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「死亡届=死亡届+死亡検案書(死亡診断書)」・前編

家族が亡くなった後、遺族は役所に死亡届を出します。
死亡届と耳にしますがこれはどのような書類だと思いますか?日常では殆ど見る機会もない為、漠然とした印象(役所で貰える?何枚綴の分厚い用紙?何を書けばいいんだろう?)を持っている人もいると思います。
わたしもそうでした。実は死亡届はある二つの書類がセットになっている書類の事を指します。

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死亡届は、死亡届と死亡検案書(死亡診断書)という書類がA3サイズにまとまった一枚の書類として構成されています。
左側が死亡届、右側が死亡診断書(死亡検案書)となっています。

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医師が記載する内容は「氏名と生年月日・死亡時刻・死亡原因・死亡の種類・死亡場所・記載した医師の署名or記名押印」等です。右側のほぼ全てですね。
大きな病院では死亡診断書の作成専用ソフトがあるように、PCで作成、入力したのち、印刷して提出することも可能です。厚生労働省のHPでも死亡届をダウンロード、自宅で印刷できるようにPDF形式で配布されています。

また死亡届はA3サイズなのですが、左右をそれぞれA4サイズにコピーして2枚つづりで提出することも可能です。お堅いと思われがちな役所ですが、様式さえしっかり守られていれば、自宅のコピー機で印刷した死亡届を受け取ってくれます。


●1 死亡検案書を作成してもらう

故人の遺族がまず最初に行う事は「担当医師に死亡診断書(死亡検案書)の欄を書いてもらう」事です。病院で看取られて亡くなった場合は、担当医が記載した死亡診断書をすぐに遺族に渡してもらえますが、それ以外のケースでは少々展開が異なります。
詳しくはこちらの記事「不慮の事故(事故死・火災・中毒・自然災害)で家族が死亡した場合」の ●不慮の事故発生から葬儀まで の内容をご覧ください。

上記の通り、死亡届は「死亡届」と「死亡検案書(死亡診断書)」で構成されている為、死亡検案書の部分が空欄だと法律的に死亡したと認められず、死亡届を受け取ってもらえません。死亡届が受理されないと、今度は埋葬(火葬)許可証が発行されません。そうなってしまうと故人の遺体を荼毘に付すことができず、故人をお墓にいれることができなくなってしまうのです。

死亡診断書(死亡検案書)の部分はそんなに大事なの?

死亡診断書(死亡検案書)とは「医師のみが作成可能な、人の死亡を医学的かつ法律的に証明した書類」のことです。この書類がない場合「死亡が法的に認められず、生存している可能性がある」と解釈されてしまいます。
つまり「故人が死亡したという証拠が政府側に無い」ために、死亡診断書(死亡届)をもって手続きをするまでは、課税や公共料金や月額料金などといった故人にかけられた様々な支払いが発生してしまうのです。

しかし最近では「死亡届を出さない=生存している」という法律上の抜け穴を利用して、年金を受給していた老親が死んでも家族が死亡届を届けずに、老親が生きていると思わせて年金を不正に受け取っていた事件が起こっています。2017年5月の岐阜県で起きた年金不正受給事件の概要(産経新聞さんのサイトに飛びます)が有名です。

死亡届(死亡検案書・死亡診断書)はコピーを複数取ってから提出しよう


死亡検案書(死亡診断書)は法的に死亡した事を法的に証明する確実な書類になります。死亡届として役所に届け出ると、受理された後はそのまま戻って来ません。
様々なところで言われていますが、この死亡届は固定電話や携帯電話の解約、生命保険の保険金申請、口座解約など、葬儀終了後の相続手続きにおいて必要になる書類です。特に故人の携帯電話の解約をする際に「え?死亡届が必要なの?」と驚いた方も多いのではないでしょうか。ここに関してはまた別記事でお話しします。

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したがって、役所に届け出る前に最低でも10枚は死亡届のコピーを取っておきましょう。受付の人が親切だと「コピー取りましたか?」と聞いてくれる事もあります。
復唱しましょう。「死亡届(死亡検案書)は必ず10枚コピーをとってから提出する」こと!!!!!

またこの死亡診断書(死亡検案書)は健康保険適応外のため、全て遺族負担の実費支払いになります(病院で診断書を作成するのと同じ扱いです)
死亡診断書は平均3,000円~5,000円程度ですが、死亡検案書となると手続きが増えるため一桁増えた30,000円~100,000円になる事が多いです。死亡検案書の金額は地域によって異なる為、遺体が警察にある間に、地域の福祉局などに問い合わせておきましょう。


死亡検案書と死亡診断書の違い

死亡診断書▶治療を継続中の病気や怪我がもとで死亡したケースのみ作成される。医者が患者の容態の進行を把握していることが条件。医者以外でも歯科医師が作成できる
死亡検案書▶医者が警察の依頼で遺体の検案を行った後に作成される。

死亡診断書と死亡検案書の基本的な違いは、↑の通りです。双方の書類に記載する内容の差はありませんが、受け取れる時期がずれます(死亡診断書は即日もらえることが多いが、死亡検案書は最低1日かかる)。
最初にちらっとお話ししましたが、死亡診断書が作成されるのは「医師の診療管理下にある患者が、生前に診療していた病気や怪我に関連して亡くなったと認められる場合」に限られ、それ以外のケースによる死亡の場合は全て死亡検案書として作成されます。主に下記の4つに分類されます。

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故人の容態経過を把握していない場合の死亡の場合、医師は必ず検案(※遺体について死因や死亡した時間、特殊な死亡ではないか等、死亡の事実を医学的に確認する)する義務があります。死亡検案書は故人の遺体を検案した医師が作成します。
死亡検案書も死亡診断書も、故人の相続手続きや生命保険の保険金の請求をする際の書類としての効果は全く同じものです。検案などの基本的な流れはこちらの記事をご覧ください。



故人の遺体の検案の結果、医師が故人の死亡に不審な点があると判断した場合、所轄警察署にその旨を届け出る義務があります。その後、遺体は警察の管轄下におかれ検察官や警察官が検視を行い、場合によっては司法解剖を行います。したがって解剖や検視が行われた場合、遺体の死亡検案書を書くのは警察の医者(監察医)になります。

長くなりそうなので、この続きは後編で行います。
今年もこのような備忘録に近い記事をアップしていく予定ですが、見てくだされば幸いです。



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