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自然の中で暮らして11日目、セブンとドトールとの再会に泣きそうになった|智頭町滞在記スピンオフ
久しぶりに「街」に降り立って最初に目に入ったのは、左にセブンイレブン、右にドトール。その瞬間私は、地元の埼玉県を思い出して、感極まって泣きそうになった。そこは縁もゆかりもない鳥取駅構内だったが、「帰ってきた」と安心したのだ。
『遊ぶ広報』で鳥取県智頭町に滞在して11日目を迎えた日。滞在こそ智頭町内と決まっていたものの、行動範囲が限定されているわけではない。地元の人にも、観光で来た人にも「砂丘は一度は行っておいた方がいい」と散々念を押されて、「せっかくなら」と、鳥取駅行きの電車に乗って鳥取砂丘へと向かった。
智頭町はとてもいいところだが、県外の人にとってみれば「鳥取=砂丘」。話のネタにもちょうどいいだろう、という軽いノリだったのだ。
智頭駅から約1時間電車に揺られて、鳥取駅に着くと、ホームから既視感のある街並みが広がる。テナントが多く入る駅中ビル、チェーン居酒屋、簡素なビジネスホテル……どれを取ってみても懐かしく、安心するものばかりで、胸がいっぱいになった。
そうか、埼玉も立派なふるさとなんだ。
これまで「ふるさと」といえば、自然豊かな場所に田舎のおばあちゃんが縁側に座って……というイメージがあった。普段は都内でひとり暮らし、帰省でふるさとに帰る、という人がうらやましかった。私はきっと、第二の家を求めていたんだと思う。
けれど、自然に囲まれると落ち着く人がいるように、人工物や人に囲まれると落ち着く人がいたっていいと思うのだ。
帰ってきた、と安心を覚える場所であれば、そこはどこでもふるさとなのだ。たとえ縁側や自然が無くても。
私は産まれてこのかた、ずっと埼玉県にいる。学校も大学まで埼玉、社会人になっても勤務先は埼玉(10ヶ月だけ都内だったけど)。埼玉には決して目立つものは無いけれど、暮らしに必要なものはすべて揃っている。全国どこにでも行きやすいし、肌感だが災害も少ない。西の方に車を走らせれば登山も十分にできる。
常々、わざわざ埼玉を出る理由が見つからないと思っていた。それくらい私は、埼玉が好きだ。
そんなことを、鳥取駅が気づかせてくれた。
鳥取砂丘に行く決断をしてよかったと、目的地に着く前に強く思った。