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「推し」という言葉がどうも

ライブに行ってきた ~音楽には力がある~

大好きなアーティストのライブに行ってきた。実に1年ぶりだった。

思えば、一年前の今頃は酷いコンディションだった。春に足骨折からの足首捻挫。追い打ちをかけるように肩口に腫瘍が見つかり、夏に切除のため入院。

満身創痍でのライブ参加だったが、コロナ渦故のゆったりめホールライブは、自分的には助かった。

端っこの席でスピーカーが近かった。
ドラムの振動が肩の傷口に響くたび「おぉ・・・♥」と噛み締めた。

術後で上がらない右腕をうずうずさせながら、感極まり左手を振り上げるたび、隣の席の人と色々タイミングが合わず「あっすみません」とペコペコ合戦になってしまい、ちょっと申し訳なかった。(左効きの人の苦悩を初めて知る。)

ライブが最高だったことは言うまでもない。

さて、傷も癒え万全の体調で臨んだ今回のライブ。

普段は仕事に全体力を奪われ、休みの日に何かをする気力など残っていないのだが、こればかりは年に一度のビックイベント。「行かねばならぬ。頑張れ。」と奮い立たせて行ってきた。

Piyapong SaydaungによるPixabay

結果。
良かった。当たり前に分かってはいたがやっぱり良かった。

今回のツアーは、ライブハウスとホールの2部構成。人気の公演となり、チケット獲得は激戦だったようだが、なんとかそれぞれ1公演ずつ獲得できた。

まずはライブハウス公演。ほぼ最後尾だろうという衝撃の整理番号。(残念ながら、日頃からくじ運的なものは笑えるほど悪い。)案の定、長身の男性ファンに四方覆われ視界はマジでゼロだったが、それでも音、声の迫力に「ち、近い…」と震えた。

それから1ヶ月後のホール公演。座席のことはもう言うまい。(笑)
その内容とは、しかしもう…これはまたどう言おうか。「どうしてくれんねん」と心がキャパオーバーを起こしている。

naobimによるPixabayからの画像

毎日イヤホンで聴いている曲でも生はまるで違う。あれこれ思うことはあるが、私の語彙力では表現できない。表現するのも失礼な気がする。

ただただカッコ良かった。

最近「推し」という言葉をよく耳にするようになった。

個人的な感覚だが、その言葉がピンとこないというか、少々苦手だ。推すって「おススメですよ~」とかそんな感じ?なのか。なんか軽い。

調べてみた。

推し
読み方:おし
推し(おし)とは、特定の人物やキャラクター、作品、商品などに対して、熱心な支持や愛情を示す行為やその対象を指す言葉である。

実用日本語表現辞典

まず、流行り言葉を乱用することに抵抗がある。(これは単に性格がひねくれていることに起因する。笑)

何より、ファン側としての行動・言動について自信がない。アーティストに対し絶対的な信頼をもち、思いの大きさには自信があるのにも関わらず、適確なPRができそうにないからだ。

特定の好きな人や作品について語ることは、ハードルが高い。好きであればあるほど、何も言えなくなるのは自分だけなのだろうか。

感情や感覚を言葉に置き換えるのは難しい。大切なことであるが故に、上手く伝わらない場合のリスクにどうしても引っ張られてしまう。

何かに対する感じ方は人それぞれだ。色々と自信のない自分に「それで構わない」と思わせてくれたのは、彼らの音楽だった。だから、誰かに分かってもらえなくても、堂々と語れば良いのだろうが。

ライブ会場では、これまで会ったことのない人や、これから二度と会わないかもしれない人たちとともに、同じ場所で同じ音や詩、瞬間に何かを思う。そこには、無数の感情が飛び交い、融合するような包容力がある。

みんながここに辿り着いた経緯ってどんなだろうと不思議な感覚に陥りながら、なんだか勇気付けられたり、泣きそうになったりする。

あまりにも、たくさんの思いが溢れて、やっぱり上手く言葉にできない。

だけど、はっきりとそこに見えた言葉は「希望」と「可能性」だった。

Azul Ishtar Cisneros MedinaによるPixabayからの画像

先般、ビートルズの新曲「Now and Then」がリリースされた。凄いことだ。テクノロジーの発展に、音楽の新たな可能性を見ることができる。

一方で、今この瞬間でしか感じることができないことの尊さや美しさもまた、守っていくべきではないか。時代が進むほど、生活が過酷であればあるほど、文化や芸術に直接触れるべきではないのかとも思う。個人の体感的根拠でしかないが、結局救われてきた事実がある。

私たちは生きている。文化や芸術に直接触れることで、生きていることを実感できる大切な場所を知ったり、自分を取り戻す大切な機会を得たりする。それに、それらは感情を持つ私たち人間にしか生み出せないものだ。

創り出す力はなくとも、微力でも守っていきたい。そんな思いを募らせた、とても素敵な夜だった。

(心が動く瞬間を記録してみようと始めたnote。今のところ彼らのライブ以上にグッとくる瞬間には出会えていない。ありがとう。また来年を楽しみに。)

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