小説/黄昏時の金平糖。【Ves*lis】#11 もう一人

暁愛華葉 6月3日 金曜日 午前6時

「─みんなー、おはよー」
「、、、ん?朝、、、?」
 アラームを止めて、弟妹たちを起こした。そしたら、魁斗が起きてくれた。
「朝。他はやっぱ起きないね」
「な。でもぐっすり寝てるのは良いことだよ」
 そう言って、弟妹を起こす。
 魁斗は起きるのが早いが、他の妹弟は遅い。
「おーい、若葉ー、翔瑠ー」
「鞠音も。遅刻するぞー」
「んん、、、?うるさいよ、魁斗、、、」
「うるさいじゃなくて、早く起きて!」
「えー、、、」
 しぶしぶ起きる、末っ子。
「あれ、朝、、、。起きるの遅くてごめんね、、、」
「朝から謝んないで!大丈夫!」
 謝りながら起きる次女。
「朝だー!!おっはよう、兄ちゃん、姉ちゃん!」
 人一倍元気な三男。
 朝起こすのは本当は自分で起きてほしいくらいに面倒だけど。
 でも、その面倒臭さが楽しい。
 私含めて5人、それぞれの性格が違っていて、それぞれに出会えて、朝から楽しいと思えるのはこの子たちのおかげだ。
「よし、ごはん食べに行くぞー、兄ちゃんより、先に一階に行けるかな?」
「俺いっちばーん!!」
「ずるいー、私が先っ!」
「け、けがしないでねっ、、、」
「さすが魁斗。やるじゃん?」
「任せとけって、愛華葉!」
 満足しながら、一階に向かう足を早めた。

黄昏わらべ 6月3日 金曜日 午前7時3分

 ─たしか、ここだった気がする。
 わたわたの家は、ここ。
 目の前は低い草むらで、右は他の家の駐車場、左は小さくて白い家。
 当のわたわたの家は、となりの家と同じくらい小さい。家に入ったことはないが、きっとたくさんのドアがあって、部屋があるというよりかは、一つの広い部屋で全てが一つにコンパクトになっているんだろうと思う。
 もうすぐ家を出るはずだから、待っていよう。
 で、わさびのことを訊こう。

 だが、いくら待っても来ない。
 どうしたものかと思い、インターホンを押す。
 と、わたわたのお兄さん、叶兎(かなと)さんが出てきて「お、久しぶり」と言われた。
「え、あ!お久しぶりです!」
「何年ぶりだろうね、4年かな?」
「ぐらいですね!」
 叶兎さんは、きっと大学生で2年生かな、と思った。
「あの、わたわたって家にいますか?」
 わたわた、と声に出すだけで鼻がツンとする。
 久しぶりに言った響きなのか、少しくすぐったい。
 叶兎さんは、普通の顔で言った。
「わたちゃんならもう学校に行ったよ」
「え?」
 俺が待っていたときには、通らなかった。てことは、俺がここに来る前?
「なんか実行委員がなんとかって」
「あ、わたわたって実行委員だったんですね!」
「うん。そうらしいよ」
「そうなんだ、ありがとうございます!」
「またなんかあったら言ってね」
「はい!失礼します!」
 俺は一礼して、学校へ向かった。
 てか、わたわた、実行委員だったっけ。
 、、、ま、いいか。


最後まで見ていただいてありがとうございました!
次回もお楽しみに!
それじゃあ
またね。

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