【後編】 2024年現地観戦ベストゲーム~6/14オリックス戦@京セラD
前編はこちら。
18時、試合が始まった。
私は久々に試合前から緊張しており、
「奥川投手が思い通りのピッチングをできますように。打線がしっかり援護してあげられますように。」
とただ祈っていた。
その思いは早速通じる。
1回表に先頭の西川選手が相手のエラーで出塁すると、2死2塁のチャンスで村上選手がセンターへタイムリーヒットを放ち、1点を先制。
奥川投手が投げる前に援護することができた。
そして1回裏。
奥川投手が2年ぶりの一軍のマウンドとなる、京セラドームのマウンドへ上がる。
京セラドームは、2021年の日本シリーズ第1戦で山本由伸投手と投げ合い、7回1失点の好投を見せた場所だ。
バックでは同期同学年の武岡選手と長岡選手が二遊間を組み、奥川投手を盛り立てる。
1年目からずっと思い描いてきた光景が5年目の今日、目の前で現実のものとなった。
やっと実現したんだ…と感慨深い思いでいっぱいになる。
オリックスの先頭打者は廣岡選手(昼間はコロッケごちそうさまでした!美味しかったです!)。
痛烈な当たりがライトへ飛ぶが、丸山和選手がしっかり捕ってワンアウト。
緊張している様子の奥川投手だが、ここで初めて表情が緩む。
この後、エラーでランナーを2塁に背負ったものの、初回を無失点で切り抜けた。
奥川投手らしい笑顔が弾ける。
同時にビジター球場にも関わらず「宿命」が鳴り響く粋な演出。
2回は互いに無得点。
3回表、先頭の武岡選手が起用に応えるライト前ヒットで出塁。
1死1,3塁とチャンスを広げると、長岡選手がセカンドゴロ。これが併殺崩れとなり、武岡選手が生還してヤクルトが2点目を奪った。
同期の二人の打点・得点が奥川投手への貴重な援護点となる。非常に感慨深い。。
さらに村上選手の四球でチャンスを広げ、サンタナ選手があわやホームランのライトフェンス直撃2点タイムリーツーベースで4-0!!
「こ…これは勝てるのでは…?」という思いがこみ上げてくる。
奥川投手は4回にソロホームランで1点を返され、後続の出塁も許したが最小失点で抑える。
5回は初めて三者凡退で抑え、5回7安打無四球1失点で勝利投手の権利を手にしたまま降板した。
毎回のようにランナーを許すピッチングで一球一球固唾を呑んで見守っていたが、無事に5回を投げ切れたことにホッとした。
リードは3点。リリーフ陣に託された残り4イニング。
果たして奥川投手の勝ち星を守り抜けるのか。その道のりは果てしなく遠いように感じられた。
6回裏のマウンドに上がったのは奥川投手と同期の大西投手。
同期リレーに心を熱くしているうちに、大西投手はあっという間に三者凡退に抑えた。
ここまではよかった。
7回裏は石山投手。
なんとなく嫌な予感がしたが、その予感を振り払うように、戻ってくる頃には2アウトランナーなしとなっていることに期待して、ここで初めて席を立ちトイレに行く。
しかし、トイレに向かって歩いている最中に早速先頭打者にヒットを打たれたようで、悪い予感が的中する。
席に戻ってくると暴投と内野ゴロで1死3塁となっており、森選手にタイムリーツーベースを打たれて4-2の2点差。
来田選手はショートゴロに打ち取って2死3塁、あと一人なんとか…と思ったが太田選手にもタイムリーツーベースを打たれて1点差に迫られる。ああ無情…
続く西川選手を迎えるところで左の山本投手に交代。
左キラーの山本投手がセカンドフライに打ち取って、どうにか奥川投手の勝ち星を守った!!
手が痛くなるほど拍手する。
ちなみに、この回以降は胃が消滅して気絶寸前だったためしばらく写真がない。
当然ビール欲と食欲などあるはずもなく、ただペットボトルのお茶をちびちびと飲むのみである。
斜め前のヤクルトファンは美味しそうにいてまえドッグを食べていたが、こんな試合展開でよく食べられるな…
8回表の攻撃では1死1,2塁のチャンスを活かせずに無得点。
1点差のままで8回裏のマウンドには木澤投手が上がった。
再び嫌な予感がし、再びその予感が当たる。
先頭打者に初球をレフト前に運ばれ、同点のランナーを許す。
続く打者にはあっさりとバントを決められて同点のランナーが得点圏へ。
そして杉本選手の当たりが3塁戦を襲い、長打コース!絶体絶命!と思ったが、サードの村上選手が横っ飛びで抑えて内野安打に留める。
それでもランナーは1,2塁で、ついに逆転のランナーまで許してしまった。
さらに西野選手にはこの日4安打目となる(打たれすぎィ!)レフト前ヒットを打たれて1死満塁、今度こそ絶体絶命!
私は全身を硬直させ、心臓を病的なほど打ち鳴らし、気を静めるようにお茶を口に含む。
それでも気は静まらないので、「勝ちが消えても5回1失点の事実は消えないのだからもう満足だよ…」という思ってもないことを自分に言い聞かせて少しだけ気を楽にする。
是が非でも三振が欲しい場面…迎えた若月選手をカットボールで見逃し三振!!
続く代打・頓宮選手も同じくカットボールで空振り三振!!
なんとかかんとか、ギリギリのところで奥川投手の勝ち星が消えずに済んだ。
というか、抑えられるなら最初からやってくれよ…
とんだ自作自演に全身の力が抜け、よたよたと崩れ落ちる。
すると9回表、先頭のオスナ選手が初球を完璧に捉えてレフトスタンドへ放り込む!!
喉から手が出るほど欲しかった待望の追加点で5-3の2点差!銅像を建立しろ。
さあ、やっっっと9回裏までたどり着いた。あとは守護神・田口投手に託すのみ。
(ここで写真が復活する)
田口投手はわずか3球で2アウトを奪うと、最後の打者もショートゴロに打ち取った。
5-3で勝利、奥川投手は2021年以来3年ぶりの白星を手にした!!!
田口投手からウィニングボールを受け取る。
二遊間を守り切った同期の二人もこの笑顔。この瞬間に立ち会えて本当に幸せだ…
そしてあまりにも印象深い、涙のヒーローインタビュー。
前の席に大学生と思われる男性二人組が座っていて、一方がヤクルトファン、もう一方がオリックスファンだったのだが、ヤクルトファンの方がヒーローインタビューでもらい泣き。オリックスファンの方に「え!?お前泣いてるの!?」と驚かれ、静かにうなずいていたのがなんだかとても良かった。
奥川投手が復活の第一歩を白星という最高の形で踏み出せたこと、それを同期の選手が揃って後押ししたこと、それらを現地で目の当たりにできたこと。
嬉しくて、感慨深くて、同期の彼らを応援してきてよかったなと心から思った最高の日になった。
さて16時に球場入りしてから何も食べていないので、フワフワした気持ちのまま夕食を食べに行く。
到着したのは「夜パフェ専門店Parfaiteria PaL心斎橋」。(夕食とは)
今回の旅行で利用したパックツアーのクーポンで、この3000円くらいするパフェを無料で食べることができた。
う~ん、贔屓球団の最高の試合を見て、余韻にどっぷりと浸りながら23時近くに無料で食べるパフェ、あまりにも最高すぎる。
ところでパフェの写真って撮るの難しいよね。
食後はまだフワフワしたまま、6月の大阪の生温い夜風を浴びて宿泊先のホテルへ向かったのだった。
余韻に浸り続けた結果、午前2時を回ってようやく就寝。
今季最も長く、最も素晴らしい一日となった。