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【京のブログ】(16)「人手不足になる会社」
このブログに出会ってくださって、ありがとうございます。
今日は、「人手不足になる会社」について書きたいと思います。
私が勤めた会社で、人が短期間で次々と辞めていく会社が数社ありました。
人が退職する時、たいてい表向きは、「スキルアップのため」などの理由をつけて退職する人が多いかと思いますが、実際の退職理由は「人間関係が悪い、仕事量が適正ではない、仕事を教えてくれない」などの理由が多いのではないかと思います。
特に人手不足の会社では、そもそも仕事量が過剰にありながら、教えられることなく放置されることが多いように思います。
昭和世代の私の若いときは、本当に今では考えられないくらい、誰も仕事を教えてくれませんでした。
なぜなら、「見て覚えるのが当たり前」の時代だったからです。
それでもなんとか、見様見真似で失敗を繰り返しては仕事を覚え、自分が先輩になったときは「見て覚えろ、なんて絶対に言わない」と心に誓いました。
そして、膨大な業務量を「とにかく時間がかかってでもこなすのも当たり前」で、同じ世代の方はわかると思うのですが、私にも「栄養ドリンクを飲んで、24時間戦う時代」がありました。
その時のモチベーションが、今の仕事に対する自分の考え方を支えているのも事実です。
しかし、特に現代の若者には「見て覚えろという昭和なやり方」は通用しないのではないかと思うのです。
ただでさえ、ゆとり教育や少子化の影響で、言い方は悪いのかもしれませんが「ほめて、おだてて、育てる教育」を受けている世代が社会で仕事をするわけです。
そして、そういう世代がこれからの時代を担っていくのです。
ほめて育てる教育は、逆に承認欲求の塊みたいな若者や指示待ちして責任を取らない若者を作り出しているような気もしますが。
しかし実際に、異常に打たれ弱い若者が、この世の中に増殖しており、注意すれば逆ギレしてすぐに辞める若者は少なくありません。
現代は、私たちのような昭和世代の人間が役職につき、指導する立場となっています。
時代の変化についていけず「自分たちの時はこうだったから、同じことをする」という昭和世代の人間を、私は今でも目にします。
そういう会社に限って、人が短期間で辞めていき、人手不足が深刻な問題になっています。
あくまで私の経験ですが、人手不足になる会社には理由が3つあると思っています。
1、教える能力のある人材がいない。
人手不足になる会社は、優秀な人材が見切りをつけて退職している可能性が高いです。
なぜなら、優秀な人材はそもそも仕事ができるため、様々な業務をこなしており、会社もそれに甘えて任せきりになり、次々と業務を割り当ててしまっていることが多いからです。
そして、優秀な人材は優秀だからこそ、業務量と報酬のバランスを考え、正当に評価されていないと考えれば、急に見切りをつけて転職してしまうのです。優秀な人材は次の就職先に困らないからです。
優秀な人材が退職したあとの職場は、その人がこなしていた業務を、新人に教えるだけの能力のある人材を社内で確保できずに、新人にそのまま押し付けてしまい、結果、業務がまわらずに退職されてしまい、人手不足の悪循環となります。
2、人手不足過ぎて教える時間がない。
社内に優秀な人材がいたとしても、常態的な人手不足で、新人に対して物理的に教える時間が確保出来ないこともあります。
教えることの出来る優秀な人材がいたとしても、その優秀な人材も多大な業務量を抱えており、教える余裕が全くないのです。
優秀な人なので、教えようとはしてくれたとしても、新人が聞くのもためらうくらいの忙しさで、教え方も雑になり、定着しないのです。
余裕がないために、業務マニュアルも作成する時間もなく、昔からの古いやり方を口頭だけで指導し、長年勤めている人にしか業務をすすめることが出来ない環境になってしまっていることも多々あります。
3、勝手に育つと思っている。
新人にはわかり得ない業務を、たとえ経験者であったとしても、何もない状態から、いきなり出来るようになるはずがないのは一目瞭然です。
その会社によって、基本的なことは同じでも、やり方が違うこともあるからです。
しかし、時代遅れな人手不足の会社に限って、いきなり自分で考えて仕事をすることを要求します。
自分で考えて仕事をするのは、ある程度の基本的なものを指導した上での段階だと思うのです。
最近は入社後に研修期間を設けるのが通常ですが、人手不足のために、その期間を設けずに、いきなり責任の重い仕事をさせるところがあります。
そういう会社に限って、業務がこなせないと、「新人に能力がないからだ」と言ったりします。単純に仕事とのミスマッチの可能性もありますが、自社の指導力のなさを露呈させただけだと思います。
ひどいところでは、一度もやったことも聞いたこともない仕事を「あれ?教えてなかった?」と平気で言ったりします。
もっと悪質なところでは「何回でも聞いていいからね」といいながら、一度聞き直しただけで嫌な顔をする人もいます。
そうして、人が定着せずに人手不足が深刻になってしまいます。
まとめ
ここで挙げたものは、あくまでも私が思う一部でしかありませんが、他にももっと別の理由で退職する人もいると思います。
本当に前向きな理由での退職であれば、私は喜んで送り出すべきだと思いますが、短期間で人が次々と辞めていくのであれば、会社の方にも何か改善しなければならない重要なことがあることに、気づかなければなりません。
人手不足になってしまう原因に気づけず、昭和なやり方を踏襲しつづけてしまっている時代遅れな会社は、崩壊の一途を辿る未来しかありません。
そもそも一番大事なのは、人手不足になる前に、適正な人員配置と自社の社員を正当に評価し大切にすること、長く会社に貢献したいと思わせる、魅力ある会社にしていくことだと私は思います。
そこには、そこで働く社員の質を上げていくこと、能力を向上する機会を積極的に提供することが必要なのではないでしょうか。
そうすることにより、少なくとも「人手不足による悪循環」は回避できるのではないかと私は思います。
経験上、目に余る、誰かが誰かをあからさまに中傷したり、攻撃したりする雰囲気の悪い社員の質が悪い会社に限って離職率が高く、人手不足の悪循環となって、仕事の質自体が著しく低下しているように感じます。
これからの時代は、少子化の影響もあり、そもそも人手不足の時代になります。電子機器やAIがカバーしてくれたとしても、人でなければならない仕事は限界もあるでしょう。
だからこそ、これからの時代を会社が生き残っていくためには、一人ひとりの人材をいかに優秀に育てて大切にしていくか、人間関係を円滑にして働く社員の質を上げていくかを、会社は求められているのではないでしょうか。
「働く社員の質は、事業の質にも反映する」のではないかと私は思います。
そして「事業の質が悪ければ、会社は生き残っていけない」のだと思います。
遠回りに思えても、先を見据えた人材に対する先行投資は惜しまない姿勢が必要なのでしょう。
皆様の周りにも「人手不足の悪循環に陥っている会社」はありませんか?
今一度、自分自身を振り返り「人手不足過ぎて、時代遅れの昭和なやり方で、新人に仕事を強要していないか」考えてみましょう。
もしかしたら、知らず知らずのうちに「自分が人手不足の悪循環を生み出す原因を作り出してしまっている」かも知れませんよ。
皆様の毎日が充実した日々でありますように。