覚を起こしそうな色の綾。  もし祭りの歌が単なる祭礼の祝詞ではないとしたら。  全ての必然が、いま、重なった。  アウ

          時の迷い路 第四十四話

          時の迷い路 第四十三話

          第十一章 白夜(四)  日はとうに暮れて夜闇に支配されていたはずの世界が割れ、光と闇が拮抗している。白夜。遠く離れた土地で稀に見られる現象だと旅人の話で伝えられてはいるが、シレア国で起こるなど前代未聞だ。  塔の前にじっと立ち尽くしていても仕方ない。シードゥスはその場に繋がれていた賊のものらしい馬を自由にし、獣の目をひたと見つめて危害を加えることはないと安心させる。少しの間互いに見合うと、馬は瞬きをしてシードゥスに鼻をすり寄せた。  馬が心を許したのが確認されるや、シードゥ

          時の迷い路 第四十三話

          時の迷い路 第四十二話

          第十一章 白夜(三)  気絶した男たちを武具についていた鎖で適当に縛り上げると、兄王子は部屋の中を見回した。視線がある一点で止まり、目を細める。 「開いたか」  蘇芳の瞳が向けられたのは、祭器を守っていた櫃だ。 「こんなことになると分かっていれば、先に教えておくのだったな」 「結果としてはお兄様と……お母様が守ってくれたのだもの。問題ないわ」  アウロラは耳にかかった髪を掻き上げる。碧と珊瑚色の宝玉が揺れて互いに触れ合った。 「まだ逝かれてから一年しか経たないのに……懐かし

          時の迷い路 第四十二話

          時の迷い路 第四十一話

          第十一章 白夜(二)  ふいに階下で扉の開く音がし、アウロラは耳を澄ませた。数人の足音が階段を上がってくる。恐らく二人、いや三人か。階段に響く足音に女性の軽さはない。成人の男だ。しかも、手ぶらではない。扉越しに重い金属の擦れ合う音がする。  祭事の準備で一人でも多くの手が欲しい時だ。城の者が自分を迎えに来るなら何人も連れ立って来るとは思えない。しかし、それなら誰が?   アウロラは瞬時に身が動くよう体術の構えを取り、正面からは死角の位置に小刀を握りしめる。  ——これは、ま

          時の迷い路 第四十一話

          時の迷い路 第四十話

          第十一章 白夜(一)  東塔の窓から見える空が赤紫に、さらには宵の紫紺に染め上げられると、まもなくして塔の内部は見事に闇に飲み込まれた。今日は新月の夜。月明かりは望めず、星の輝きは塔の中であまり役に立ってくれない。幸運なのは部屋の壁が白壁だったことと、夕暮れから夜闇に変わるのに時間がかかったことだろう。そのおかげで急に視力が奪われることもなく、アウロラの目は日が落ちても部屋の中のものがうっすら見えるくらいには闇に慣れていった。 「う……くっ……もう、痛いわよぅ……」   先

          時の迷い路 第四十話

          時の迷い路 第三十九話

          第十章 謀略(四) 「ウェスペル、起きてるか?」  扉の向こうに聞こえるシードゥスの声は、出会ってから彼がいつも感じさせたのと同じで、落ち着いていて優しい。城の中で声を掛けられたら、いつも知らず知らず胸がとくとくと打って、それでいてほっとする声だった。なのに今は、それが自分の名前を呼ぶのを聞きたくない。  黙りこくって身じろぎしないでいると、一呼吸おいてまた声がする。 「寝てるか、ウェスペル……入るよ」  錠が外れ、扉が外に開かれた。 「って……」  シードゥスの姿が扉の間

          時の迷い路 第三十九話

          時の迷い路 第三十八話

          第十章 謀略(三)  地鳴りと揺れでウェスペルは一度目を覚ました。床から体を離せないほど激しい衝撃に臓腑が口から出そうだ。瞳を閉じると震動音がやけに大きく聞こえる。耳を塞ごうにも手がうまく動かず、ただひたすらに耐えた。  しばらくすると揺れは止まったが、先ほど嗅がされた薬品らしきもののせいか頭が重たく、四肢も怠い。そのうえ全身を大きく揺さぶられたため、瞼を開くと途端にひどい眩暈がし、またも意識が遠のいた。    再びぼんやりと視力が戻ると、ウェスペルは色づいた樹木に囲ま

          時の迷い路 第三十八話

          時の迷い路 第三十七話

          第十章 謀略(二)  アウロラは途方に暮れていた。  塔を登って聖櫃まで辿り着いたはいいのだが、目の前にある重い木箱はしっかりと閉じられたままである。開かないのだ。  鍵穴などは見つからず、ただ蓋が櫃に被さっているのみだ。蓋と本体の境を示す一本の白い線が木の間に見えるものの、かっちり合わさって枯葉一枚差し込める隙間もない。  ごてごてとした装飾はなく、簡素で木目が剥き出しの箱。とはいえ質は最上の品だ。木版同士の繋ぎ目の部分で年輪が針一つ分も違わずに合い、表面は絹かと思うくら

          時の迷い路 第三十七話