赤信号で止まってばかりの月曜日
目覚ましで無理やり身体を起こしたそのときから、今日はずっと、気持ちが落ち込んでいた。
ぐっと冷え込む朝、夜の雨予報に備えて自転車で駅まで行くのを諦めて
いつもより気持ち多めの人が集まる駅のホームにうんざりして
電車に揺られてから始業するまで、昨日外食をした前職の女の子が「私のこと好きなのかと思った!」と、私のパートナーが(なぜか)彼女に気があったと思い込んでいた話をしていたことを思い出しては、ムカムカとして
そのムカムカか、単なる昨晩のお酒のせいか、あるいは混雑による暑さのせいかわからないけれど、車中はとても気持ちが悪くて
職場に着くといつもの席は知らないチームに占領されていたから、慣れないオフィスをうろうろする羽目になって(うちのオフィスはフリーアドレスなので、一応、どこでも座っていいことになっている)
退勤してスマホを見ると、パートナーと昨日の彼女がほぼ同じタイミングで私にLINEを飛ばしていて、⚪︎ねと思って(休憩時間が同じなので、深い意味はないと信じたい)
約束された通りに、帰宅する19時から強く雨が降り出して
買い物する元気も無く、家にある冷凍うどんを食べようかと思いながら、駅前のたこ焼き屋さんを通り過ぎて
行きも帰りも、同じく3箇所、赤信号に捕まり
雨で前髪はぐちゃぐちゃ、ダウンコートは色が変わるほどぐっしょり。
そんな、散々な日だった。
けれど、家に帰って扉を開けると、玄関には黄色いバスタオルが綺麗に畳んで置いてあった。
その隣にはおなじく、黄色い付箋に貼られている。
「お疲れ様!濡れてたら使って!」
ありがたくタオルを使い、2階のリビングに上がると、2ヶ月前に買い換えたばかりの暖房が心地いい温度で働いていた。
今日は珍しく、私よりパートナーの方が帰宅が遅い。
冷たい雨に打たれて帰る私を、すこしでも暖かく迎えようとする、彼のやさしい気遣いだった。
なんだ。私ちゃんと、愛されているじゃん。
心まで冷えて固まっていた今日、誰もいないリビングでそれはやさしく、溶けていった。