思いがけず1泊したドーハで見た景色が、ヨーロッパ旅行でもっとも印象に残った話
思ってもみなかったところにたどり着き、そこが忘れられない場所になった経験はあるだろうか。わたしにはたった一度だけ、そんな経験がある。
2021年に淡い期待を抱いていたが、やはりしばらく海外旅行には行けなさそうなので、懐かしい記憶を書き起こそうと思う。
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2019年7月31日。わたしはウィーン国際空港で、家族旅行の帰路につこうとしていた。チェコとオーストリアへのパック旅行で、カタールの首都ドーハのハマド国際空港でトランジットをして日本へ帰る算段だった。
ドーハで予定されていたトランジット時間はたったの1.5時間。「免税店をのんびり見る暇ないね(笑)」なんて話を、悠長に家族でしていた。
そんなわたし達のもとへ悲報が。
30分で猛ダッシュトランジットか!?と意気込んだが、そんなことは起こり得ないらしく、あれよあれよという間に「カタール空港がドーハのホテルを用意するから、そこで1泊して次の日の便で日本に帰れ」という指示に従うことに。
そんなこんなで、1.5時間だけ滞在する予定だったドーハに24時間以上滞在することが決定。入国になるので、パスポートにスタンプも押される。
※それよりも前にアブダビでトランジットをしたことがあったが、中東の国のスタンプが押されるのはこれが人生で初めての経験になる(ちなみに、この時点で2019年11月の友人たちとのドバイ旅行は決定していたため、え〜その時が初にならないの...トホホ...という気持ちも少しあった)。
ドキドキしながらドーハの空港でホテルからのお迎えの車に乗り込み、しばらく走ると、想像以上に豪華なホテルがわたし達家族を迎えた。
(肝心のホテルの写真をなぜか全然撮っていない... 唯一あるのがこのトイレの写真。洗面台の形に衝撃を受けた当時の記憶が思い返される。)
チェックインと同時にホテル内での飲食に使えるバウチャー券をもらい、さっそく朝食会場へ。ビュッフェスタイルの朝食は、カタールや中東の伝統的な料理も、”洋食”と聞いて想像するような料理も、幅広く並んでいた。
中でも衝撃を受けたのが、中東のヨーグルトやチーズたち。乳製品に目がないわたしはこの段階で「ドーハに1泊してよかった...」と口にする。
夜ご飯も豪華なこと豪華なこと。
「ドーハに1泊してよかった...」と口にしていたわたしは、夜ご飯を食べる頃には「オイルマネー最強だ...」と言い始める。
さらには、ホテルからもらったバウチャーが使い切れず、余すのはもったいないということで、ホテルのカフェで「マカロンをこのバウチャー使い切るまでちょうだい♡」という夢のオーダーをする。
「マカロンを袋詰めで買う!」というわたしのひとつの夢が叶ったのも、ドーハだった。
そんなこんなで大満足のドーハステイを楽しみ、翌早朝にふたたび空港へ。そこで待っていたのが、この朝焼けだった。
送迎の車を降りて、空港に入るまでのほんの一瞬。そこでみたこの朝焼けが、わたしはなぜか忘れられない。
写真からもわかるように、わたし達と同様にたくさんの人が車で乗り付け空港に入っていく。そんな彼らの多くも、鮮やかな朝焼けに目を奪われ、ほんの一瞬立ち止まったり、スマホで写真に収めたりしていた。
本来の予定であればもう日本にいるはずの今、来るとは思っていなかったドーハの空港で、美しい朝焼けを、見た目も国籍もバラバラな人たちとみている自分。とても不思議で、そして奇跡のような体験に思えた。
それまでの旅行で訪れたチェコとオーストリアの数々の観光名所はどれも本当に綺麗だった。でも、このヨーロッパ旅行を思い出すときに、必ずいちばん最初に思い出すのが、この朝焼けだ。
というのは、「愛の不時着」の中で出てくるインドのことわざだ(不時着沼の人間は、どこでも不時着を引用します)。
この旅行に、もし目的地があったのだとしたら、それはウィーンでもプラハでもなく、ここ・ドーハだったのかもしれない。今のわたしにはそんな風に思えて仕方がない。
(いつかまた海外旅行に行ける日が戻ってきて、トランジットがうまく行かずカリカリしそうになったら、このnoteを開いて、ふっと笑顔になれるといいな。)
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